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Monday, May 01, 2006

続・次の手法

【5月1日特記】 先輩社員たちは皆異様なほどに個性豊かだったが、皆一様に厳しかった。

その中に、名門私学の某球技部出身のK氏がいた。筋金入りの体育会系である。K氏は僕が下につく少し前まで母校の球技部の監督を務めていた。

そして、ある日K氏が言った。

「やまえー、俺が監督やってた時はさあ、大事な試合が近づいてくるだろ? そうすると、練習中にさあ誰でもいいから選手の誰か1人に難癖つけてどやしつけるんだよ。そいつは別に何も悪くないんだよ。でも、そいつをどやしつけといて『お前らなってない! 連帯責任だ。ここに整列しろ』て並ばせてぶん殴るんだよ。そしたら選手たちはさあ、『このやろー』って感じで団結心が高まって来るんだよな」

僕はこの話を聞いて、「ああ、こんな奴とはやっとられんなあ」とかなりうんざりした。この人はそういうことを考えてやっているのかと思うと虫唾が走った。

そして、何よりも嫌だったのは、僕が観察する限り、この人は常にそういう深慮遠謀に基づいて行動しているのではなく、たまに単に腹立ち紛れにそういうことをすることがあるということだった。

それはK氏が先輩たちからそういう仕打ちを受けて成長したという体験がそれこそ身体に染み付いてしまい、言わば本能的にそういう行動に出てしまうことがあるということだ。

僕はこのK氏とは割合うまくやって行けたと思う。そして、仕事の面ではK氏のおかげで上達した面もあると思うし、K氏の下にいた何年間かが僕の人間性をも鍛えたと思う。

だが、僕はそれを後輩たちにやりたくないんだ。この手法は途絶えさせなければならない。でも、それに替わる手法は?

今のところ、冷静に諭すように諄々と丁寧に教えて聞かせることくらいしかない。でも、それで人は育つのだろうか? 判らない。

次の手法を考え出さなければ──それが僕らの世代の使命なのだろう。

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