Sunday, June 16, 2019

前田敦子

【6月16日 記】 昨日観た映画『旅のおわり世界のはじまり』のパンフレットを読むと、黒沢清監督は、

(前田敦子の)他には考えられませんでした。今回はどうしても主演をお願いしたくて、プロット段階から前田さんをイメージしていました。

フレームに写っただけで独特の強さと孤独感が漂う、本当にすごい女優。この役を演れるのは前田さんしかいないと最初から決めていた。

と言っている。映画を観て僕もまさにこの映画は前田敦子抜きでは成立しないなと感じた。一方前田敦子のほうも、

黒沢さんのオファーなら断る理由がありません。

と出演を即決したらしい。なんと幸せな相思相愛だろう。彼女の黒沢作品出演は『Seventh Code』(2014年)、『予兆 散歩する侵略者』(2017年)に次ぐ3本目だ。

『Seventh Code』では、冒頭から前田敦子が西も東も分からないウラジオストクで、重いスーツケースを引きずりながら青い車を追って全力疾走する、という、ある種『旅のおわり世界のはじまり』に似た展開である。『Seventh Code』の前田敦子の延長上に『旅のおわり世界のはじまり』があるのは間違いない。

ただ、『Seventh Code』には“秋元康との合作”みたいな雰囲気が幾分あり、黒沢清らしさは出しながらも、どこか前田敦子のプロモーション・ビデオ風になっていたところがあったのは残念だと僕は感じた。

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Saturday, June 15, 2019

映画『旅のおわり世界のはじまり』

【6月15日 記】 映画『旅のおわり世界のはじまり』を観てきた。いやあ、えらいもんを観てしまった。

監督・脚本は黒沢清。カメラはいつもの芹澤明子。ウズベキスタンでのオール・ロケによるロード・ムービーである。

この映画で初めて、世界史で習ったシルクロードのサマルカンドが現在のウズベキスタンにあるということを認識した。

前田敦子が扮するバラエティ番組のリポーターがそこから首都のタシケントまで移動しながら撮影をする。撮影隊は3人。

ディレクターの染谷将太はすぐに「この番組の視聴者はそんなことは求めてない」みたいなことを言って他人の提案を却下する。幻の怪魚を撮る当てが外れ、地元のウズベキスタン人が悉く約束を守らず言うことを聞かないのでカリカリ来ている。

カメラマンの加瀬亮はちょっとやさぐれた感じだが、仕事ぶりはクールで、この取材旅行ではディレクターよりも実権を握っている感がある。

そして、みんなに気を遣い、よく働く撮影助手兼AD兼、その他もろももろの雑用・段取りをひとりで引き受けているのが柄本時生だ。

さらにそこに現地人の通訳がついている。僕はてっきり日本に留学中の素人のウズベキスタン人を抜擢したのかと思ったが、その正反対で、全く日本語ができないウズベキスタンの人気俳優アディズ・ラジャボフだった。演技が自然なのも尤もだが、日本語が自然なのに驚いた。

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Sunday, June 09, 2019

映画『長いお別れ』

【6月9日 記】 映画『長いお別れ』を観てきた。

途中まで少し退屈した。なんと言うか映画の作りが古い気がした。でも、ひょっとしたら今回の作品が老人の認知症を描いたものだからそう感じただけで、実は『湯を沸かすほどの熱い愛』のときからそうだったのかもしれない。中野量太はとりたてて斬新な何かを押し出してくる監督ではない。

退屈したのは僕の母が認知症だからかもしれない。映画の中で「7年か、それは長いね」という台詞があったが、僕の母は発症してからもう7年どころではない。ほぼその倍だ。おまけに何年か前から妻の母も同じ病気になっている。

そういう環境にいるから、逆に、何て言うんだろう、ひがみ? 近親憎悪? 偽悪? うまい言葉が見つからないけど、ともかく、なんかそんな複雑な感情から共感できないのかもしれない。

原作小説が実話に基づくものだし、映画のほうも認知症を決して誇張したり作ったりした描き方はしていないのだが、今イチ乗り切れない。何と言うか、もっと可笑しくて(普段は「おかしい」にこんな漢字を宛てたりしないのだが、ここではこの表記がぴったりだと思うのでこれにした)、哀しくて、そして大変なのである。

ところが終盤になってくると、やっぱりこの監督は巧い。前半で撒いた種を順番に刈り取って、収まるところに話を収めてくる。

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Tuesday, June 04, 2019

連続ドラマW『坂の途中の家』全6話

【6月2日 記】 WOWOW の連続ドラマW『坂の途中の家』全6話を見終えた。

そもそも僕は WOWOW ではもっぱら単発のドラマWを見ており、それが連続ドラマ化するのは歓迎していなかった。理由は単純で、地上波のほうでレギュラーで見ているドラマがあるので、それにプラスして WOWOW で毎週見る余裕がないということだ。

ところが、今では WOWOW のドラマは全4話~8話ぐらいの連続ものが中心である。WOWOW の人に聞くと、連続ドラマにしたほうが単発よりも遥かによく見られるのだそうだから、仕方がないことである。

とは言え、見る余裕がないことには変わりがないので、今まであまり連続ドラマW は見てこなかった。今回見るに至った理由もこれまた単純で、角田光代の原作小説を夫婦揃って読んでいたからだ。それでテレビドラマも夫婦揃って見ることになった。

その結果、この6週間、我々夫婦にとって土曜の22:00~23:00 という時間はものすごく気が重くなる時間になった。いや、ドラマが終わってからしばらくは(多分日付が変わってからもしばらく)我々夫婦はどんよりとした気分から抜けられなかった。

原作を読んでいるのだから、そんな話であることは先刻承知なのだが、ともかく暗い。

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Monday, June 03, 2019

映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』先行上映イベント

【6月3日 記】 電通デザイントークというイベントで『ウィーアーリトルゾンビーズ』の先行上映を観てきた。

長久允(ながひさまこと)監督は電通の社員である。まだ34歳。

行き詰まって有給休暇を取っていたときに、たまたま見た「女子中学生4人がプールに金魚500匹を放して自分たちもそこで半裸で泳いだ」というニュースに着想を得て作った映画が『そうして私たちはプールに金魚を、』だった。

もともと学生時代から映画を作っていた人で、映画の夢を諦めて電通に入り、CMクリエイタとしてそれなりに実績を積んできたが、次第に CM が苦手だと思うようになり、CM をドロップアウトして映画を作ったと本人は言っている。

で、この映画がいきなりサンダンス映画祭のショートフィルム部門でクランプリを受賞した。日本人としては初の快挙である。そして、今回の映画が2作目であり、長編デビューでもある。この映画もサンダンスとベルリンで賞を獲っている。

あらすじをあまり書いても仕方がない映画だと思うが、とりあえず少し書いておく。

主人公は男子3人、女子1人の中学生。同級生ではない。たまたま同じ時期に両親が亡くなり(バス転落事故、火事、自殺、殺人事件)火葬場で出会った。4人はそのままドロップアウトしてしまう。

と言っても、中学生のことだから行くところもなく、まずはそれぞれの家(焼け跡も含めて)を回る。それから行き場を失ってゴミ捨て場でたむろしていたときに、ひょんなことからバンドを組むことになり、それがひょんなことから大人の目に留まり、デビューが決まり大ヒットとなる。

全編がゲームになぞらえられた構成になっており、途切れなく流れる音楽も効果音もまるでゲームである。

見始めてすぐに思ったのは、これは今までの映画の文法では作られていないな、ということ。視点が全然違う。ここで言う視点とは着想のことではなく、文字通りどこにカメラを置くか、どんな構図でどんなサイズで切り取るか、そしてそれをどのように繋いで行くか、というようなことである。

色彩も音楽もとてもポップで、テンポが半端なく良くて、展開もアナーキーである。かと言ってうるさいだけの作品ではない。僕はこの映画の中で3回出てきた「エモい」という表現がこの映画を評するのに一番適切なのではないかと思う。

映画の中では「エモい」と誰かが言うたびに必ず「古い!」とツッコミが入っていたが、それは監督のテレなんじゃないかな、と(笑)

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Sunday, June 02, 2019

映画『さよならくちびる』

【6月2日 記】 映画『さよならくちびる』を観てきた。塩田明彦監督。

『月光の囁き』(1999年)や『ギプス』(2001年)を観て、すごい監督が出てきたと思った。そして、『黄泉がえり』(2003年)や『カナリア』(2005年)を観て、こういう商業作品的なものも撮って段々大御所になって行くんだなあ、と思っていた。

ところが次の『この胸いっぱいの愛を』(2005年)に大いに失望して、僕が観たのはその次の『どろろ』(2007年)が最後になってしまった。塩田明彦のほうもややペースダウンして、その後は3本しか撮っていない。

僕にとっては12年ぶり塩田明彦である。女の子2人のフォーク・ギター・デュオ“ハルレオ”の物語だ。

メンバーはハル(門脇麦)とレオ(小松菜奈)。2人は勤務先のクリーニング工場で出会い、前から歌を歌っていたハルが全くどんな人間か分からないレオに「あたしと一緒に音楽やらない?」と声をかける。後からレオがその時の理由を訊いたら「歌いたそうな目をしていたから」とハルは答えた。

映画の冒頭では、ハルレオはインディーズではそこそこ人気のある存在になっているが、実は解散が決まっている。これから浜松・四日市・大阪・新潟・酒田・弘前・函館の全国7箇所のライブハウスを巡るツアーに出ると言うのに、ハルとレオは互いに険悪な雰囲気で車に乗り込む。

車を運転するのはローディ兼マネージャ兼サポートメンバーとしてエレキギターも担当するシマ(成田凌)だ。シマの前職はホストだが、ハルレオの初期にハルの歌に惚れ込んで志願してきて雇われた。

車中でハルとレオが罵り合う。最初はなんでこんな険悪なムードなのか観客には分からない。

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Saturday, June 01, 2019

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

【6月1日 記】 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を観た。今朝 WOWOW で録画した分だ。

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』が大ヒットしている。本国アメリカでの大ヒットはともかく、「日本ではなんで第1位にならないんだ?」などと言われながらも、日本でもかなりのヒットになっているのは確か。

で、全然見る気はなかった。そもそも何十作もあるマーベル/アベンジャーズ・シリーズの総決算みたいな作品であり、スピンオフを含めてたくさん見ている人ほど面白いのは当然であり(コアなオタクには必ずそういうご褒美があるものだ)、これまで1本たりとも見ていない僕が今からそこに追いつけるはずもないし…。

でも、『アベンジャーズ/エンドゲーム』に関して、褒めている人が結構多いので、ちょっと気になってきたところで、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の前編である『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』さえ観ておけば最低限は理解できるし楽しめるという話を聞いたのである。

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Thursday, May 23, 2019

『光のお父さん 劇場版』完成披露試写会

【5月23日 記】 『FINAL FANTASY XIV 光のお父さん 劇場版』の完成披露試写会に行ってきた。

有名なタイトルだ。FINAL FANTASY XIV を通した父子の交流を綴ったブログがソーシャル・メディアでバズり、書籍化、テレビドラマ化を経て今回の映画化となった。

テレビドラマではお父さんを大杉漣が演じたが、ドラマの放送の翌年に亡くなってしまった。大杉が生きていれば映画も同じ配役で撮られるはずであったが、それを機会にキャストは一新されることになった。

今回の映画ではその役を吉田鋼太郎が、そして、テレビでは千葉雄大が演じていた息子を坂口健太郎が演じている。坂口の妹役の山本舞香はテレビドラマにはなかった役だそうで、監督はテレビのときと同じ野口照夫と、ゲーム部分の監督として山本清史がクレジットされている。

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Sunday, May 19, 2019

映画『コンフィデンスマンJP』

【5月19日 記】 映画『コンフィデンスマンJP』を観てきた。テレビドラマのときは初回だけ観た。面白かったのだが、「あー、大体分かった。別に毎週見るほどのものではないわ」という感じもあって、それ以降は1回も見ていない。

そもそも古沢良太という人は僕とはかなり相性の悪い脚本家で、作品からして見る気が起こらない『三丁目の夕日』シリーズを書いていたこともあるし、初めて見た映画『キサラギ』(2007年)に嫌悪感を覚えて、それ以後暫く近づかないようにしていた。

ただ、その後『探偵はBARにいる』シリーズ(2011年、2013年、2017年)や『寄生獣』シリーズ(2014年、2015年)、『ミックス。』(2017年)などではそれほど拒否感を覚えなくなったこともあって、今回はあまり抵抗なく観に行った。

ま、基本的に筋作りの人だから、こういうのが向いているのではないだろうか。

で、ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)の3人を中心とした信用詐欺チームの話である。そのぐらいのことは僕も憶えている。で、テレビ版の初回で20億円騙し取られたのが赤星(江口洋介)なのだが、残念ながらそれは憶えていない。

この映画にも赤星は敵役で出ており、ダー子たちに合流する新米詐欺師モナコ(織田梨沙)、詐欺のターゲットである香港の大富豪ラン・リウ(竹内結子)、そしてダー子の元恋人(?)で恋愛詐欺師のジェシー(三浦春馬)などがそこに加わる。

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Sunday, May 12, 2019

映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』

【5月12日 記】 映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』を観てきた。

僕の映画の見方は「今日は暇があるから映画でも観ようかな。今何やってるんだろう?」という感じではなく、基本的に上映の何ヶ月も前からマークしておいたものを順番に観て行く形である。でも、今回は珍しく前者。水谷豊の監督第2作なんだそうな。脚本も水谷豊が書いている。

で、結論を先に書くと、筋の運び方に少しく冗漫な印象があったものの、意外に良かった。

何よりも良い画が撮れていると思った。撮影監督は会田正裕という人。名前に記憶はなかったのだが、主に劇場版の『相棒』を撮ってきた人のようだ。

冒頭の長く途切れのない空撮からして却々気を逸らせない。主人公が人をはねるシーン(及びその前後)のいろんな構図とか、死んだ娘の遺影の前で夫に語りかける檀ふみのアップとか、港が見えるカフェのカメラワークとか、とても綺麗で印象的な画が多かった。

水谷監督は、その画作りに合わせるように、(自分自身を含めて)役者には少し長めのカットでじっくり芝居をさせている。

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