街が泣いてた
【7月11日特記】 東京を離れることになって以来、頭の中で伊丹哲也&Side by Side の『街が泣いてた』がずっと鳴り続けていた。昨日の送別会の2次会のカラオケで歌ってみたのだが、その後もずっと鳴り響いている。
確か世界歌謡祭でグランプリを獲った曲だ。歴代の受賞曲に比べると単純で仕掛けがなく、小ぶりな感じがする。しかし、仕掛けの大きな曲だけが名曲ではない。多分口ずさむようにして作られた曲ではないだろうか。覚えやすく歌いやすいことはポップスの必須条件である。昔は浜口庫之助とか中村泰士とか、そういう曲を作れる作家が時代に1人はいたものだ。
しかし、それにしても、この曲の歌い出しはすごい! 「オー・マイ・グッバイ・タウン」と来た。最初は“グッバイ”が町名で「おお、僕のグッバイ町」みたいな意味かとも思ったのだが、サビの歌詞にあるように、これは「サヨナラ俺の街よ」という意味なのである。すっげー英語訳。
もっと古い曲でジャガーズの『マドマゼル・ブルース』(この英仏混交のタイトルもすごい!)に出て来る「ベイビー・ビー・マイ・フリー」(ベイビー、俺の自由になれ)っつうのもすごいが、それに比肩する、神をも恐れぬ翻訳である(きっと仏教徒なんだろうなあ)。
そして、歌詞の最後の部分もすごい! この街を後にする俺が泣いているのではなく、街のほうが泣いているのである。このくらいのパワーがないと世界歌謡祭のグランプリは獲れなかったのだろう。
僕もできれば東京を泣かせて去って行きたいものだ。
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