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Saturday, June 17, 2006

映画『DEATH NOTE』1

【6月17日特記】 映画『DEATH NOTE』を観て来た。

最初に断っておく必要があると思うのだが、僕は原作の漫画は全く読んだことがない。原作ものの映画の場合、原作を知っている者にとっては原作と映画のギャップが常に大きな論点になる。この作品のように、原作の時点で既に人気が大爆発してしまっているような場合は、なおさら大きな論点になる。

僕はその論点とは無縁である。淋しいことであるとも言えるし、純粋に映画を評価する上では好都合だと強弁することもできるだろう。

以下の文章は、僕のような原作を全く知らない人間が、同じように原作を知らない人たちのために書いたものだと承知してほしい。

さて、そういう人間がこの映画を見た感想を述べるならば、「めちゃめちゃ面白かった!!」と言う以外にありえない! いやあ、いやいや、ほんまにほんまに、めっちゃおもろかった!

在学中に司法試験に合格してしまうようなエリート大学生・夜神月(ヤガミライト。扮するのは藤原竜也)が、そこに名前を書くとその人が死んでしまう「DEATH NOTE」を拾うという単純な設定なのだが、その後の進行が巧みで先読みを許さない(この辺は原作の力なんでしょうね)。

月は将来は警視総監を目指すような非常に正義感の強い青年であり、凶悪犯罪者が様々な理由から処罰を逃れて野放しになっている状況に怒りを覚え、自らそういう人間を処刑し始める。世間はこれを「救世主キラ様」の仕業であると歓迎する。

ところが、ICPO(国際刑事警察機構)がキラ逮捕のために送り込んできた謎の天才捜査官・L(エル、竜崎とも名乗る。扮するのは松山ケンイチ)の出現をきっかけに、正義の塊であった月の意識が次第に歪んで来て悪の要素が顔をのぞかせる──この辺りがこの物語のキモだ。

そして、「DEATH NOTE」を拾って以来、月につきまとう死神・リューク。もうCGだということが丸判り(そりゃ、あの骨格だとCG以外では無理だ)のCGなのだが、動きもユーモラスで(なんでリンゴ食うんだろ?)死神というキャラクタでありながら物語に潤いを与えている。ちなみに、声は中村獅童がアフレコしている。

カメラは無駄に動き回ったりせず、役者の芝居をじっくり見せてくれる。
役者陣は、月の父親でありキラ事件の捜査本部長である夜神総一郎役の鹿賀丈史を筆頭として、月役の藤原竜也を含めて、いずれもやや「芝居がかった」演技をしている。そもそも(原作が漫画だから当たり前だが)筋運び自体に漫画的な部分があり、大げさな演技と相俟って全体が漫画的になっているのは事実。

でも、これはエンタテインメント作品であるのだし、これで良いような気がする。そして、エンタテインメント作品でありながら、そこにはしっかりとしたメッセージがある──それは、ワイドショーで凶悪犯罪者のニュースを見ながら「あんな奴は殺してやればいいんだ」などと軽々しく口にしている者たちへの警鐘である。

なんとまあ、解りやすい警鐘か!という気もするが、でも、とても重いメッセージである。

猫背でネクラっぽくて異常な甘党という非常にデフォルメされたキャラ・Lを演じる松山ケンイチが非常に良い。月とLの頭脳の競い合いがとてもスリリングである。

日本初の前後編映画(つまり、今回は前編であり、11月に後編が上映される)ということだが、最初から4時間を前提に映画化したことが功を奏しているように思う。往々にして2時間の映画に短縮するために失われてしまう肌理の細かさが、ここでは充分に保たれている。

実はそもそも昨日まではあまり観る気がなかったのである。ところが、午前中に『王様のブランチ』の映画紹介コーナーを見ていて急に観たくなって出かけたのである。誰が監督かも知らなかったのだが、エンドロールを見ていると、なんと金子修介ではないか!

なあんだ、道理で面白いはずだ。原作だけの面白さじゃないよね。目立たないけど絶対演出の手腕に拠る所も大きいはずである。にっかつロマンポルノの頃から好きな監督だったんですよね。映画館で観るのは7本目。チーフ助監督を務めた『家族ゲーム』と『メインテーマ』(いずれも森田芳光監督作品)を含めると9本目ということになるが、ここんとこガメラとかゴジラとか学校の怪談とかそういうのが多くて、みんなパスしてきたので金子作品を観るのは11年10ヶ月ぶりである。

いやあ、こりゃ後編も見ざるを得まい(突然思い出したけど、そう言えば『キル・ビル』は vol.1 だけ観て vol.2 は観なかったなあ)。

スタッフロールの後に予告編がついてる(ったって、ほとんど音だけみたいなシーンだけど)ので、最後まで見てね。

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Comments

はじめまして。
私は映画前に慌てて原作読んで映画を愉しみにしてたクチの者です。
竜也がライトなら見てみたいとおもったので。
原作知ってると判るんですけどね。そうか、リンゴは解説なかったですね。
リュークはリンゴが好物なんですw

Posted by: 魅羅 | Wednesday, June 21, 2006 at 07:23

> 魅羅さん

コメントありがとうございます。
そうか、映画を観る前に慌てて原作を読むという手もあったんですね。僕の場合はなにしろ公開当日に突然観る気になったもんで。

ところで、リュークがリンゴが好物であることはさすがに見てりゃ分かりますw なんでリンゴなのかな?と思った次第です。その由来とか説明とかは原作にあるのかな?

Posted by: yama_eigh | Wednesday, June 21, 2006 at 09:55

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