映画『さよならみどりちゃん』
【9月18日特記】 映画『さよならみどりちゃん』を観てきた。
この映画、見ようかどうしようかずっと迷っていたのだが、アロハ坊主さんが褒めていたので、「よっしゃ、こりゃ見んといかんわ」ということになった。
都内で1館しかやってなくて、しかもこないだまでは新宿で夜1回のみ、今は渋谷で朝1回のみの公開なので観るのが大変。休みだというのに早起きする破目になった。
で、初めて行く映画館である渋谷シネ・ラ・セットに着いて仰天。後ろ半分は普通の映画館用の椅子なんだけど、前半分はソファとテーブルがバラバラに並べてある。大きなソファに足投げ出して観てる人もいた。
定員は50名くらい。スクリーンは3畳くらいかな。もうちょっと大きいか? でも、4畳半はないな。
ほんで内容はと言えば、チョー身勝手な男・ユタカ(西島秀俊)と、惚れた弱みとは言えその男に引きずられまくって男から自立できない女・ゆうこ(星野真里)の話。
ちなみに「みどりちゃん」というのはユタカの彼女の名前。ゆうこはユタカと寝た直後にその存在を知らされる。しかもさらりと言ってのけられた。
自立できない女の恋愛となると、クロード・ガニオン監督の『Keiko』(1979年度キネマ旬報ベスト10の日本映画部門第3位)を思い出す(僕はこの映画が生涯で3本の指に入る好きな作品だ)。しかし、Keiko は相当奥手の女性だったのに対して、時代が違うためかゆうこはよくセックスするねえ、ためらうことなく・・・。
良い映画でした。自然でリアル(「等身大」という言葉は嫌いなので使わない)。
西島秀俊は言うまでもないが(これがヤな野郎なんだ。女にもてるから余計嫌な野郎)、星野真里も巧いねえ。
ほんで、あの終わり方!──古厩智之監督ってタダモノではないねえ。実は前作の『ロボコン』はグズグズしているうちに見逃してしまったのだが、今回は観られて良かった。
「あの終わり方のどこが良いって言うの!?」「何あれ?さっぱり解らん」と言う人もいるとは思うけど、僕は凄いと思った。ほどほどにカタルシスがあってほどほどに尻切れトンボ──全て計算ずくなんだろうなあ。
果たして、ゆうこはユタカ(あるいは男という存在)から自立することが出来たのだろうか?
観終わっても暫くそのことが案じられる。
ただ、Keiko に対しては哀れで見ていられず暗澹たる幕切れであったが、ゆうこに対してはなんか暖かいものが吹き出してくる読後感だった。これも時代の変化か?
【余談】
エンディング・テーマは奥村愛子がカバーした『14番目の月』。ご存知ユーミンの作品です。
今まで歌詞を聞き流していたので気がつかなかった(というか誤解していた)のですが、これって十五夜の1日前の、満ちる直前の月の状態を指していたんですね。
僕は「月」を moon ではなく month だと思っていて、「14番目っちゅうことは12月で1年が終わって次の年の2月か」と思ってました。
「14夜目」とか、せめて「14日目」と言ってくれなきゃ。
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