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Saturday, February 18, 2006

殺そうと思うだけで良かった

【2月18日更新】 凄惨な事件が起きると豊田勇造の『殺そうと思うだけで良かったのに』という古い歌を思い出す。

確か父親を殺してしまった少年のことを歌った歌で、勇造自身も若い頃本気で父親を殺そうと思ったことが何度もあったらしい。でも、彼は殺そうと思うだけで済んだ。殺そうと思うだけで良かったのに、という歌だ。

先週金曜日に起きた事件はまだ全容が解明されていないので迂闊なことは言えない。だが、なんであれ、人を殺したいと思ってしまうことは誰にでもあることなのではないだろうか? 僕にはあった。そして、僕もまた殺そうと思うだけで済んだ。

幼児を手に掛けるなんて許せない、という怒りは当然である。しかし、僕らがかつて誰かを殺したいと思ったとき、それは同じように狭量で、傲慢で、独善的で近視眼的な思想に裏打ちされたものではなかったか? 一時的な感情の嵐に支配されたものではなかったか? あるいは、その感情に至った判断自体がとんでもなく見誤ったものではなかったか?

聖書の中に「情欲を抱いて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである」という言葉がある。しかし、僕は心の中で姦淫するだけならそれで良いではないかという気がする。それをも禁じられて生きて行けるのはイエス・キリストだけではないかと思う。

若い頃僕らは何度も心の中で姦淫し(ただし、聖書で言う「姦淫」とは夫婦間以外での性交渉のことであるから、僕が今ここで書いている意味とは少し違っている)、心の中で殺人をしてきた。頭の中で犯し方や殺し方を思い浮かべてみたりもした。

でも、犯さずに済んだ。殺さずに済んだ。
だけど、何かの具合で一線を越えてしまう人がいる。

殺そうと思うだけで良かったのに。

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