『Windowsはなぜ動くのか』天野司(書評)
【1月26日特記】 日経BP社の「なぜ」シリーズ第2弾である。すでに第1弾『プログラムはなぜ動くのか』と第3弾『ネットワークはなぜつながるのか』は読んでいて、その間が抜けているのもなんとなく気持ち悪くて読んでみたのであるが、結果的には大満足である。
この手の解説書を選ぶ際には大事なことが2つある。
- 自分の知らないことが書いてあること
- 自分が読んで大体理解できること
両方とも当たり前のことなのだが、まず、知っていることばかり書いてあるようでは読む甲斐がない。せいぜい備忘録になるくらいだ。ただし、読んでみたが何のことやらさっぱり解らないようでは、これまた意味がない。
この2点が満足された上で実は「分かりやすく書いてあるかどうか」という点で差がつくのだが、この要素は上の2つに比べれば極めて小さいと言える。そしてその両観点からして、この本は現在の僕に大変フィットしていたようだ。
くれぐれも注意してほしいのは、それぞれの人にとって上記2点が満たされるかどうかということはマチマチであるということだ。誰かが書評で褒めていたというようなことに釣られて買ってはいけないのである。
さて、僕にとってはこの本は本当に「目から鱗」であった。パソコンという奴が同じ作業を繰り返すのが得意だということは知っていたが、ここまで愚直なやり方をしながら、持ち前のスピードによって使用者にそれを感じさせないでいるのだとは知らなかった。
例えば16進数についての解説がどこにもなかったり、プライベートIPアドレスの具体的な範囲について記述がなかったりするので、人によっては解りにくい部分が出てくるかもしれない。しかし、限られた分量の中で大変上手に「書き飛ばした」解説書ではないかと思う。
ただし、ネットワークの解説に最後の1章を割いたのは失敗。ネットワークについてはそれだけで1冊の本が書けるし、これはWindowsに固有のものでもないので、この分を他の章に回せば全体的にさらに解りやすい本になったのではないだろうか。
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