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Wednesday, November 09, 2005

舞台『ダブリンの鐘つきカビ人間』

【11月9日特記】 『ダブリンの鐘つきカビ人間』を観てきた。最近名前をよく目にする後藤ひろひとなる劇作家/演出家/俳優の芝居を一度見てみたいと思ったから。

ル・テアトル銀座は良い劇場だが、芝居を見るにはちと広すぎる。後ろのほうの席しか取れなかったので、表情まではよく見えなかった。

僕としては過剰に期待していたみたいだ。

例えば、生まれて初めてつかこうへい作品を見た時のような、見終わって呆然として口も利けなくなるような芝居を期待していた。
初めて別役実や唐十郎の作品に出会った時のような、「なんだか解らないのに、この感動は何だ?」という自分の反応を期待していた。
初めて鴻上尚史の作品に触れた時の、エンタテインメント色はたっぷりあるのに、演劇的な盛り上がりも満喫できる芝居に対する敬意のようなものを期待していた。

頭を後ろから煉瓦で殴られたようなショックを期待していた。
いきなりはらわたに手を突っ込まれたような刺激を期待していた。

しかし、この芝居はもっと幼い脚本だった。いや、悪い脚本だと言うのではない。ただ、手軽な脚本だった。僕が従来何度も経験してきた意味での(重厚な)演劇的な盛り上がりはなかった。

周囲の客は異様なほどよく笑っていた。多分最初から「今日は笑おう」と決めて観に来ているのだろう。多分それが今の芝居の見方なのだろう。僕も確かに笑った。だが、彼らほどではない。

今の観客は決していきなりはらわたに手を突っ込まれたりすることを好まないのだろう。少し距離を置いて、充分に笑って、そして適当に雰囲気のある中で幕が降りる──多分それが満点なのだろう。

一度も暗転しない構成でありながらシーンの描き分けがうまくできていた。ラーメンズの片桐仁という人を初めて見たが、とても個性的で巧い役者だった。

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