Crazy For You, Again
【5月3日特記】 移動中の飛行機の中でクレイジーキャッツ & YUMING の Still Crazy For You を聴いた。
あまり歌が巧いとは言えない松任谷由実と谷啓が何の工夫もなくユニゾンでデュエットしているのだが、ゆったりとした4ビート・ジャズのフィーリングが心地良いし、何の衒いもないメロディがすっと体に染み込んでくる。
いや、楽曲の出来云々よりも、ユーミンがクレイジーキャッツに対するリスペクトを表明するという、この手の企画の成立を喜ばしいと思う。
クレイジーキャッツの全盛期についてはさすがに僕もおぼろげな記憶しかない。もう何十年も前になるが、大瀧詠一がクレイジーをとても評価しているのを読んで、「あ、そうか、そんなにすごい人たちだったんだ 」と見直したのが僕の彼らに対するリスペクトの始まりだった。
ただのコメディアンだと思っていたら意外に腕の立つミュージシャンだったみたいなことは、ビートルズ来日公演の前座がドリフターズであったという逸話を引っ張り出すまでもなく、たまにあることである。
しかし、ドリフターズにしても、小野ヤスシが在籍していたドンキー・カルテットにしても、音楽を肴にしてお笑いをやっていた、あるいは元ミュージシャンのコメディアンという印象が強い。クレイジーキャッツの場合は音楽と笑いが完全に融合していた。そこがクレイジーの凄いところである。
僕は仕事の関係で何度かハナ肇のステージをライブで観ているのだが、ドラムスを叩いて笑いを取れるのはあの人くらいのものだろう。年老いてからもその芸は健在だった。海外の客にも大いに受けていた。
大瀧詠一の影響を受けて彼らのシングルもたくさん聴いてみた。それは単に歌詞が面白いというものではなかった。さすが、三木鶏郎の冗談音楽辺りから注目していた大瀧詠一の眼力は確かだと思った。
こういう風にちゃんと価値の解る人が世間に対して正しい評価をしてあげることはとても素晴らしいと思う。こういう企画がたくさん出てほしい。
さて、次は宮川左近ショー辺りかな?
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