『美しい魂』島田雅彦(書評)
【12月3日特記】 前作「彗星の住人」を読んでしまったので行きがかり上、続編の2作を買った。ところが、「彗星の住人」については「フィクションに歴史をうまく絡めてそこそこ面白かったな」という記憶はあるのだが、例によって登場人物やストーリーについては皆目憶えていないのである。
仕方がないので「あとがき」か「解説」だけでも読み直してから続編を読み始めようかと思ったのだが、残念ながらいずれもついていなかった。
さすがに「美しい魂」を読み進むうちにおぼろ気に記憶は戻ってきたものの、思い出したのはほんの一部。しかし、思ったのは前作はこんなにドロドロしてたかなあということ。結構下世話な話なんですよね、これ。
今作は前作より男性の恋が前面に出ている(のかどうか記憶が定かでないのだが)からかなあ。ドロドロ度がキツくて、東海テレビがやっている昼メロみたい(古くは『愛の嵐』、最近では『真珠夫人』)。そう、これ、東海テレビがドラマ化すればいいんだ、きっと。
今作には「あとがき」があって、こう書いてある。「今度は読者が泣く番だ。この催涙性ラブストーリーは最低、三回は泣けるようになっている」──んー、そう書かれると先を読むのが辛いなあ。私はここまで1回も泣いていない。ということは、次作『エトロフの恋』を読むうちに3回泣かなければならないことになる。こりゃ大変だ。
ま、今回もフィクションと歴史をうまく絡めてあってそこそこ面白い、という点は同じなのだけれど…。
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