映画『HINOKIO』
【7月10日更新】 映画『HINOKIO』を観てきた。これがなかなか捨てたもんじゃない。単にVFXの問題ではなく、映画としてよくできている。
CGの専門家であった曽利文彦監督が『ピンポン』を撮ったように、VFXの専門家であった秋山貴彦監督が『HINOKIO』を撮った。こういう映像技術の専門家を「技術屋さん」とひと括りにしてしまって良いかどうか判らないが、昔は文系が設定やストーリーを組立てて台詞を書き、それを映像化するに当たって理系=技術屋さんが協力したものだ。
確かに技術屋さんは「職人」ではあったけど、あくまで文系の描いた設計図に基づいて動くものだった。いや、時には技術屋さんが文系の描いた設計図に楯突くこともあっただろうが、あくまで指示を出すのは文系だった。
秋山監督の大学での専攻が文系に当たるのか理系に当たるのか知らないが、この映画を観てはっきり言えることは、彼はすでに上記のような文系/理系の垣根を越えているということだ。
どの部分がCGなのか見分けがつかない、合成のすばらしさ──だけではない。ストーリー、台詞回し、カメラワーク・・・。
こういう人たちがたくさん出てくると、我々ただの文系はもはやお払い箱になってしまうだろう。
そして最後に主演のひとりである多部未華子。強烈な印象を残してくれた。非常に個性的ではまり役であった。ひょっとするとこの映画だけで消えてしまう子かもしれないが、この名前を憶えておきたい。
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