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Tuesday, November 16, 2004

『これが東大の授業ですか。』佐藤良明(書評)

【11月16日特記】 これはエキサイティングな読み物だ。特に英語が好きな人、英語教育に興味のある人にとってはかなり面白い。読んでいると、「ああ、こんな授業を受けたかった」という生徒の気持ちになるよりも、昔英語塾で教えていたときに僕にも少なからずあった情熱が沸々と甦って来る感のほうが強かった。

ひと言で言うと東大英語カリキュラム改革運動記。『これが東大の授業ですか。』というタイトルも多義的で良い。「へえ、これが東大の授業ですか、はあ、さすがですね」から「おいおい、こんなもんが東大の授業かい!?」までかなり幅広い含みがある。「これ」を改革前と読むか改革後と読むか、あるいは著者が改革運動を去った後と読むかで意味合いは変わってくる。

英語が好きな人、興味がある人なら面白いと書いたが、この本のもうひとつの面白さは人間ドキュメンタリーとしての面白さである。著者(や柴田元幸ら同僚)は文学や英語や教育に対する先入観を排除しながら、大学の閉塞性や官僚制と戦いながら、なぜここまで熱心に取り組めたのか?

著者は言う「8人のチームから生み出された教師間の新しい関係性。(中略)その新しい関係性に名前を与えよと言われたら、私は臆せず『愛』と答える。(中略)実用的なレベルで、企画を崩壊から救うための、一番手軽で有効な手だてが『学生を愛する心』だったということだ。」(135ページ)

おい、聞いたか? 愛だぜ、愛!

英語や教育に対する洞察はかなり深い。僕自身そういった問題について常々考えてきたつもりだが、「そうそう、その通り」と頷きながら読む中で「あっ」と声を上げたくなるような「目から鱗」の箇所もあった。

掲載されている実際の教材や出題の部分も是非とも飛ばさずに読んでほしい。もちろん辞書を引かずに。

ところで僕はこの著者の『J-POP進化論』も読んでいた。最終章に音楽に対する記述が出てきて初めて気づいた。

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Comments

『学生を愛する心』に納得。

Posted by: Kenji | Saturday, October 15, 2016 18:57

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