『会社はだれのものか』岩井克人(書評)
【7月30日特記】 岩井克人の著書を読むのは3冊目。最初に読んだ『貨幣論』がむちゃくちゃ面白くて、続いて『会社はこれからどうなるのか』を読んだ。この本はその続編に当たるのだがちょっと物足りない感もある。
僕の場合は大学でマルクス経済学を専攻しており、岩井氏も最初はマルクスから入った人だ。僕の場合はマルクスだけで終わってしまったのに対し、氏はそこから他の領域に拡大して行った人であるという大きな違いはあるが、共通の土台があるためか、僕には氏の著作がすらすらと読めるし頭に入ってくる。
ただ、今回のこの本は『貨幣論』と比べて、書いてあることがあまりに単純明快で、もっと広げたり掘り下げたりすることも可能だったはずなのに、敢えてそれを避けている感じがする。
平易な言葉と譬えで書いてあるのだが何だか易しすぎて物足りないのである。分量も少ないし、後半対談でお茶を濁しているという印象もある。
もっとも、大学時代に経済学と無縁であった人が読むと面白いのかもしれないし、岩井氏の他の著作を読む前の入門編としては非常に適切なのかもしれない。
この本を読んで思ったことは、日本の経営者には、ただ単に出世の延長線上で経営者になった人が多く、経営者になるための訓練や勉強なんか全くしないままの、経営者としての資質や資格なんて知ったこっちゃないという人が少なくないということである。
ウチの社長にも読ませたい。お宅の社長にもきっとそうでしょ?
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