映画『ある朝スウプは』
【7月31日特記】 映画『ある朝スウプは』を観てきた。結構スッゲー映画で圧倒された。こりゃ今年のキネマ旬報ベストテンに選ばれても不思議はない。ただし、審査員が見逃してなければの話だが・・・。
これ、2004年のPFFグランプリなのだそうだが、その後立て続けに海外の3つの映画祭でグランプリを受賞している。
今回日本での上映が漸く叶ったのだそうだが、東京で1館のみの上映で、しかもレイトショーのみ(つまり1日1回)。初日で、しかも舞台挨拶があったこともあって満席+立ち見(いや座り見)の女性1名。
客層は、なんか大学の映画研究会みたいな人ばっかりだったのがちょっとげっそり。デートで来たカップルなんていやしない。ま、カップルで観るにはちょっと躊躇する内容かもしれんが、逆にこういうのを2人して見ておくのも良いかも。
きっと撮る前から映像が見えている監督だ。
俯瞰であったり逆光であったり、非常に印象的な映像。2人が絡む芝居なのに片方の人物だけをカメラに収めたりしている──これは非常に勇気の要る演出ではないか。そして、そういう撮り方によって、逆に観客はスクリーンの外側まで見てしまう、いや見えてしまうのである。
音の映画だった。
食事や洗濯など日常生活の音──すごく大きな音で録音されていたのでびっくり──その分少し台詞が聞き取りにくいところがあったのが残念だが。そして、電車の音、電話の呼び出し音とバイヴ音。カラスや犬の鳴き声。鳥のさえずり、赤ちゃんの泣き声、殴る音・・・。
そして、非常に切れ味鋭いリアルな台詞。ほんでまた、役者が巧い!
特に並木愛枝の自然さ! 自主制作映画だと思って舐めてかかっていたのだが、そこらへんのプロの役者なんか足許にも及ばなかった。
予算3万円で8日間で撮った映画なのだそうである。キャスト5人+スタッフ5人。そのほとんどがスタッフ・キャスト兼任なので、両方を足しても10人にはならず6人である。
いやはや恐るべき映画だった。
筋は書かない。是非観に行ってほしい。
Comments
あら、あたし座り見してました。
うん、役者とカメラワークの素晴らしさには目を見張りましたね。
役者に関しては無名だからこそのよさもあった気がします。その人に対する余計な情報や固定観念がない故のクリアさというか。
久しぶりに死ぬほど好きだと想える映画に出逢いました。古いものを除いては、トニー滝谷以来。
やっぱユーロスペースは素晴らしい。
Posted by: yo | Sunday, July 31, 2005 04:05
> yo さん(って、なんかヨン様みたい)
あら、座り見してた人ですか。
うん、確かに固定観念がないから良く見えるという面はあるでしょうね。
あと、『トニー滝谷』。確かにこれは素晴らしかった。
で、ブログもザーッと拝見しました。「お若いのになかなか・・・、いや、お若いからこそ、なるほど」というのがオジサンの感想。
Posted by: yama_eigh | Sunday, July 31, 2005 11:16
>「お若いのになかなか・・・、いや、お若いからこそ、なるほど」というのがオジサンの感想。
コメントどうもありがとうございます。
ほう。
なんか含みを感じますが、その意味は何年か後に自分で見返してみて気付くものなのですかね。
うむ、楽しみです。
Posted by: yo | Sunday, July 31, 2005 21:12