映画『ブラザーズ・グリム』
【11月13日特記】映画『ブラザーズ・グリム』を観てきた。
洋画、とりわけハリウッドの映画はあまり見ないのだが、ハリウッドの鼻つまみ的な存在であるテリー・ギリアムは大好きな監督だ。
『未来世紀ブラジル』でノックアウト食って、その後『バロン』、『フィッシャー・キング』と立て続けに観た。次の『12モンキーズ』は見逃したがTVで観て、その後の『ラスベガスをやっつけろ』は見落としたまま。そして最後に、撮影頓挫の記録映画である『ロスト・イン・ラ・マンチャ』を観たのが2001年だった。
偉大なる童話作家でもドイツ文学者でもなく、インチキ悪魔祓いの詐欺師兄弟という設定が洒落ている。
ある日兄弟は詐欺がバレて将軍に逮捕されてしまう。あわや処刑というところだったが、ある村で子供が神隠しに遭う事件が連続しており、それをグリム兄弟と同じ輩の仕業と睨んだ将軍は、事件の解決を交換条件に兄弟を放免する。
ところが、それは詐欺なんかではなく本物の魔術がらみとあっては、インチキ兄弟で歯が立つ訳がない・・・、というのがあらすじ。
脚本はギリアム本人ではなく、『ザ・リング』シリーズを手がけたアーレン・クルーガーによるのだが、設定が面白く要所に皮肉も効いていて、テリー・ギリアムにぴったりである。
グリムや他の作家による童話をかなりデフォルメして織り込んであるのも楽しめる。
でも、これがテリー・ギリアムの本領発揮かと言えば、僕はそう思わない(パンフレットに解説を寄せている「みのわあつお」なる人物は「最高傑作」と書いているけど・・・)。
ギリアムらしい「度肝を抜く」「奇想天外の」要素に欠けるのである。パンフレットを読むと、今回もギリアムは映画会社といろいろ揉めながら何とか映画を完成したらしい。そういう窮屈さに映画が歪められた部分が、今回も小さくないのではないかな?
面白いんだけど驚きはしない。それとも、ひょっとして単にハリウッドのVFXを見すぎてしまっているだけかも。
観客は6割の入り。この映画が黒字になって、次回作ではテリー・ギリアムがまたやりたい放題の映画を撮れることを祈る。
ところで、なんでグリム・ブラザーズじゃなくてブラザーズ・グリムなんだろう?
Comments
yama_eighさんは、この作品はギリアム監督にしては
いまひとつだったんですね。
ボクは、結構楽しめたんですよね。まあ、ギリアムの作品をそれほど
観ていないのもあるでしょうけど。
『ラスベガスをやっつけろ』は観たんですが、かなりハイテイションで
作られたような映画でした。当時は、何ひとつ理解できなかったですが。
どうもお邪魔しました。
Posted by: アロハ坊主 | Tuesday, November 15, 2005 00:11
> アロハ坊主さん
あれま、入れ違いでアロハ坊主さんのブログにコメントつけちゃいましたよ(笑)。今回は我々2人、少しずつずれてますね。
いやいや、「いまひとつ」とは言ってません。「最高傑作」や「本領発揮」ではないというだけ。ギリアムらしさはそこそこあったと思います。
「いま0.5」くらいかな?
では、また。
Posted by: yama_eigh | Tuesday, November 15, 2005 00:38