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Sunday, September 29, 2002

『海辺のカフカ』村上春樹(書評)

【9月29日特記】 地下鉄サリン事件のルポルタージュである『アンダーグラウンド』、阪神大震災を織り込んだ短編集『神の子どもたちはみな踊る』を経て久しぶりに出た書き下ろし長編なので、妙に説教臭くなってないかと心配したのだが、その点については杞憂だった。

ただ、やはり村上春樹はそのスタンスを少しずつ動かしているような気はする。

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Sunday, September 15, 2002

『海馬 脳は疲れない』池谷 裕二、糸井 重里(書評)

【9月15日特記】 この本は海馬の研究者であり薬学博士である池谷裕二と糸井重里の対談である。

糸井重里ファンには申し訳ないが、読み始めてすぐに思ったのは糸井重里が喋りすぎだと言うことである。

普通こういう対談では「素人の質問者が専門家の話を伺う」というスタイルになるものだ。一方が質問し、他方が答える。答えてもらったことの中で解りにくいことや更に浮かんだ疑問点などをぶつける。それに対して専門家がまた答える──それがこの手の対談の言わば雛形なのである。

ところが糸井は勝手にどんどん喋る。自分の言葉に翻訳する。自分の連想で話題を転じて行く。「これこれと考えてよろしいんでしょうか?」と伺いを立てるのではなく、「これこれなんですよ」と断定してしまう。

数ページ読んだところで糸井がうるさくてたまらなくなった。僕はもっとじっくり専門家の話を聞きたいのである。

ところが一方の専門家である池谷は糸井に話の道筋を乱されても意にも介さず、むしろ興味深そうに話を聞いている。「それはちょっと…」と訂正を入れたり、相手の話を遮ってテーマを元に戻したりしようとはしない。むしろ、「なるほどそれは興味深いですね」風のことを頻繁に言っている。

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Sunday, September 08, 2002

『麦の海に沈む果実』恩田陸(書評)

【9月8日特記】 この本は恩田陸の小説群の中ではかなり「少女趣味」の色が濃い。そういうものに対して生理的に嫌悪感を抱く人にはもとより薦めるべくもないが、これもまた恩田ワールドのひとつの要素なのである。

もしもこの作品が初めて読む恩田作品であったならば、僕もまた彼女の作品を2度と手に取ることはなかっただろう。

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