『指』栗本薫(書評)
【4月2日特記】 栗本薫を読んだのは初めてです。いつもそうなのかどうなのか知りませんが、まあ、とにかく早く読めます。活字の大きさとか行間の広さといったことも関係してはいるのでしょうが、ページが進むのなんのって。あっと言う間に読み終えてしまいました。
ひとことで言うと、小学校5年生の男の子が指の化け物に襲われて逃げ回る話なんですよね。少年の一人称で書かれています。少年の家族環境を巧みに絡ませて、なかなか飽きさせない設定です。この手の話はあまり内容を書いてしまうと興味をそいでしまうので、その程度しか書かずにおきますが・・・。
ほんでもって、読み終わってまず思ったのは、「それで終わりはねーだろーが!」ということ。いや、小説としてこういう終わり方はアリなんですよね、一般論としては。でも、この場合は「おいおい、それで終わりかよ」という気がちょっと残ってしまいます。
ただし、この作品、普通のホラーとして読めばまあそれくらいの感想で終わってしまうのですが、ストーリー自体を「少年が大人になる」ことのメタファーであるという読み方をすれば、これは場合によってはそこはかとなく悲しいストーリーに一変します。
さて、あなたにはどう読めるのでしょうか。
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