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Monday, September 22, 2003

『村上春樹と柴田元幸のもうひとつのアメリカ』三浦雅士(書評)

【9月22日特記】 三浦雅士による村上春樹&柴田元幸の読み解き/深読みである。

僕はこの三浦という人が何ほどの人かは知らない。知らないが、これだけのものが書けるというのはやはり大した人なのだろう。しかし、書きっぷりはかなり強引である。強引、我田引水、牽強付会、独善的──どの言葉も当てはまる。

「こんなことを言うと変な奴だと思われるかもしれませんが、でも、ほら、こういう風に読むとこういう風に思えるでしょ」てな感じで書いてくれれば、「なるほど面白いなあ」と素直に思うのだが、それが妙に断定的なのである。

時々さすがに断定が憚られるような箇所では「たぶん」という副詞が添えられる。ところがその後「に違いない」という表現が続く。暫く「たぶん」と「に違いない」が交互に現れたりもする。推論を基に推論を繰り返す。最初は単なる推論であったものが、次に議論を進める際には前提となっていたりする。

それが続きすぎる感じがしてくると、著者は自論を補強するための根拠を提示してくるのだが、その根拠として挙げている理屈がどうにもこうにも強引であったりする。

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Monday, September 15, 2003

『コンピュータはなぜ動くのか』矢沢久雄(書評)

【9月15日特記】 うーん、これはちょっと散漫。

日経ソフトウェア社によるこのシリーズは「プログラムはなぜ動くのか」、「Windows はなぜ動くのか」、「ネットワークはなぜつながるのか」と続いて、それぞれプログラム全般、OS、ネットワークの基本的な仕組みについて分かりやすく解説してきた。著者の矢沢は第1弾の「プログラムは…」に続いて2度目の登板である。

しかし、今回のタイトル「コンピュータはなぜ動くのか」はあまりに雑駁で何について書いてあるのか容易に想像がつかない。思わず「電気が流れているから」などと答えてしまいそうな、あまりにも茫漠として答えようのない問いかけがタイトルになっている。

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Saturday, September 13, 2003

『カンバセイション・ピース』保坂和志(書評) 

【9月13日特記】 「似てるなあ」と思うのである。主人公あるいは作者と僕が。

ものの感じ方が近い面もあるかもしれない。いや、それより考えるプロセスが似ているのである。そして、暇さえあれば、と言うより朝起きてから寝るまでのあいだ、間断なく何かを考え続けているところはそっくりだと思う。読んでいて非常に親近感を覚える。

そこでふと疑問に思ったのだが、この小説はそこそこ多くの人に読まれて、かなり多くの人に激賞されている作品である。そんな読者たちはみんな僕と同じように親近感を覚えながら読み進んでいるんだろうか?──そうとは思えない。

しかし、この小説において、いちいち「なるほどなあ」とか「ふーん、そんな考え方があるのか!」などと驚きの連続の中を読み進んで行くという読み方があるとは、僕には想像もできないのである。僕は淡々と「ふん、ふん」と読み終わってしまった。

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Thursday, September 04, 2003

『燃えるスカートの少女』エイミー・ベンダー(書評)

【9月4日特記】 うーむ、短編小説を評価するってとても難しいんですよね。どうしても中途半端で終わってしまうような感じ(それが余韻というものだと言われればそれまでなのですが)が残るために、好きか嫌いかまでは言えても良いか悪いかまではなかなか到達しません。「評価なんて好き嫌いの延長で良いんだよ」と言ってくれたとしても、良いという言葉も悪いという言葉もやっぱり出て来ないんです。

不思議な短編集です。この本にあるのはエロチックなもの(しかも女性の立場から)、そしてユダヤ的なもの──そこまでは簡単に指摘できるけど、そこから先は少し漠としています。あとは「満たされない気持ち」かな・・・。

全般に非現実的な筋立てのものが多く、「寓話」だと思って読めば良いのかもしれませんが、時にはあまりの荒唐無稽さ、奇想天外さについて行けなくなることもあります。特に表題作などは(訳者はベタ褒めしてるけど)あまりの崩れ方に、「これは思いつく単語を順番に綴っただけではないか」という気さえしてきます。

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