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Saturday, April 17, 2004

『ゲバゲバ70年!』大橋巨泉(書評)

【4月17日特記】 実は巨泉さんの下で何度か仕事をしたことがある(「巨泉さんと一緒に仕事をした」とは言わない。そういう立場ではなかったので)。

巨泉さんは巷で持たれているイメージ通りの人である。超ワガママなオヤジである。やたらと偉そうなオッサンである。僕が仕事をしたときも、一度決定したことを巨泉さんの鶴の一声でひっくり返されて右往左往することの繰り返しだった。

巨泉さんに関して業界には悪い噂がたくさんある。そのうちのいくつかはそのまま紛れもない真実なのかもしれない。しかし、残りのいくつかは尾ひれがついて面白おかしく誇張されたものであろうし、また別のいくつかは根も葉もない作り話であろうと僕は思っている。巨泉さんとはそういう人なのである。

彼のワガママやデカイ態度は、中途半端に接している限りはただ不愉快なものでしかない。しかし、もう少しつきあいを深めてゆくと(僕の場合は仕事上つきあいを深めざるを得なかったに過ぎないのだが)、そのワガママさを支えるしっかりとした裏打ちがあることに気づく。その発見は驚きである。

──大橋巨泉は我々の何倍もものごとを知っているし、我々の何倍も考えている。頭脳は明晰であり、かつ柔軟でもある。こんな時代には珍しく、思想性と先見性を保っているし、信念に基づいたワガママを発揮する人なのである。

番組の出演者としてはなるほど暴君であるかもしれない。しかし、番組の制作者・構成者という立場で彼を見ると、疑いようもないプロフェッショナル中のプロフェッショナルである。化け物であって、天才でもある。ひとことで言うなら「カリスマ」ということになるだろう。

この本を読むと、そんな怪物・大橋巨泉がどのようにして出来上がったかがよく解る。僕としては直接/間接に存じ上げている人がそこかしこに登場していることも嬉しかった。寿々子夫人、近藤前社長、巨泉氏の弟で現社長の哲也氏、マネージャーの阿由葉氏など、巨泉さんの周囲にはこれほど多くの人格者や好人物が集まっていて、みんなでこのワガママなカリスマを支えているのである。

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