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Saturday, January 28, 2006

映画『エリ・エリ レマ サバクタニ』1

【1月28日特記】 映画『エリ・エリ レマ サバクタニ』を観てきた。

何度聞いても憶えられないタイトル。何度言おうとしても「えーっと、エコエコアザラクじゃなくて・・・」になってしまう。ちなみに僕のPCで変換すると「襟・襟 レマ 裁く谷」になった。

この難しいタイトルはヘブライ語で「神よ、何ゆえに我を見捨てたもうや」の意。磔刑に処せられたイエス・キリストが発したとされる言葉である。

監督は青山真治。主演は浅野忠信、宮﨑あおい。(宮崎あおい)
青山真治+浅野忠信と言えば、最後の最後まで文字通り救いのなかった『Helpless』。
青山真治+宮﨑あおいと言えば、最後の最後に仄かな救いを暗示した『EUREKA』。
さあ、今回は救いはあるのかないのか?

結論から言えば非常に両義的な作品だった。

舞台は2015年、レミング病というウィルス性の病気が蔓延していた。ウィルスによって肉体のどこかが破壊されるのではなくて、罹病した者が自殺してしまうという奇病。

自然や生活の中から様々な音をサンプリングして、それにロックの爆音をかぶせる「ノイズ音楽」を作っている2人組(浅野忠信、中原昌也)がいる。ある時、彼らの音楽を聴くとウィルスの働きが抑制されることが判り、1人の富豪(筒井康隆)がレミング病に罹った孫娘(宮﨑あおい)を救ってほしいと彼らを訪ねる。──そんな筋である。

この映画で僕は異常な体験をした。あの激しいノイズ音楽を聴くたびに眠りに落ちてしまうのである。

確かに若干寝不足気味だったこともある。映画館内が少し暖かすぎたこともある。しかし、徹夜明けで『エレファントマン』を見ても寝なかった僕である。今まで映画を見ていて危うく寝そうになったことはあっても、実際に眠りに落ちたことは長い人生で一度もない。

それなのに眠ってしまったのである。しかも何度も。
この映画では他の音楽もたくさん鳴っている。その時は全く眠くないのに、ノイズ音楽が始まった途端に睡魔に襲われる。

ハッと目が覚めたら眠りに落ちる前とほとんど同じ画面だということは、実際寝ていたのはほんの一瞬、長くても5秒くらいのものなのだろう。そしてものの10秒も起きていたかと思えばまた一瞬眠りに落ちてしまう。目が覚めたらまた眠る前と同じ画面。
──そんなことを繰り返して、恐らく2時間の上映中に20回くらい寝たのではないかと思う。

どうなっているんだろう? 俺はレミング病のウィルスなのか? と思っていたら、青山監督がパンフレットのインタビューの中で「僕はノイズとか現代音楽とか、やかましい音をヘッドフォンで聞いていると、そのうち寝ちゃうんですよね。(中略)中原昌也のCDを聞いていると安眠できる。だから“俺はウィルスか”って自分にツッコミ入れてるわけですけど」と語っていてびっくりした。

ともかく、ほんの少しずつとは言え何度も寝てしまったことが影響しているのかどうか判らないけど、この映画を見終わった直後の感想は「よく解らない」だった。

でも、見終わってからパンフを読んだら、自分が映画から読み取れなかったことが少しずつ解明されて行った。なるほど目隠しをしたのはそういう訳だったのか。「本気の自殺と病気の自殺」とはそういう意味だったのか、等々。

そう思って振り返ると非常に深い映画だった。そして、力強く前向きな映画だった。たむらまさき(って『さらば愛しき大地』『タンポポ』『ZIPANG』『EUREKA』などの田村正毅だよね?)の映像も非常に印象的だった。

だが、今回は最終的な評価を保留したい。できればもう一度見直してから、じっくり評価を下したい映画だと思った。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。
 (今回は途中で眠りに落ちた方だけです)

ライターへの道。女32歳の挑戦。
ソウウツおかげでFLASHBACK現象

【追記】

初日舞台挨拶(青山監督、浅野忠信、宮﨑あおい、筒井康隆、岡田茉莉子、仙頭武則P、於:テアトル新宿)もしっかり観てきた。

今年21歳になる宮崎あおいちゃん、あまりに可愛くて息が止まりそうになった。ブーツとミニがとても良く似合っていた。『害虫』のメイキングを観て以来、「ひょっとしたら我がまま娘かも」という気もしているのだが、あれだけ可愛いのであればたとえ我がまま娘であっても構わないと思った。

もっとも、今回インタビューを聞いている限りとても素直で、我がまま娘だとはまるで思えなかったが・・・。

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