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Saturday, December 17, 2005

TV『花より男子』最終回

【12月17日特記】 かつては1週間に9本のTVドラマを観ていたほどのドラマ好きだったのに、最近は週に1本がやっとになってしまった。で、このクールは昨夜最終回を迎えた『花より男子』(TBS)だった。

業界の人なら誰でも知ってる話だが、実はこの枠は別のマンガ原作ドラマがかかるはずだった。それが間際でいろいろ揉めたらしくて、発表直前にこの『花より男子』に差し替えたのである。

差し替えると言っても別のドラマを急に用意できるはずはなく、そもそも放送を前提に準備が進んでいたのは間違いない。多分脚本作業はある程度進んでいたのだろう。しかし、「それにしても、このキャストはちょっと弱くない?」というのが事前の評判であった。

そんな急ごしらえでスタートしたにも拘らず、この出来栄えはあっぱれである。視聴率的にも大成功だったが、僕はこの出来栄えを褒めたい。

なんと言ってもドラマの命は脚本(ホン)。これが非常に良く書けている。

まずキャラの描き分けが巧く行っている。エネルギー漲る主人公の牧野つくし(井上真央)はもとより、直情径行・猪突猛進の道明寺司(松本潤)と、ちょっと斜に構えた心優しいシニシスト花沢類(小栗旬)の対比が実に見事に効いている。

他にも、つくしになついたり裏切ったりを繰り返す三条桜子(佐藤めぐみ)や、つくしに嫌がらせを繰り返す3人娘の存在も面白いし、女将さん(加藤貴子)も存在感抜群のコメディエンヌぶりだった。つくしを囲む貧乏人家族(小林すすむ、石野真子、冨浦智嗣)と道明寺財閥ファミリー(加賀まりこ、松嶋奈々子)の対比もなかなか笑わせてくれた。

ドラマは純愛を絡めた青春学園コメディに、昔の東映やくざ映画風にも解釈できる「強者(大金持ち)に弱者(庶民)が挑む」という図式を加え、下手するとこういうお話はバラバラになってしまうのだが、非常に達者によくまとめている。

ストーリー展開ははっきり言ってご都合主義丸出しだが、そんなことは一向に気にせず、毎回笑わせ泣かせハラハラさせる山場を設けることだけを考えて一直線に書いている。ここまでなりふり構わず書かれると、ストーリーに突っ込み入れる前にドラマに引き込まれてしまうのである。

脚本は4人で分担したようだが、最終回をはじめ多くを担当したサタケミキオという作家に注目したい。「東京セレソンDX」という劇団の座付き作者だそうだが、最近TVの仕事も多いようだ。

主演の井上真央は同じTBS系CBCの昼帯ドラマ『キッズ・ウォー』シリーズ(脚本:畑嶺明)の主演を務めた名子役である。

畑嶺明と言えばピンと来る人は来ると思うが、かつて『毎度おさわがせします』(TBS)でデビュー間もない中山美穂に威勢の良い台詞を吐かせて一世を風靡した人である。皮肉な言い方をすれば井上真央は『キッズ・ウォー』で昔中山美穂がやったことを再びやらされたに過ぎない。

彼女は(これは単に僕の想像だが)『キッズ・ウォー』ではややオーバー目の演技を強いられたはずだ。プライムタイムのドラマで果たしてその経験がどこまで役立つのか、あるいは邪魔をするかというのが僕の関心事だった。

ところが、この懸念は全くの杞憂だった。井上真央は見事に大人の女優に脱皮していた。

彼女は少し口角が下がっている。それもあって泣き顔の似合う女優である。女性に対して「口角が下がっている」というのは一般的には貶し言葉だろう。だが、微笑んだ時にその口角がキュッと上がってくるのである。その笑顔がとてもキュートで、他の女優には得られない魅力を湛えている。

そして、驚きの演技が巧い! ドラマ後半ではその驚き方にも、嬉しい驚き・半ベソの驚きなどバリエーションが出てきた。眼にも強い力があるので、これからまだまだ伸びる女優なのではないだろうか。

先週の放送で、財力に物を言わせて息子・司との仲を裂こうとする道明寺楓(加賀まりこ)に向かってつくし(井上真央)が啖呵を切るシーンがあった。帰り道で「しまった。言っちゃったよ」と後悔する姿もリアルだった。僕はTVを観ながら思わず、「そう、それで良いんだ」と独りごちてしまった。

最終回では不覚にも涙が溢れそうになった。人生に前向きな、人生に希望を与えてくれる、そして今どき珍しい「胸がすく」ドラマだったと手放しの賞賛を贈りたい。

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Comments

いつもはドラマを見ない私も不思議とこの番組は見ていました。(最終回はまだ。。ですが、録画済みです。)色々な裏事情を知れて感謝です。そうですね~、もちろん出演者のそれぞれの、名(迷?)演もありますが、きっと脚本が多くの人の鑑賞に堪えるものだったんでしょうね~。なるほど

Posted by: とおりすがり | Saturday, December 17, 2005 at 14:14

> とおりすがりさん

どうも、通りすがりのコメントありがとうございました。

あ、最終回まだですか。実は僕もさっき見終わったんです。ストーリー書かなくてよかった(笑)

いいっすよぉ、泣けますよ。「サングラス忘れてきたみたい」なんて粋な台詞もある。お楽しみに~。

Posted by: yama_eigh | Saturday, December 17, 2005 at 16:43

脚本、見事でした。そうですか4人で書いてたんですね。脚本が気になって最後のエンドスーパーをまじまじと見つめてたらサタケミキオの文字。そういうわけで私も実はこの脚本家はちょと注目です。私は漫画のファンで36巻すべて読んでるのですが、漫画のストーリーの登場人物、エピソードなどいろんな要素を入り交じらせて見事にドラマの「花より男子」として開花させてるなと感心してました。道明寺のトンチンカンな言葉の間違いをつくしの突込みなどで上手く表現してたり、原作のキャラクターのそれぞれの特徴を見事に表現してるあたりホントよく出来てた。最終回も連ドラって大体拍子抜けすることが多いいですが、なかなか感動的であのシーンは何度見てもいいくらいです。やはりドラマはハッピーエンドに限ります。キャスティングも最高でした。
ドラマとしては久々の大ヒットではないでしょうか?

Posted by: t-waki2 | Monday, December 19, 2005 at 12:22

> t-waki2 さん

実は原作の漫画とはどのくらい違うんだろうと気になっていたのですが、そうですか、そんなにうまくアレンジしてありましたか。

それ聞くとなんか嬉しい気分です。

どうも貴重な情報ありがとう。

Posted by: yama_eigh | Monday, December 19, 2005 at 15:38

子育て中のため、なかなかドラマも落ち着いて見れないのですが、「花より男子」は録画して、子供が寝てからゆっくりと主人と二人で見るのが楽しみになっていました。
しか~し!最終回だけ録画できていなかったのです。主人にも申し訳なく、私も不完全燃焼のまま・・・。
どなたか!こんな惨めな主婦に最終回の録画ビデオ(DVD)を分けていただけませんか?
お願いします。最後まで見せて~!!

Posted by: 見逃した | Thursday, December 29, 2005 at 19:09

> 「見逃した」さん

え? もっと早く書いてくれれば何とでもなったのに・・・。消しちゃいましたよ。

このブログのコメント欄じゃ、そんなに皆の目に留まらないと思うんですけど・・・。

Posted by: yama_eigh | Thursday, December 29, 2005 at 22:16

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