『あずみ』『あずみ2』
【6月30日特記】 WOWOW で録画したままほったらかしてあった『あずみ』と『あずみ2 Death or Love』を観た。前者は2003年度キネ旬第76位。
原作となった漫画のことは知らないが、映画になってしまうと、これらはまず上戸彩のアイドル映画、そしてアクション時代劇である。
ともかく斬って斬って斬りまくる。本当のところ、日本刀なるものは2~3人も斬ると刃こぼれする上に血と脂がべっとりついて斬れなくなるらしいが、そんなことを言ってると時代劇は成立しない。
ともかく、どうカッコ良く斬るか、大勢の敵をやっつけるかだけを考えて撮られた映画で、徳川と豊臣が対立していたという設定だけは借りているが、あとは史実なんかに見向きもしない感じ。
なにせ斬ることだけが命。なので深みなんぞはない。ドラマツルギーもない。
『あずみ』の北村龍平監督は“アクション・オタク”と目されている人。カメラマンは北村監督と組むことの多い古谷巧。『マトリックス』ばりのカメラワークでビュンビュン飛ばしてくる。──多分これはその辺のことを楽しめば良い映画なのだろう。結構豪華に若手俳優を配している。
でも、この映画で一番眼を惹くのは美女丸を演ずるオダギリジョー、いやはや怪演ですなあ。この人一体どうなってるんでしょう!?
例えば『血と骨』での北野武の息子、『パッチギ』の大学生、『イン・ザ・プール』の勃起が収まらなくなった患者、『メゾン・ド・ヒミコ』のホモセクシュアルの青年、『SHINOBI』の忍者、『THE有頂天ホテル』の筆耕係、『BIG RIVER』のバックパッカー──と、ここ2年ばかりの出演作の中からいくつか挙げてみただけでこれだけタイプの違う役柄を、しかも完璧に演じている役者が他にいるだろうか!
最後が上戸彩とオダギリの対決になったところが盛り上がったねえ。
続編の『あずみ2』は金子修介監督。最新作は『DEATH NOTE』。この人は器用だからどんな映画でも撮っちゃう。カメラマンは阪本善尚。この人は既に名を成した感のあるベテラン。僕も70年代後半から80年代中盤まではよく観てました。
こっちのほうは『あずみ』ほどけれん味たっぷりの画作りはしていないが、決して前作に見劣りしない。
小栗旬がパート1で死んだ「なち」のそっくりさん役で再登場するのは良いとして、これまた前作で死んだはずの遠藤憲一が全く別の役で出てくるのには笑ってしまった。ま、こういうことは昔の東映のシリーズものではよくあったことなんですけどね。
で、この映画も基本的には斬って斬って斬りまくる映画なのだが、こっちのほうでは主人公のあずみが人を斬ることの意味が解らなくなって少し悩む姿が描かれる。ま、この辺が北村龍平と金子修介の違いである。
いずれにしても、両方とも娯楽大作。それ以上の意味を求めてはいけない。
ところで、関係ない話だけど、Amazon で「あずみ」を検索するとやたらとアダルトものが出てきて驚いた。
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