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Saturday, March 18, 2006

映画『ルート225』

【3月18日特記】 映画『ルート225』を観てきた。シアターN渋谷──ユーロスペースが移転した跡にできた映画館だ。客は13人。うちカップル1組。他は全部1人で来た客(そのうち女性は1人)。

藤野千夜による同名の原作小説を読んでいたということもあるが、この映画を観ようと思った最大のポイントは多部未華子である。

──映画『HINOKIO』に出ていた、男の子だか女の子だかよく分からない子、と言っても判る人は少ないだろう(でも、あの映画を観た人なら「ああ、あの娘か!」とすぐピンと来てるはず)。城南予備校のポスターに写っている子と言えば判るだろうか?(しかし、それにしても、あんなにくっきりとモデルの影が写っているポスターを見たことがない。何の意味なんだろう?)

4月下旬に公開される映画『夜のピクニック』でもまた主演らしい。これもすごく楽しみである。

『HINOKIO』での多部未華子はめざましかった。ただ、あの映画では少年っぽい少女というキャラが見事に嵌っていたのに対し、今回は典型的に少女っぽい、と言うより長女っぽい役どころである。巧く演じられるかどうかちょっと心配だったのだが全くの杞憂だった。映画全編を通じて多部未華子の演技力全開である。この子はめちゃくちゃに巧い。あの眼の鋭さは健在である(なんて書くと年寄りみたいだが、成長しても失っていない、という意味)。

原作を読んだのは何せもう4年と半月前なのであまりはっきり憶えていないのだが、概ね原作に忠実な映画化だったのではないだろうか。もちろん原作になかったシーンもいくつかあるようだが、全体としてのトーンはきっちりと継承していた。この辺のトーン・コントロールの良さに監督の力量を感じる。

原作の書評にも書いたのだが、中学生の姉弟がパラレルワールドに迷い込んでしまって戻れなくなるなどと書くといかにもSFジュヴナイル小説みたいに見えるのだが全然そんな話ではない。物語の終盤で特に何か劇的な展開があって問題が解決したり謎が解けたりするような話ではない。だから、そういうカタルシスを求めてこの映画を観た人は失望するだろう。しかし、それこそがむしろこの物語のミソなのである。

現実の問題は容易に解決しないし、そもそも何でその問題が起きたのか解らないことさえ多い。時間が経てば解決するというほど単純かつ暢気なものでもない。それでもなんとかこなして行くしかない。それが生きるという作業である。ひょっとしたらそれがこなせるようになることを成長と呼ぶのかもしれない。

自信はないが、台詞はかなり原作のままの部分が多いのではないかな。とてもヴィヴィッドな少年少女の会話になっていた。カメラワークは、特別なことは何もやっていないので褒めにくいのだが、このシーンは寄って撮るのか引きで撮るのか、ルースの場合人物は画面のどのあたりに位置するのが良いのか、そういうことが非常によく解っている気がする。力のある画だった。恐らく撮る前から頭の中にちゃんと絵が浮んでいる監督なのである。

役者については多部未華子のことばかり書いたが、2人のデブ少年、岩田力と石原裕太もとても良かった。それから崔洋一の叔父さん、怖かったねえ。

観終わってにんまりはしないかもしれない。でも、原作の小説同様、どこか心が安らぐ映画だった。

ところで映画を観るまで僕はルート225の意味を半分しか解っていなかった。僕はルート66と同じ意味でのルート225、つまり国道225号線という意味しか読み取っていなかったのだが、もうひとつ225の平方根、すなわち15という意味も込められていたのである。15とはもちろん主人公の年齢である。15の2乗が225であることは暗記しているので10の2乗も承知していたのに不覚であった。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

アロハ坊主の日がな一日(同じ日に同じ映画の記事上げてました)
日っ歩~美しいもの、映画、子育て...の日々~(僕とは違う視点があります)

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Comments

どうもっす。
久しぶりにかぶりましたね。

yama_eighさんも[ HINOKIO ]ごらんになってましたね。
僕も、あの時の印象があるので今回の姉役の変貌ぶりに
ちょっと驚いてしまいました。

姉よりは弟のダイゴにとりつかれちゃったんですけど。

Posted by: アロハ坊主 | Sunday, March 19, 2006 at 23:34

> アロハ坊主さん

そうですか、僕は少年と少女がいたらどうしても少女に眼が行ってしまいます(笑)。

あのダイゴ役、オーディションで選ばれたという触れ込みの割にはやたら巧いなあと思ったら、映画こそ初出演ながら演劇やミュージカルでちゃんとキャリアを積んでいる少年でしたね。

非常にしっかりした演技力なんだけど、デブ・キャラとは言え徹底的に笑いの的になるキャラでもなく、さりとて哀れを誘うタイプでもなく、うーん、こういうタイプ、将来大成するかなあ。でも、少なくとも監督に好かれる脇役として重宝はされるかも。

Posted by: yama_eigh | Monday, March 20, 2006 at 00:21

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