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Saturday, April 27, 2002

『Y』佐藤正午(書評)

【4月27日特記】 『永遠の1/2』以来すっかり忘れていた作家だったが『ジャンプ』で再会し、その読後感が文庫になった『Y』にも手を伸ばさせた。

巧い作家である。筋運びが巧い。それは筋を転ばせてゆくための道具立てのよさでもある。一貫して「喪失感」がテーマであり、寂寞とした小説ではあるが、それを表現するためにミステリという手法を採っているところが、この作家の独自性であろう。

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『贋作「坊ちゃん」殺人事件』柳広司(書評)

【4月27日特記】 「殺人事件」だけ余計かな、これは。

夏目漱石の「坊ちゃん」の「贋作」としては大変よくできている。時代というハンディキャップを乗り越えてよくここまでこなした。いやはや器用、器用!という感じ。

原作をよく読み込んで綿密に研究した上で書かれている。原作のキャラクターがそのまま巧妙に活かされているのに驚嘆させられる一方、なんとなく贋作っぽい嘘くさい臭いが残っているのも多分作者の計算どおりで、結構楽しんで読める。

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『スターガール』ジェリー・スピネッリ(書評)

【4月27日特記】 これは捨てたもんじゃない。

安物の少年少女向け小説のように見えるけれど却々結構イケる。

薬臭い「文部省推薦」の雰囲気もない。

「今年一番泣ける本」なんてとんでもない謳い文句のついているオグ・マンディーノ(帯を見ただけで手にとる気にもならない)の系列でもない。

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Saturday, April 20, 2002

『神は日本を憎んでる』ダグラス・クープランド(書評)

【4月20日特記】 ポップな文章だ。そして、装丁も含めてとてもポップな仕上がりの本である。しかし、この本はキツイ。内容が、ではなく、この日本語を読まされるのがキツイのだ。

作者のクープランドのことをよく知らなかった僕は、最初は外人が日本語で書いた文章だと思った。そうではないと判って、じゃあ翻訳が下手なのかと考えた。

確かに訳文に問題はある。原文の雰囲気を残すために意図的にやった部分もあるのかもしれないが、この訳者は、日本語の文節をどういう順番で繋げたら日本人の理解しやすい文章ができるのかが全く解っていない。単語を逐一置き換えることではなく、意味から意味へと変換するのが翻訳の本意なのに、そのことを(あえて)放棄している。江口研一という訳者は、多分口語英語の使い手としては相当な人なのだろうが、そのことが日本語に悪影響を残していると思う。

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Sunday, April 14, 2002

『黒と茶の幻想』恩田陸(書評)

【4月14日特記】 学生時代の友だちであった4人の男女がY島に旅行に行く。ただ、それだけの話である。そこで殺人が起こる訳ではなく、誰かが神隠しに遭う訳でもない。

なのに我々は、読みながら4人の心理の綾に絡め取られてしまう。何故なら4人のキャラクターが極めて綿密に描き分けられているからだ。

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『図書室の海』恩田陸(書評) 

【4月14日特記】 もしもあなたが恩田陸の作品をこの本で初めて読もうとしているのなら、悪いことは言わない、やめたほうが良い。もうこの本を買ってしまっているなら、できれば他の長編を買ってきて、まずそっちを先に読んだほうが良い。「いきなり長編に手を出すのも冒険だから、とりあえず短編から」と思っているなら、その考えは捨てたほうが良い。

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