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Sunday, April 09, 2006

映画『寝ずの番』

【4月9日特記】 映画『寝ずの番』を観てきた。

今年に入ってから『三年身籠る』、『好きだ、』、『かもめ食堂』と超A級映画3本に当たったので、実はもうお腹一杯状態であまり映画に対する食指が動かない。しかもこの映画、なんだかオーソドックスそう(ということは、僕の好きなタイプの映画ではなさそう)である。

でもなあ、こういうのが意外によくできていたりするから見逃した後で評判聞いて悔しい思いをする可能性もあるんだよなあ・・・という訳で見に行ったのであるが、予感は外れた。

監督として「マキノ雅彦」とクレジットされているのは、往年の名監督マキノ省三とマキノ雅弘をそれぞれ祖父と叔父に持つ、俳優の津川雅彦である。もちろん初監督作品。落語家の師匠が亡くなり、通夜の席に弟子たちや家族が集まって「寝ずの番」のどんちゃん騒ぎをするコメディ。

いや、まあまあ面白いんですよ。出てる役者はみんな巧いし、役者たちのちょっとなまめかしい感じの演技に統一感があるから、多分監督の演技指導も行き渡っていたんだと思う。ただなあ・・・、なんて言うか、例えば同じくそれまで一介の俳優であった伊丹十三が初監督した『お葬式』を観たときのような驚きがあるかと言えば、全くないです。

監督は単なる演技指導者じゃないんですよね。監督はまず映像作家でなきゃ。

中島らもに目をつけたのは着想としては良かったけど、この作品を選んだのは失敗では? ネタバレになるから書かないけど、同じような話が段積みになったストーリーなので起伏に欠けるのである。最後に向かって盛り上がる要素がない。むしろ飽きる。ひとつひとつのエピソードは面白いのに、映画全体としては体の良い“ネタ集”にしかなってない。

これなら舞台でやったらどうか? 三味線使うとなると劇団鳥獣戯画とか。歌舞伎ミュージカルにすると結構面白いかも。

全体的にテンポと言うか構成と言うか、なんか現代的でないんですよね。これ、宮藤官九郎にやらせてみたかったなあ。きっと倍くらい面白くなったと思う。

どんちゃん騒ぎしてる途中で急にヴィヴァルディの『四季』が流れて場面転換するでしょう? ああいうセンスもちと解らない。ほんで、最後のシーンでもう1回同じことをやるでしょ? エンディングで流れるのは、独りアカペラ&口で全ての楽器の音色を出してしまうボビー・マクファーリンが1988年に放った全米ナンバー1ヒット“Don't worry, Be Happy”。こっちのほうの選曲は結構マッチしているのだけれど、うん、どうもなあ・・・。

ただね、この映画には僕の嫌いな要素が多いんですよ。だからその分評価がきつくなってるかも。

例えば、ここで描かれているのは一般人から見れば羽目を外しすぎの芸人の世界なんだけど、これは僕が好きでない「宴会のオッサン乗り」と一緒。

それから、津川がマキノの「大名跡」を継いだ襲名披露というふれこみの映画で、監督の実兄・長門裕之と実娘・真由子が出ていること──僕、こういう家族主義嫌いなんですよね。歌舞伎や茶道じゃあるまいし、家族の垣根から飛び出してみんなで作ろうよ。

ほんで、マキノの伝統芸を継承あるいは復活させようという意気込み──僕は伝統を壊すほうにしか興味がない。ま、仮にその伝統が映画の中で見事に復活していたとしても、僕は日本映画の伝統についてもマキノ某についても何も知らないので、きっと気づかないからどうでも良いんですけどね。

僕は以上のような偏見を持って観たので、評価にバイアスが掛かっているかも。日本アカデミー賞くらいにならノミネートされたりして。もっともあの賞にはどんな映画がノミネートされても驚かないけどね。

調子に乗って貶しすぎたかな? 拙さを感じさせるところは特にないし、ま、そこそこ面白くはありましたよ、はい。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

「朱雀門」という方法・第2章

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Comments

こんばんは、TB&コメントありがとうございました。

ヴィヴァルディ・・・確かにあの音楽は物語に合っていませんでしたね。選曲のセンスを疑います。クラシックを使うなら、サティとかのすっとぼけたピアノ曲でまとめて欲しかったです(個人的な趣味ですが)。

回想エピソードの繰り返しはちょっと疲れました。そういう部分を端折って舞台でやったら面白いかも知れないですね。

Posted by: 朱雀門 | Thursday, May 11, 2006 at 01:53

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Tracked on Thursday, May 11, 2006 at 01:33

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