『小顔・小アゴ・プルプル唇』竹内久美子(書評)
【10月4日特記】 他人からもらって読んだ本である。週刊文春に連載されていたのだそうである。動物行動学なのだそうである。
面白くないかと言われれば、面白くないこともないが、所詮「まあ、これもひとつの解釈か」ってな感じでしかない。
精子競争とか繁殖戦略とかいう言葉が出てくる。作者は「動物はできるだけ自分に有利な条件で自分の遺伝子を残そうとする」というたった一つの原理で世の中の多くの現象を説明しようとしている。
これは、危険だという以前にバカバカしくて真面目に聞く気になれない類のものである。「演繹的」と言うに至らない。こじつけに近いものも少なくない。読んでいて「俺はそんな風に思ってやってないぞ」と思うところが多々あるが、「もちろん無意識のうちに」とつけ加えられたら反論のしようもない。
とは言え、面白いのはそういう説が延々と繰り返される第一章と第二章で、性の問題から少し離れてしまう第三章以降は普通すぎて何の面白みもなくなってしまう。
これは僕が男性だからだろうか? 確かに女性向の本であるような気がする。こういうことに対する感じ方って、やっぱり男女で差があるのだろうか?──今度はそのあたりのことを竹内女史に解説してもらいたいものだ(僕はもう読まないけどね)。
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