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Monday, January 09, 2006

『死に花』

【1月9日特記】 昨年 WOWOW から録画しておいた『死に花』を観た。

犬童一心監督作品。2004年度キネマ旬報第70位と評価はかなり低い(かろうじて票が入ったということだ)が、なかなか面白い作品だった。

舞台は超高級老人ホーム。入所申込金が最低9,000万円、月々の家賃が25万円というから相当な金持ちしか入れない。いろんな教室があって、ジムもあればプールもある。パーティだって行われる。

とは言え、老人ホームだけに死とは隣り合わせである。現実に所内で葬儀も執り行われるし、隣には焼き場がある。

退屈するのが一番怖いと言う。一方で、年老いたとは言え人間である。恋愛があり、セックスだってある。

──そういう老人ホームの日常が、新人職員である星野真里の眼を通じて延々綴られるのかと思ったら、後半ストーリーは一変する。

藤岡琢也扮する老人が死んで、彼が生前に企画した「お別れ会」が行われたのをきっかけに、老人たちに「人生を楽しみたい。もうひと花咲かせたい」という機運が高まる。

そして、藤岡が山崎努に残したノートに書かれていたのは、銀行からの現金収奪計画──その計画を5人の老人たちが実行することになった。

メンバーは元映画プロデューサーで肉体を鍛えるのが趣味みたいな山崎努、元銀行員で真面目一徹な宇津井健、いい年をして女の尻ばかり追い回しているちゃらんぽらんな青島幸男、とぼけた小心者の谷啓、そして山崎の恋人・松原智恵子である。

この5人に、たまたまトンネルを掘り始める場所にビニール・シートを張って暮していたホームレスの長門勇が加わり、さらにひょんなことから星野真里まで手伝うようになって合計7人になる。

さて、結末はどうなるか? これからDVDで観る人のために詳しいことは書かない。あっと驚くような大どんでん返しがあるわけではない。ただ、なかなか良い結末だと思った。

映画の中でビング・クロスビーの言葉として紹介されているのが、「人生は楽しむべきもの。苦しみは少々の味付けに」という粋な表現。これがこの映画を貫くテーマになっている。

老人たちはいずれも達者な俳優ぞろいでそれぞれ如何なく持ち味を発揮している。特に、上では書かなかったが、藤岡琢也の恋人役の加藤治子がやっぱり凄い! 彼女のエピソードは前半のキーポイントである。

そして、彼らに加えて、今年『さよならみどりちゃん』で大ブレークした星野真里が何とも言えない良い感じである。

見て損はない。元気が出るよ。

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