『スターガール』ジェリー・スピネッリ(書評)
【4月27日特記】 これは捨てたもんじゃない。
安物の少年少女向け小説のように見えるけれど却々結構イケる。
薬臭い「文部省推薦」の雰囲気もない。
「今年一番泣ける本」なんてとんでもない謳い文句のついているオグ・マンディーノ(帯を見ただけで手にとる気にもならない)の系列でもない。
スターガールという変な名前の奇妙奇天烈な転校生と主人公レオの淡い恋物語である。確かにややチープな感じのするお伽話ではあるけれど、結構キュンと来る。
何よりも、「徹底した個人主義の国」であると思っていたアメリカの若者でさえ、ついつい日和見主義になってしまって、こんなに悩んだりするのかと思うと、意外でもあり勇気づけられもする。いやあ、どこの国でも青春には悩みがいっぱいだ。
そう、基本的に青春小説のジャンルに収まってしまう作品なので、「青春がどうしたとかいう青臭い本は嫌いだ」という人には向かないかもしれない。でも、本当はそんな人にこそ読んでほしい。
ホントに、読んで損はないって。テリー・ケイの『白い犬とワルツを』みたいな、読んでげっそりする系統の本では決してないから。安心してスラスラ読めて、不思議に心に残る作品ですよ、これは。
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