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Tuesday, July 04, 2006

殺さないで考えた。考えたら殺さなかった。

【7月4日特記】 最近やたらと殺人事件のニュースが多い。あまりに多すぎてどこで誰が誰をどのように殺したのかさえあやふやになってくる。

考えてみれば、僕も少年時代には何度も「殺してやりたい」と思ったことがある。いや、今だってたまにある。でも、なんで殺すに至らずに済んだのかなあと考えてみる。殺し方をいろいろ想像するだけで終わったことも多い。でも、それは殺し方を空想することで発散したという訳では決してないはずだ。

雑駁な言い方だけど、結局いろんなことを考えたからだろうなあ、というのが結論である。「いろんなことを考えた」ではあまりにいい加減なので、考えたことを以下2つくらいにまとめてみた。

  1. 殺さないことは殺されないための工夫である
  2. 個性を主張するには多様性を許容するしかない

《第1のポイント》

僕が誰かを殺したいと思うにはそれなりの理由がある。そして、僕を殺してやりたいと思っている誰かにも彼なりの理由がある。ただ、多分、彼は僕の理由に納得できないだろうし僕は彼の理由に同意できないだろう。

僕が誰かを殺すことを認めてしまうと、僕が誰かに殺されることを認めるしかない。恐らく僕にとってとても理不尽な理由で殺されることを。

個人の感じ方や判断というものはことほど左様にバラバラなものだ。だから一旦誰かが誰かを殺すことを容認してしまうと、四六時中そこら中で誰かが誰かを殺してる世の中になってしまう。

それでは自分だっていつ殺されるか分かったもんじゃない。それは具合が悪かろうということで、殺して良いかどうかを当事者が判断してはいけないことにした。それが憲法とか法律とかいったものの仕組みであり、自分が殺されないための工夫なのである。

今の日本では何であれ殺してはいけないことになっているが、場合によっては殺しても良い時代もあった(侍の仇討ちなど)。いずれにしても大事なことは殺して良いかどうかを判断するのは本人ではないということだ。それが憲法とか法律とかが作り上げた偉大なる工夫なのである。

「何故殺してはいけないか? それは法律で禁じられているから」──というのはとても直截的で単純明快なロジックではあるが、法律に定められているからそれを守れというだけの理屈では少し説得力に欠けることもある。法律というものは実はむやみに殺されないための工夫なのである。そのことに気づけば、とりあえず法律を守ろうという気も芽生えて来るというものだ。

《第2のポイント》

僕は個性をとても重んじている。個性を大切にするということは、つまり「俺を認めろ!」ということだ。「認めろ!」というのは別に「高く評価しろ!」ということではなくて、単に「排斥するな!」ということである。

「排斥するな!」と主張するのであれば、自分も他人を排斥する訳には行かない。それが対等な関係というものだ。結局、理解できないもの、異質なもの、嫌悪感を覚えるものをどれだけ許容できるかということが、自分の個性をどれだけ主張できるかということのバックボーンになって来るのだ。

何を甘いことを、と言われるかもしれない。「まず俺を認めろ! そしたらお前らを認めてやる」くらいの態度で臨まないとやられっぱなしだ、という意見の人もいるだろう。

でもね、誰もが互いに「まず俺を認めろ!」と言っている限り相手に認められることはあり得ないんだよ。まず相手を認めてやることが相手の心をほぐすことになる(もちろんほぐれないこともあるけど)。結局そういう風に遠回りができるかどうかが勝負になって来る。

多様性を許容する社会こそが成熟した社会であり、多様性を許容する社会だけが可能性のある社会なのではないかな。

もちろんいきなりそんな成人君主になれる訳がない。まずは殺したいと思っても良いから実際には殺さないこと。そこから始めれば良いと思う。

《つまり》

もっと考えよう。もっと悩もう。殺してしまう前に。

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