森下佳子から目が離せない-1
【1月19日更新】 ここ何年かTVドラマ離れしてしまって、最近の脚本家の名前が全然分からなくなってしまったのだが前クールはサタケミキオという名前を憶え、今クールは森下佳子(もりしたよしこ)という名前を憶えた。
資料によると東大卒だそうだ。過去の作品では『平成夫婦茶碗』、『お前の諭吉が泣いている』、『瑠璃の島』(ここまでは全部共同脚本)、あるいは映画『プラトニックセックス』などとあるのだが、残念ながらどれも見ていない。
では、どの作品で名前を憶えたか? TV版『世界の中心で、愛をさけぶ』ではない(これは全回逃さず見たけど)。今やっている『白夜行』である。
このドラマ、役者も演出も素晴らしいが、なんと言っても脚本である。そしてこれは原作を読んでドラマを観ている人にしか解らないことなのだが、彼女のすごさはあの小説をこのドラマにしたことである。
ストーリーは同じでもまったく別の作品である。原作の中では主役の2人が同じシーンに出てくることはほとんどない。小説では少しずつ仄めかしながら最後に事件の全容が明らかになるが、TVは冒頭の2Hスペシャルでラストシーンをやってしまっている。
そういうことで、番組が始まる前に小説を読んだ人からの批判がBBSに相次いだのだそうだ。
僕もそのことを知っていたので半信半疑で見始めたのだが、先週も、そして今日もまた泣きそうになった。
上記のような設定なので小説の中から取ってきた台詞は一切ない。2人が絡むシーンも台詞も全て森下佳子のオリジナルである。
セカチューにしても多分そうなのだろうが(こっちのほうは原作を読んでいないので想像なのだが)ある意味で平板であったり単調であったりする原作を枠組みだけ活かして一旦ぶっ壊し、そこにオリジナルの台詞で息吹を吹き込んで行くその才能たるやタダモノではないと思う。
『夜空ノムコウ』の歌詞(スガシカオ作)ではないが、「心の柔らかい場所に」刺さるような台詞回しだ。
今後の作品に注目したい。いや、まずは『白夜行』の最終回まで目が離せない。
→ 最終回の記事に続く
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