Friday, February 08, 2019

「キネマ旬報」2月下旬号(2)

【2月8日 記】 さて、今年もキネマ旬報ベスト・テンの集計表を見ながら、毎回やっている分析の遊びをします。

キネマ旬報ベスト・テンはそれぞれの審査員(今回の邦画部門だと 60名)が1位から10位までを選び、1位には 10点、2位には9点、3位には8点、…、9位には2点、10位には1点が割り振られて、その合計点で順位を決めています。

これを私は毎回分解して遊んでいます。どうやるかと言えば、ある映画の総得点をその映画に投票した審査員の数で割ってみるのです。そうすると、同じ 150点獲得の映画でも、一方は

  1. 合計150点=30人×平均5.00点

他方は

  1. 合計150点=20人×平均7.50点

となったりします。これで映画がどのような受け方をしたかを測ろうという魂胆です。(a) は多くの審査員に投票してもらっていますが、平均点自体は高くない。(b) は逆に投票数はそれほどでもないけれど、それぞれの審査員がつけた平均点がものすごく高い。

故に、(a) は多くの人に広く受けた映画、(b) は特定の人の心に深く刺さった映画だと考えられます。

これは統計学的に正しい手法ではありませんが、数多くの映画に広げるのではなく、投票結果の上位 10本ぐらいに絞ってやっている限りは映画の傾向をかなり正確に捉えているのではないかと思って、それで毎年こういうことをやっています。何よりもこういう遊びが楽しくて仕方がないからなんですが(笑)

さて、では、今回の分解結果を見てみましょう。

  1. 万引き家族
    225点=34人×6.62点
  2. 菊とギロチン
    218点=32人×6.81点
  3. きみの鳥はうたえる
    212点=30人×7.07点
  4. 寝ても覚めても
    205点=31人×6.61点
  5. 孤狼の血
    126点=19人×6.63点
  6. 鈴木家の嘘
    118点=23人×5.13点
  7. 斬、
    113点=24人×4.71点
  8. 友罪
    106点=16人×6.63点
  9. 日々是好日
    103点=18人×5.72点
  10. 教誨師
    88点=12人×7.33点

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Tuesday, February 05, 2019

「キネマ旬報」2月下旬号(1)

【2月5日 記】 キネマ旬報は、毎年の例で言うと、1月前半でベストテンの発表をするので、その時点で僕は自分が書いた「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」との突き合わせ記事を書いて、そのあと2月上旬発売の2月下旬号(キネマ旬報ベストテン発表特別号)を見ながら、去年自分が観た邦画のランキングを追って行く記事を書いていました。

ところが今年から(なのか今年だけなのかは判りませんが)1月中には何の発表もなく、2月下旬号発売の前日になって漸く、しかも、邦画/洋画の第1位と個人賞だけを発表するという、出し惜しみをしてきました。

そのほうが雑誌が売れると踏んだのでしょうか? 仮にそれで雑誌が売れたとしても、なんだか僕は時代に逆行したマーケティング手法だなあと思えてならないのですが…。

ま、でも、個人的には何も不利益を被っていないので、例年と同じ振り返り記事を書きます。ただし、例年だと2回に分けて書いていることを、今年は1回で一気に書いてしまうことになりました。

まずはキネ旬ベストテン(2018年、日本映画)を見てみましょう:

  1. 万引き家族
  2. 菊とギロチン
  3. きみの鳥はうたえる
  4. 寝ても覚めても
  5. 孤狼の血
  6. 鈴木家の嘘
  7. 斬、
  8. 友罪
  9. 日々是好日
  10. 教誨師

なんと、ここまでだと僕の推した映画はゼロ!

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Thursday, January 17, 2019

どうしたキネ旬?

【1月17日 記】 どうしたことか、今年はキネマ旬報ベストテンの発表がない。

全投票結果については、毎年2月上旬に発売される2月下旬号で発表されていたが、ベストテンと個人賞の速報だけは1月に発表されていた。昨年は 1/11、一昨年は 1/10、 その前の年は 1/7、その前の年は 1/8 だった。

僕の記憶で書いているのではない。僕は毎年その結果を見て、このブログに「キネマ旬報ベストテン」というタイトルで一文を物しているので、その日付を辿ったら分かるのである。

どうしたんだろう? 表彰式が 2/10 にあることは既に発表されている。これは例年と同じようなスケジュールのはず。ならば、もう発表があっても良い頃ではないか?

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Thursday, January 03, 2019

【再掲】 Merry Xmas Show

【1月3日 記】 かつてやっていたホームページの記事を久しぶりにこのブログに移設/追加した。1986年と 87年のクリスマス・イヴに日本テレビが放送した『Merry Xmas Show』の記事だ。

きっかけは昨年末の NHK『紅白歌合戦』で桑田佳祐と松任谷由実が共演したこと。

これを観て大いに感動したある人が facebook に「テレビでは初めての2ショット?」と書き、そこに「いや、確か 1986年に NTV が放送した『Merry Xmas Show』で共演してたはず」という、ややうろ覚えのコメントがついて、僕はそこに正確に詳細に加筆してみた。

あまりはっきりした記憶のある人は少ないようだ。テレビって1回きりの放送で消えちゃうから仕方ないんですよね。

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Tuesday, December 25, 2018

『昭和元禄落語心中』

【12月25日 記】 評判になって賞もいくつか獲ったらしい原作漫画のことは例によって何も知らずに、最初は MBS のアニメイズム枠でアニメになった第1期13話と第2期“助六再び編”12話を観て、物語の中心を貫く深い思想性に惹き込まれた。

画の素晴らしさもある。そして、稀代の名人とも言える八雲と助六という2人の落語家の対照の妙。それぞれの名跡の2代(あるいは3代)にわたる因縁めいた展開。恋と友情、孤独、そして落語への偏愛。その研ぎ澄まされた、完成度高く構築された物語世界に圧倒され、舌を巻いた。

そして、それを NHK が全10回のテレビドラマにした。録画したままかなり遅れて少しずつ観ていたのだが、この3連休でやっと最後まで追いつき、やっぱりこの見事な物語空間に取り込まれて何とも言えぬ感動に包まれた。

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Monday, December 24, 2018

2018年度日本インターネット映画大賞投票

【12月24日 記】 今年もお誘いをいただいたので、日本インターネット映画大賞に投票してみた。今回で13回目の投票である。

選出作品は3作品以上10作品までで、対象は2017年1月~2018年12月公開作品(ただし、僕自身は今年になってから観た作品に限定した)。採点法はいくつか提示されていたが、僕は持ち点30点を自由に配分する形を採った。この場合、小数点以下は無効で、1作品最大10点までOK。

各部門賞の1票は2ポイントで、投票対象は個人のみ。日本映画ニューフェイスブレイク賞は男優か女優個人のみ。日本映画音楽賞は作品名で投票。外国映画ベストインパクト賞は個人のみ。私(ユーザー名)が選ぶ○×賞は洋画/邦画を問わない。

日本映画作品賞3作品以上の投票を有効票とする。

というのが今年の大まかなルールである。では、早速僕の投票を披露する。

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Sunday, December 23, 2018

回顧:2018年鑑賞邦画

【12月23日 記】 今年も恒例の「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」を選んでみた。

毎年書いていることだが、これは「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい」という僕の個人的な願望(あるいは応援演説)であって、「入るであろう」という予想ではない。

今年の賞レースはきっとカンヌでパルムドールを受賞した『万引き家族』と、バズって大ヒットになった『カメラを止めるな!』と、樹木希林の遺作となった『日々是好日』のオンパレードになるだろうと思っていたのだが、既に発表された賞を見る限りはそうでもなくてちょっとほっとした。

僕もこの3本は選ばなかった。つまりこれらは「20位以内に入るであろう」作品ではあっても(いや、『カメ止め』は入らないかもしれないが)、僕が特に入ってほしいと思う作品ではないということだ。

今年観た邦画は長短編合わせて 68本──これは僕の生涯最高記録である。別に何かがあって増えたわけでもなく、たまたまそうなっただけのことではあるが。

その一覧を見たり自分の書いた映画評を読み返したりして選んで行ったら、13本が残った。そこから3本落とした結果が下記である。なお、これも例年通り、評価の高い順ではなく、僕が観た順である。

  1. 羊の木
  2. リバーズ・エッジ
  3. blank13
  4. 素敵なダイナマイトスキャンダル
  5. 榎田貿易堂
  6. センセイ君主
  7. 愛しのアイリーン
  8. ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション
  9. ハード・コア
  10. 来る

ちなみに落としたのは、『モリのいる場所』『焼肉ドラゴン』『億男』の3本だ。

誤解のないように書いておくと、これらは僕が最も高く評価している 10本ではない。キネ旬20位以内に入ってほしいという思い入れを反映した 10本である。

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Saturday, December 22, 2018

映画『小河ドラマ 龍馬がくる』

【12月22日 記】 映画『小河ドラマ 龍馬がくる』を観てきた。

タイトルは『竜馬がゆく』のパロディになっているが、ストーリーはそうではない。龍馬が現代にタイムスリップしてくる話で、序盤はコメディと言うよりむしろコントである。

武田鉄矢本人の役で武田鉄矢が出ている。彼が若い頃から坂本龍馬に傾倒していたのはとても有名な話で、当然この役は彼にしかできないし、この映画は武田鉄矢の主演でなければ撮れない。

話は逸れるが、武田鉄矢が若い頃に『クイズダービー』に出演したことがあった。当時、司会の大橋巨泉は、武田鉄矢が坂本龍馬をそれほど尊敬しているとは知らなかったらしい。よりにもよって、最後の問題は坂本龍馬の「短刀・拳銃・万国公法」伝説に関するものであった(長くなるのでここには書かない。ググられたし)。

その時、大橋巨泉は「風貌が何となく坂本龍馬に似ている武田鉄矢さんは」などと言いながら、はらたいらや竹下景子より遥かに高い倍率を提示したので、僕は驚いたのである。テレビを見ながら「武田鉄矢さんに全部」とひとりごちたほどである。

結局、「本」というような回答も確か正解扱いされたと思うのだが、正確に「万国公法」と書いたのは武田鉄矢ただひとりだった。それほどの龍馬フリークなのである。

このドラマでは、武田鉄矢自身が「自分も年なので恐らくこれが人生最後になるだろう」と思っている龍馬役が回ってきた。福山雅治が NHK の『龍馬伝』で坂本龍馬を演じた時、武田鉄矢は勝海舟役で出演しているのだが、「ほんとはあの時も俺が龍馬をやりたかったんだよなあ」などという台詞が用意されている。

つまり、史実だけではなく、芸能人武田鉄矢のリアル・ライフも踏まえてあって、そこが面白いのである。

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Sunday, December 09, 2018

映画『来る』

【12月9日 記】 映画『来る』を観てきた。

このタイトルのネーミングは、Stephen King の "IT" に通じる巧さがある。“それ”が何なのかは分からないが、でも確かに“それ”は存在して、確かに“それ”は“来る”のである。で、この映画の中では、その主語に当たるものは“あれ”と呼ばれている。

原作の小説は『ぼぎわんが来る』という題だったそうだが、ここから主語を削除したのは見事なアイデアだ。“来る”のが何なのか分からないわけで、そのほうがずっと怖い。

でも、僕が観たのはホラーだからではない。中島哲也監督だからだ。そして、映画が始まって怖い場面になった瞬間から、そこにあるのはまさに中島哲也監督ならではの映像美の世界だった。

血が美なのか?と言われるとちょっと違うと言う人もいるだろう。でも、それは、自分の血であれ他人の地であれ、ともかくそれが噴き出すのは怖いことなので美に結びつかないだけであって、実は一番身近にある強烈な赤色であり、それはやはり根源的に美であるように思う。

ここではスプラッタ的な美と、日本伝統の様式美と、そしてコンピュータによる幻想的な美の3つが合わさったような感じがあった。この壮大な仕掛けを、映像芸術と呼ばずに何と呼べば良いだろう?

事実この映画はホラーという枠に収まるものではないのだ。出演者のひとりである松たか子も言っている:「みなさんおっしゃることかもしれませんが、むしろ“あれ”の存在を通して人間を描こうとしているように、私には思えました」と。

そして、中島監督自身もこう言っている:「原作の小説を映画にしたいと思った理由は、登場人物が面白かったことに尽きます。この人たちを実写にしたらどうなるんだろう?と興味が湧きました」と。

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Monday, December 03, 2018

映画『いつか輝いていた彼女は』

【12月3日 記】 映画『いつか輝いていた彼女は』を観てきた。

新人の登竜門的な、音楽×映画の祭典である MOOSIC LAB にエントリーされた中の一作で、今夜見たのは『1人のダンス』『下鴨ボーイズドントクライ』と3本建てになった<Cプログラム>だったが、僕は最初からこの『いつか輝いていた彼女は』狙いだったので、今回はこの映画に絞って書く。

そもそもは僕と twitter 上で長年の相互フォロー関係にある(何がきっかけでそうなったかは憶えていないのだが)女優の日高七海さんが出演している映画、というのが僕の耳に入った最初の情報だった。

で、ネット上を見ていると、これがまた観たの人の評判が良いのだ。それで、これは何が何でも観なければと思って、ちょうど今夜渋谷のアップリンクで上映するのを見つけて予約したら、なんと日高さんから「是非観てほしい」とのお誘いが。

おかげで、舞台挨拶に立った日高さんとも初めてリアルで会えたし、監督の前田聖来(まえだせいら)さんにも紹介してもらえた。

当然低予算で作られ、映画作りに慣れていないぎこちなさも残ってはいるのだが、脚本と役者がとても良いので、結構良い映画になっている。

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