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Saturday, October 18, 2003

『博士の愛した数式』小川洋子(書評)

【10月18日特記】 『村上春樹と柴田元幸のもうひとつのアメリカ』に収められた三浦雅士と柴田元幸の対談でスチュアート・ダイベックと小川洋子を知った。

「柴田元幸が褒めるのであれば間違いはあるまい」と思って各々1冊ずつを注文したのだが、『博士の愛した数式』のほうは bk1 では在庫切れ──それだけ売れているということであろうが、他の書店では平積みになっている本が在庫切れとは、bk1 も情けない(ということで、他店で買っちゃいました)。

記憶が80分しかもたない老数学者と、そこに通う家政婦、家政婦の息子である野球好きの10歳の少年の3人の心の交流を描いた物語である。数学と野球が見事に物語りに組み入れられている。

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Monday, October 13, 2003

『裏声で歌へ君が代』丸谷才一(書評)

【10月13日特記】 『輝く日の宮』で初めて丸谷才一を読んで、それがあまりに面白かったので20年前のこの作品を読んでみたのだが、随分趣が違う。テーマが国家という重いものである点が一番大きな違いなのではあるが、語りが多くて人物が動かないところが、読んでいて一番しんどいところである。

「語り」と書いたのはト書のことではなく登場人物の台詞のことなのだが、作者がそれぞれの登場人物に語らせているのは言うまでもない。

巻末の解説で池澤夏樹が指摘してるように、「小説は矛盾を矛盾のままにうまく扱う思考の装置である。梨田の考え方と洪圭樹の考え方がくいちがう時、論文では両方の発展を追うことはできない。そういう場合に小説は(中略)弁証法を実現するすぐれたシステムである」。

──なるほど良くできた仕掛けである。

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Saturday, October 04, 2003

『小顔・小アゴ・プルプル唇』竹内久美子(書評)

【10月4日特記】 他人からもらって読んだ本である。週刊文春に連載されていたのだそうである。動物行動学なのだそうである。

面白くないかと言われれば、面白くないこともないが、所詮「まあ、これもひとつの解釈か」ってな感じでしかない。

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『約束の冬』宮本輝(書評)

【10月4日特記】 約10年ぶりに宮本輝を読んだ。自分のHPにも書いたのだが、要するに飽きてしまって読まなくなったのである。それでも、飽きるまでに随分彼の著作を読んだので、何と言うか、読む前から解っているのである──彼が筋回しの巧い作家であるということは。

で、読んだ。面白かった。

ただ、全体にべタッとしたところがやはり少し気に食わない──多分そういう面に嫌気が差して読まなくなったのかもしれない。

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