『イマジン』清水義範(書評)
【11月1日特記】 これはあまり出来の良い類の小説ではない。
タイムスリップする話なのだが、時代考証面での甘さもある(なにせ『ららら科学の子』を読んだばかりなので粗が目立ってしまう)。登場人物の台詞で状況を説明しようとする悪癖も見られる。ご都合主義的な展開もある。あまりにすんなり運びすぎる恨みもある。結末がどうなるのか容易に想像がついてしまう。
にもかかわらず救いがあるのは、これを読めば明るくなれるからだ。
これは人間の営みを希望あるものにしようとする試みなのであって、そういうものに対して僕は無条件に肩を持ってしまうのである。そういう意味では、この小説はタイトルどおりジョン・レノンの遺志を受け継いだものであると言っても良い(ちょっと持ち上げすぎかな?)。
途中、ジョン・レノンを助けるために渡米する辺りから、ま、マンガなのだけれど、結構面白く読める。WTCを絡めた辺りも、ま、マンガなのだけれど、よく考えたなと思う。
ひとことで言ってしまうと、ま、マンガなのだけれど、心温まるストーリーである。心が温まるのであれば、ま、マンガでも良いではないか、とまで思ってしまう。
読み終わって『ダブル・ファンタジー』が聴きたくなった。
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