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Thursday, March 28, 2002

『知覚の呪縛』渡辺哲夫(書評)

【3月28日特記】 これはひどい本だ。

我々のような素人筋はこんな本に手を出してはならない。

そもそも田口ランディが激賞しなければ、こんな本が大書店で平積みになることもなかったはずだ。田口ランディは15歳の時に『分裂病の少女の手記』という本を読んで激しい衝撃を覚えたという人物であり、彼女の実兄はひきこもりの末に餓死している。いわば彼女は古武士(ふるつわもの)なのである。我々のようなヤワな素人筋ではない。

なのに我々ヤワな素人は「分裂病」と聞くとちょっと惹かれてしまう。どんなものなのかちょっと知りたくなる。我々が読みたいなと思うのは、「分裂病とは、ほら、こんなものですよ」と簡潔に法則化して、明快に例示してくれる書物である。「だから、こういう風にすると、ほら、治るんですよ」と書いてあればなおのこと救われる。

ところが、現実の治療の現場はそんな生易しいものであるはずがない。しかし、往々にして売れるのは、そういう極端に単純化された書物である。

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Sunday, March 24, 2002

『GO』金城一紀(書評) 

【3月24日特記】 若い作家が書いたものにはどうしてもどこか未熟な点があるものである。この小説で言えば、それは桜井という女の子の描き方にある。

小説を書いたことのある人にしか解らないかもしれないが、僕たち男性はともすればこういう理想の女の子を描いてしまいがちである。ものすごく可愛くてものすごく不思議な女の子──だが、残念ながらこういう女の子は現実にはいない。

そういう意味で、この小説はオジサンたちには受けが悪いのではないかと思う。

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Friday, March 22, 2002

『若者はなぜ「繋がり」たがるのか』武田徹(書評)

【3月22日特記】 サブタイトルに「ケータイ世代の行方」とある。

書き下ろしのまとまったメディア論(あるいは世代論)かと思ったら、そうではなくて、あちこちに掲載された文章(投稿や講演まで含む)の寄せ集めである。ケータイだけではなく、Jポップから性転換手術まで、選んだテーマもバラエティに富む、というよりはバラバラだ。そして、自分で考察している部分よりも引用が多いような気もする。

なのにちゃんと統一感があるのは作者の分析と構築の力がしっかりしているからだと思ってよい。

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Sunday, March 10, 2002

『25時』デイヴィッド・ベニオフ(書評)

【3月10日特記】 シブいのである。そしてカッコイイ。しかし、これは24時間後に刑務所に入る白人男性の物語なのである。普通は渋くも格好良くもあるはずがない。実は彼の心は絶望と栄光の記憶の間を行き来しているのである。

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Sunday, March 03, 2002

『ルート225』藤野千夜(書評)

【3月3日特記】 この物語の素敵なところはこの終わり方である。

これから読む人のためにあえて詳しくは書かないが、「普通はこうなってこう終わるだろう」という終わり方では終わらない。「これは所謂ジュヴナイルSFなのかな」と思って読み始めるのだが、少年少女向け小説やSF小説の終わり方には辿り着かないのである(って、読んでない人にはさっぱり解らないでしょうが・・・)。

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