映画『ファンタスティック・フォー』
【10月2日特記】 映画『ファンタスティック・フォー』を観てきた。
実は昨夜、WOWOWから録画しておいた映画『サンダーバード』を観たのだが、こういう少年期に慣れ親しんだヒーローもののリメイクを観るのは大変楽しい。
そう、『ファンタスティック・フォー』は往年のTVアニメ『宇宙忍者ゴームズ』なのである。
『ゴームズ』は放送時に日本用にローカライズされていたので、僕らはこのリメイクを見て初めて原作に触れることになる。「へえ、ゴームズって元々の名前は Reed/Mr. Fantastic だったのか!」てなもん。
Ben/The Thing →ガンロック、Johnny/Human Torch →ファイヤー・ボーイ、Susie/Invisible Woman →スージーという具合に日本版の登場人物名が決められた訳だけれども、僕らはこの矢印を今日初めて逆に辿ったのだ。
しかし、それにしてもゴム人間のゴームズはともかくとして、ガンロックってのも秀逸な名前でしょ? なにせガンもロックも岩ですから・・・。
で、この映画は単純なスーパーヒーローものですから余計なことを考えてはいけません。パンフレットには「ヒーローものの中に等身大の人間ドラマを持ち込んだ」などとご大層に書いてあるけど、そんなことは手塚治虫を筆頭に日本では40年前からやってたことで、単にアメリカン・コミックが遅れていただけ。
だから、人間ドラマなどの“おかず”の部分に余計な期待をかけてはいけない。
──などと書いているから貶すのかと思われたかもしれないが、実は褒めるのである。だって、面白かったんだもん。ほんで、スージー役のジェシカ・アルバが可愛かったもんね。
世の中にはおかずが不味すぎてご飯まで食べられなくなってしまうこともあるけど、これはおかずもちゃんと美味しくてご飯も進んだのである。
登場人物がそれぞれの特性を活かしてどんな活躍をしてどんな風に敵を倒すのかというところが、この手のストーリーの醍醐味だと思うのだが、なかなかよく考えてあったと思う。
帰りのエレベータで一緒になったカップルが「あまりにあっさり決着がついてしまう」とぼやいていたが、そうか、近年のハリウッドのコッテリ系のアクション映画にどっぷり浸かっている人たちはあれでは物足りないのか。
でも、所詮正義が悪に勝つに決まっているので、どうやったって観客をハラハラさせるのは無理だろうし、あんなもんで良いんじゃないの? 僕はあの程度で胸がすきましたけどね・・・。
そう言えば4人揃って活躍するシーンは、最初にそれぞれが自分の能力に気づく鉄橋のシーンと最後に Dr. Doom (日本名:悪魔博士)をやっつけるところの2箇所しかなかったけど、僕は結構工夫が凝らしてあったと評価します。
そして、その後のアメリカのヒーローを見るとこのコミックの影響力が如何に大きかったか(そして、いまだに大きいか)が良く解る。
『Mr.インクレディブル』を観た時に Erastic Girl はゴームズの真似だと言ったら誰も判ってくれなかったけど、これ見たら解るでしょ? そもそもヒーローの4人組という設定が『ゴームズ』をなぞっている。
それから、『スターウォーズ』のダース・ベーダーが完全に Dr. Doom のパクりだということがモロ判り!
ところでこの映画、アメリカでは大当たりだったそうだが、僕が観た映画館はガラガラ。
宣伝費自体が少なかったのかもしれないが、宣伝方針を間違えたという部分もあるのではないだろうか? もっと我々ゴームズ世代に徹底的に訴求すれば中年の観客がもっと押し寄せたんではないかな?
それこそBen/The Thing のマスコット人形が喋るシーンで字幕に「ムッシュムラムラ」と出してみるとか・・・。
きっと宣伝スタッフが若かったんだろうね。
最後に、日本人はあまり気づかないことなので蛇足ながら書いておくと、タイトルでありヒーローのチーム名である Fantastic Four も悪役の名前である Dr. Doom もともに頭韻を踏んでいる。
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