『ラスト・ワルツ』
【8月13日特記】 先日 WOWOW から録画しておいた『ラスト・ワルツ』を観た。ご存知ザ・バンドの解散コンサートの記録映画だ。監督はマーティン・スコセッシ。
同名のアルバムは持っている。大好きなアルバムだ。だが、映画のほうは見逃していた。今回は永久保存するためHDではなくDVDに録画した。
久しぶりに観た(と言うか、聴いた)がやっぱり泣けるくらい良い。
とてもアメリカ的な感じがする。
アメリカと言うとみんなロックだったりブルースだったりカントリーだったり色んな曲を思い浮かべるだろうが、ザ・バンドのアメリカは色んな音楽が入り混じったアメリカ。
ザ・ステイプルズが参加しての The Weight では鳥肌が立った。あのメイヴィス・ステイプルのゴスペル唱法、何度聞いてもすごい。そして、この曲と I Shall Be Released で2回泣きそうになった。
リック・ダンコもレヴォン・ヘルムも無茶苦茶いい声だ。それにしてもよくもまあ、それぞれベースやドラムスを演奏しながら歌えるもんだ。
ほんで、ロビー・ロバートソンって、ほんとに変なギターを弾く人だ。何度聴いてもそう思う(無論それが魅力なんだけど)。特にまるで声が裏返るみたいな感じで入ってくるピッキング・ハーモニクス。あんなギターを弾ける奴はいない。
エリック・クラプトンとの競演では、クラプトンのオーソドックスさと比べてロビー・ロバートソンの変則さが目立つ(それでも、演った曲が典型的なブルースだったのでむしろ変則さは抑え目で、「へえ、こんな普通にも弾けるんだ」という気も逆にするのだが・・・)。
ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェル、ドクター・ジョン、マディ・ウォーターズ、ヴァン・モリスンと、錚々たるゲストが次々に登場する中(リンゴ・スターまでいるぞ)、Forever Young で登場するボブ・ディランはさすがに圧倒的な存在感がある(I Shall Be Released にはゲスト全員が参加してたんだね!)。
エミルー・ハリスとの競演の時にはリチャード・マニュエルがドラムス叩いてたとか、Theme from the Last Waltz は単なるオーケストレーションではなく、ガース・ハドソン以外全員が弦楽器を担当してザ・バンドのメンバー全員が演奏に参加してたとか、映画を観て初めて気づいたことも多い。
ここまでつらつら書いてきて思ったのだが、メンバー全員の名前をこんなにスラスラ言えるバンドって、僕はビートルズとザ・バンドくらいのもんだ。
ビートルズは社会現象としては知っていたけど聴き始めたのは解散後。ザ・バンドも実は(もちろん知ってはいたけど)本格的に聴くようになったのはこの『ラスト・ワルツ』からだ。
僕はいつもそういう「遅れてきた青年」なのかもしれない(今では中年だけど)。
ところで、この映画は単にコンサートやレコーディングのドキュメンタリーではなく、名監督自らによるメンバーへのインタビューが何箇所も挿入されている。そして、インタビューの内容に直接/間接に関連した歌に続くという絶妙の編集になっている。
それを考えたらインタビュー部分だけではなく歌詞についても日本語訳を出したほうが良かったのではないかなあ、WOWOW さん?
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