『ダーリンの頭ン中』小栗左多里&トニー・ラズロ(漫画評)
【3月14日特記】 僕は言葉に関するHPを運営している割にはあまり言葉に関する本を読まない。これを独善的だと批判することもできるし、いや独創的なのだと負け惜しみを言うこともできるだろうけれど、実のところ僕はそんな大それたことを考えて読まないのではなくて、単にあまり読む気になる(言葉の)本に出会わなかったというだけのことだ。
これはそんな僕が読む気になった、言葉に関する本である。なんと言ってもとっつきが良い。マンガだし。でも、マンガだと侮ってはいけない。これは国際人と国際結婚した国際漫画家による国際エッセイ・マンガなのである。
紹介文を読んだだけで「多分この本は良いぞ」という予感があったのだが、果たしてその通りだった。
何よりも「言葉は文化である」「言葉の違いは文化の違いである」という基本認識が貫かれている。その違いを楽しんでいる。異なった国の出身である夫婦2人して、とても楽しんでいる。お互いにお互いの母国語を検証しあうことによって、言葉の新しい面が浮き彫りになってくる──のは確かなのだけれど、実はそんな小難しい本ではなく楽しいマンガなのである。
マンガを楽しむように言葉を楽しめるってすっごく良いなあと、僕は感慨深いのである。
そして、この本には僕が自分のHPで書き散らしてきたことと同じことが一杯書かれている──そういうのって、嬉しいのである。th の発音とか、n の発音とか、日本語表記と発音の不統一とか、日本語における受身の用法とか…。
え? お前の零細HPのことなんか知るか、って? そりゃそうでしょうね。あ、いやいや慌ててHP覗きに行かなくてもいいですよ。この本読んでりゃそれで充分ですから。
え? 読んでも完全には解らない、って? 大丈夫。この本の中でもラズロ氏が言ってます──「完全に理解できないところが楽しいんでしょ!!」って。
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