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Monday, August 25, 2003

『マッチメイク』不知火京介(書評)

【8月25日特記】 驚くなかれ、格闘技ミステリ!である。

「ナニ? プロレスのミステリなのか!」と言うアナタ、こんな書評を読んでいる場合ではない! 今すぐこの本を「買物カゴ」に入れなさい。あ、それから、僕のこの文章も、ここから先を読む必要なんかないからね。そんな暇があったら、今すぐ本屋に走りなさい。

「プロレスのミステリ? それがどうした?」と言うアナタ、アナタはこの小説には縁がない人です、サヨウナラ。もちろん、この書評も、ここから先読む必要なんかないからね。

さてと、ここから先はもう誰も読む心配がないから正直に書くけれど、驚くほど底が浅い小説だ。仕掛けが見え見え。布石が布石になっていない。

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Saturday, August 16, 2003

『ビル・ゲイツの面接試験』ウィリアム・パウンドストーン(書評)

【8月16日特記】 書物というものは最後まで通して読んだ後に全体を正しく評価すべきものだが、この本に限ってはパズル面接の問題と「解答編」だけを読んで「あー面白かった」というのもアリではないだろうか。「まえがき」も前置きもなくいきなり本論に入って、しかも第2章になるとIQテストの話になるあたりが何ともとっつきにくいのであるが、その辺で嫌になった人はパズルと解答だけ読むという読み方でも良いのかもしれない。つまり、それだけでも充分面白いという意味だ。

この本はマイクロソフト社が入社面接時に使用した数多くのパズル問題、及び他企業の類似の問題を集めておいて、まずそれらに対する見事な解答群を披露し、その上でそういう面接につきものの問題点を整理し、限界点を呈示し、解決策を示唆する、という内容である。

つまり、マイクロソフトや多くのIT企業が実施している面接の方法に対しては一貫して批判的な態度で書かれているのである。IQテストが引き合いに出されるのも、面接はIQテストと同様に不確実な結果しか得られないという論に基づいている。

しかし、この本を読んでそういう印象が残るかと言えば残念ながらそうではない。何故か?──それは載せられているパズルが面白すぎるからである!

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Saturday, August 02, 2003

『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』村上春樹・柴田元幸(書評)

【8月2日特記】 このタイトルは「騙し」である。これを見れば誰もがあの『翻訳夜話』の続編だと思うはずだ。ところが内容は似ても似つかない。

『翻訳夜話』は翻訳の楽しさ・面白さを教えてくれる本だった。僕が『ライ麦畑』の原文/野崎訳/村上訳の全てを読んでみたのは、『翻訳夜話』でカーヴァーの原文と村上訳、柴田訳を比べる、そしてオースターの原文と村上訳、柴田訳を比べるという体験をしたから、そしてその面白さに嵌ってしまったからにほかならない。

ところがこの『翻訳夜話2』の場合は、そのタイトルに反してサリンジャーの「作品」を語ることが主になっており、「翻訳」のほうは決して中心に据えられていない。翻訳を語る上で必然的に作品を語っているには違いないが、読者としてのフラットな感想ではなく訳者が高い地位から解説しているという印象を与えてしまっているのである。

作家が作品を語るのは往々にして悪趣味である。訳者が作品を語りすぎるのも同様である。この本の場合、特に序盤が辛い。翻訳を語っているようで作品を分析しすぎている感じがする。

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