『25時』と『花とアリス』
【7月31日特記】 今日は1日蟄居して、録り溜めたハードディスクの消化。WOWOW から録画した映画を2本。
1本はスパイク・リー監督の『25時』。これ、見たかったのはデイヴィッド・ベニオフの原作を読んでいたから。原作の、抑制の効いた文章をそのまま映像化していて凄い!と思ったら、それもそのはずベニオフ自身が脚本を担当していた。
原作ものは原作に忠実に映画化したほうが良いとは限らないが、いずれにしても成功のパタンは2つしかない──原作に忠実にやるか、原作を思いっきりアレンジするか。典型的な失敗例は中途半端。これは忠実にやって成功した例。
麻薬のディーラーで大金を稼いで飛びっきりのイイ女と贅沢三昧をしていた男が告発され、懲役7年の判決を受けて刑務所に収監される前日を描いた映画。原作にはなかった9.11事件も織り込んであった。
どうしようもない閉塞感、挫折感、抑鬱、諦念、夢想、苛立ち・・・。そういったものを綯い交ぜに、見事に抑えきったトーンで映画は進行して行く。
この映画、去年のキネ旬では31位。もっと上位に入っても不思議でない作品だ。
余談だが、映画の本筋とは関係なく印象に残った台詞。乾杯のシーンで、
Champagne for real friends, real pain for sham friends!
cham(sham) と real の入れ替え──なかなか洒落が利いている。
そして、もう1本見たのは『花とアリス』。
岩井俊二の映画は昔随分見たが最近はとんとご無沙汰。
で、これが変な映画なんですよ。なんじゃ、この設定、ストーリー!?
あらすじ書いたって絶対にこの映画の神髄は解らない。一体誰がこんな変てこな脚本を書こうと思うだろうか? こんな形でクライマックスを作ろうなんて滅多なことで他の映画作家は思わないだろう。
にも拘らず、絵に力がある。言葉に息吹がある。淀みきっているように見えるストーリーにも底のほうで勢いがある。
まさに岩井ワールド、岩井マジック。ああ、敵わない。酔うぜ、この映画見ると。
ちなみにこちらは昨年のキネ旬14位。
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