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Thursday, August 11, 2005

『姑獲鳥の夏』京極夏彦(書評)

【8月11日特記】 (上下巻通じての書評です)初めて京極夏彦を読んだ。しかも、映画のほうを先に見てしまってから。

自分のブログ上の映画評で僕は、何の根拠もなく「『映画化』としては大成功だったのではないか」と書いたのだが、読み終わってからもその思いは変わらない。

確かに大幅に間引かれてしまった下巻の後半部分について京極ファンは残念がるのかもしれないが、2時間の映画として成立させるためには仕方のないことだろう。

それよりも惜しまれるのは上巻の冒頭で延々と続く中禅寺秋彦(京極堂)の長口舌が映画の中ではかなり端折られていたことだろう。ここで展開される論理がなんとも面白い。そして、この論理がこの本の全編を貫いている。

妊娠20ヶ月の女性とか呪いとか憑き物落としなどという、一見おどろおどろしい心霊めいたものを並べながら、それを論理で解きほぐして行くという手法がとても新鮮だった。しかも、その論理を展開するのが科学者ではなく陰陽師というのが非常に巧みな「ひねり」になっている。

僕はトリックや謎解きにほとんど興味のない人間で、ミステリを読むときにもそういう事柄ではなく「人物が描けているか」とか「文章に切れ味があるか」などに専ら目を奪われる。だが、そういう観点から言っても、なかなか満足の行く出来栄えだった。

謎解きの好悪については正統派ミステリ・ファンの評者に委ねたいと思う。

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