『球形時間』多和田葉子(書評)
【7月26日特記】 多和田葉子って、曲者。2年近く前に1冊だけ『容疑者の夜行列車』を読んでいて、あの本をイメージして買ったのにこれは全く違う!
あの本もちょっとねじれた、不思議でイミシンな時空間を描いていたけど、こっちはこっちで全然タッチが違って(なにせ主人公は女子高生! その分タッチが軽い。いや、はて? 果たして主人公は女子高生サヤなのか男色の同級生カツオなのか?)、こっちのほうがもっと曲者、ちゅうか何じゃこれ?
しかもドゥマゴ文学賞受賞作品と来た。ドゥマゴ文学賞って、何?
帯には「あっちへこっちへと転がりながら、はからずも核心へと向かってゆく少女と少年の日常を描く、愉快かつ挑戦的な最新長編」とある。
確かにそう言えばそうなのだけど、作品の醸し出すムードはこの文章からは遠いぞ。大体これが少女と少年の「日常」か? すごい非日常だと思うんですけど(タイトルからして休憩時間が「球形」なのでグルッと廻って戻ってくる?)。そして「核心」って、何?
どうも僕には難しすぎる、いや、難しく考えすぎか? ただ雰囲気は愉しめる。不思議な雰囲気。
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