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Wednesday, March 29, 2006

政党支持率を考える

【3月29日特記】 日本中のいろんな調査機関が政党支持率の調査をしていて、それが発表されるたびに思うのだが、日本(だけじゃないかもしれないが)の政党支持率はどうしてこんなに変動するんだろ?

やれ靖国神社参拝問題だと言って自民党の支持率が下がったかと思うと、それ偽メール事件だと言って今度は民主党の支持率が下がる。そんなものどうでも良いことばっかりじゃねーか、とまで言うと乱暴すぎるのは確かだが・・・。

この2つに関しては、僕は小泉首相の靖国参拝は(外交に影響を及ぼすほどの)大きな
問題だとは思うが、偽メール事件は政党(あるいは国家)全体に及ぶような問題ではないと思う。そして、靖国参拝についても、それは小泉首相の一貫した姿勢なので、今年も参拝したからと言って、あるいは今年中国が激しく反発したからと言って、そのことによって支持率が変わるのも妙な話だと思う。

「小泉首相は支持するけど靖国参拝には疑問を感じる」とか「民主党は支持するけど、今回の偽メール事件への対処の仕方にはがっかりした」とかいうのが本来あるべき態度なのではないだろうか? 1つひとつの事象によって支持/不支持を切り替えるということが理解できないのである。

もちろん「がっかりした」ことがきっかけで支持が不支持に変わることはあるだろう。しかし、政党の支持率がこれほどマメに変化することに何か違和感を覚えるのである。

1つひとつの事件の前に、政党には「概ねこの方向を目指す」という基本路線がある(それがなければ政党とは言えない)はずで、支持/不支持はそれを見て決めるものではないのだろうか? ならば政党支持率はいちいちこんなに変化しないはずだ。

何故なんだろう?と考えていたら、ひょっとしてこういうことではないかと思い当たった。

まず、これらの世論調査はパネル調査ではない、即ちずっと同じ人物に問い続けて、その人の支持がどう変わるかを辿っているわけではなく、毎回いろんな人にアンケートをぶつけて集計しているということ。だから、この結果を見て同じ人の意識がコロコロ変わっているような印象を持つのは必ずしも正しくないということ。

ただし、正しく抽出されたサンプルを充分に確保した調査であれば、母集団をある程度正確に反映した結果が出るはずだから、その数字が大きく変動するということは、やはりコロコロ態度を変えている人がいるということである。それは何故か?

つまりこういうことではないかな?

アンケートを依頼された人の中には、実は普段政治のことなんかロクに考えたこともない人も少なくないのだ。だからと言って「政治には興味がない」「支持政党なし」と断言できるほどでもない。

そういう人が突然「支持政党は?」などと難しいことを振られると、結局身の周りの最近の事例で考えるしかなく、「うーん、偽メール事件、あれはマズイよな。うん、民主党は支持できねえ」てな感じで回答しているのではないだろうか。

政党支持は思いつきで決めるものではない。政策の是非はワイドショー的な印象論では判断できない。政党の基本方針を身の周りの最近の事例で否定することには無理があるということなのである。

もちろん現在の政党や政治家に対する注文がないわけではない。
だが、国民も普段からもっとちゃんと政治のことを勉強しておく必要があるのではないだろうか。国民の不勉強と思いつき回答が政党支持率を動かしているとすれば、それはあまりにもお粗末である。

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