« ライター没収 | Main | 映画『雪に願うこと』 »

Saturday, May 20, 2006

『幸せになるためのイタリア語講座』

【5月20日特記】 今日は久々に WOWOW から録り溜めた映画の消化。『幸せになるためのイタリア語講座』。去年の7月に録画したものを今頃見てるようではあきませんわな。

2000年のデンマーク映画。ベルリン映画祭で高い評価を受けたとか。

乱暴に言ってしまうとどこかしら不幸な男女が6人。妻を亡くしたばかりの新米代理牧師(牧師の仕事に馴染めずヘマばかりしている)。インポテンツになって4年半もセックスしていないホテルの受付係。素行が悪くてレストランを馘になった男。アルコール依存症(なのかな?)の母親の介護に疲れきった美容師。高校を出てから40回以上転職している不器用なパン屋店員の女(ひねくれた父親との同居に辟易している)。デンマーク語がほとんど解らないイタリア人の若い女性。

その6人が市役所のイタリア語講座に集まる。そして3組のカップルが誕生する。──ただそれだけの話。

傷ついた人、心が弱っている人間は恋に落ちやすい。実際そんな風にして始まった恋が長続きしないことも多いのだが、彼らはどうなのだろう。この映画ではそんな先までは描かれていない。だけど、この6人の登場人物がみんな優しい目をしている。傷ついた人間に対する優しさを持ち得る人たちなのだ。

誰一人として知らないのだが、俳優たちがとても良い。

カメラワークに凝ったところはなく、人物に寄った画ばかり(時々不自然に更にグッと寄る)。ヨーロッパ映画に多いことだが、シーンの転換もやたらそっけない。

だけど、なんか心が温まる映画なのだ。何度も髪を切りに来るのに結局切らないまま美容院を出る男など、エピソードの重ね方も独特で面白い。

弱者、落ちこぼれた者、凡人、不幸な人──そういう人たちが一人ひとり守られ、赦され、背中を押されて立ち直り、癒されて行く。優しい目をした監督の微笑がスクリーンの向こうに見えるような気がする。いや、それは監督の存在ではなく、神の存在なのかもしれない。

ちょっと『かもめ食堂』を思い出したなあ。じんわりと温まって来る優しい映画でした。

|

« ライター没収 | Main | 映画『雪に願うこと』 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 『幸せになるためのイタリア語講座』:

« ライター没収 | Main | 映画『雪に願うこと』 »