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Saturday, July 08, 2006

映画『ローズ・イン・タイドランド』

【7月8日特記】 映画『ローズ・イン・タイドランド』を観てきた。

そもそもは『ゆれる』を見に行ったのだが目当ての回は早々と立ち見。ふと見ると隣でこの映画をやっていたので待ち時間に観ることにした(その後で観た『ゆれる』については明日書くことにする)。

などと書くと如何にも暇潰しに見たような印象を与えるが、今日封切りだとは知らなかっただけで観ることは心に決めていた映画だ。

テリー・ギリアム監督の映画を(映画館で)観るのは6本目。1995年の『12モンキーズ』で知ったという人も多いだろうし、あるいは81年の『バンデットQ』から目をつけていた慧眼の持ち主もいるかもしれないが、僕の場合は85年の『未来世紀ブラジル』でガーン!と大ショックを受けて以来のファンである。

前作の『ブラザーズ・グリム』がちょっとがっかりの出来だったので、ギリアム・ファンにとっては今度こそという感じではないだろうか? そう、そして本当に今度こそギリアムらしい傑作だったと思う。

と書いたものの、この映画、人によってはとても退屈に感じるんだろうな、と思う。なにしろ、これはアリスがワンダーランドに迷い込むようなファンタジーではなく、大半が『不思議の国のアリス』好きの少女ジェライザ・ローズ(ジョデル・フェルランド・・・抜群に可愛かった)の空想を追っかけただけの映画なのだから。

でも、子供時代にはよくこういう空想に耽って1人2役で会話したりしたもんだよなあ、と思い当たる節があるかどうかが、退屈せずに観られるかどうかの分かれ目だろうと思う。

そして、この画面。これこそテリー・ギリアムと言う画作りである。

大半のシーンでカメラが斜めになっている。──世界は傾いているのである。臨場感を持たせるための技巧とも取れるが、これがギリアムからのメッセージであるような気もする。

真上から、斜め下から、横から、どのシーンも非常に凝っていて本当に見ていて飽きない。映画はやはり第一義的に映像芸術なのである。今回はこの映像の底力が他の全てを圧倒する。

父親(ジェフ・ブリッジス)はロック・スター、母親(ジェニファー・ティリー)はジャンキー。その母親が死んだ後、ローズは父と2人で祖母の生家に行く。大草原にポツンと立つボロボロの屋敷。そんな所だから周りに住む人などいないのかと思ったら、如何にも怪しげな女ととても正常とは思えない青年がいて・・・。

ギリアムらしい皮肉はあるものの教訓もなければカタルシスもない。ちょっとアブナい人物がいっぱい出てきて、この自由な発想にただただ感服する。だいたい父親が注射する麻薬の調合をしてやる娘がどこにいる?(ただでさえ、母親が麻薬でショック死してるのに)──でも、本当に世界は傾いているのだから仕方がない。

深読みだとも言えるが、ここでは「少女期」が描かれ「成長」が描かれている。「死」の扱いも独特。まさに干潟(タイドランド)に潮が満ちたり引いたりするみたいにイマジネーションが満ちたり引いたりする。僕らの心の深ーいところに指を突っ込んでかき回してくれる映画と言えるのではないかな。

まさにギリアム・ファンのための映画であった。でも、頭の15分間を見て退屈だと思った人は映画館を出たほうが良いかも。いや、画を観ているだけでも楽しいかも。

さて、あなたはどっちだろ? 嫌気が差すか嵌るか? がっかり、げっそりするか、うっとりした後でウーンと唸るか?

僕は堪能した。でも、見終わってから文句言っても、僕は知らないからね。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

It's a Wonderful Life
That's The Way Life Goes

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