Saturday, May 26, 2018

映画『恋は雨上がりのように』

【5月26日 記】  映画『恋は雨上がりのように』を観てきた。

永井聡監督についてはとりたててファンと言うほどのこともないのだが、予告編を見て出来が良さそうだと思ったから。で、本当にそこそこ出来が良い。

またしても漫画原作である。女子高生がバイト先の中年の店長に恋をする話である。それ以外にはとりたてて何もない、と言うか、それがすべての映画である。

冒頭からテンポが良い。いきなり走り出すヒロインに躍動感が漲っている。あんなシーンにワイヤーアクションを使うという発想が秀逸。細かいリズムを表情豊かにあしらった劇伴とも非常にマッチしている。

カメラが動きながら長回しでファミレスの全体像を描き出して行く辺りも、画としても魅力があるし、説明としても手際が良い。

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Tuesday, May 22, 2018

音頭

【5月22日 記】 深夜ドラマの『やれたかも委員会』が好きだ。ものすごくデトックスになる。で、このエンディングで流れているのが shiori によるカバー『君のひとみは10000ボルト』だ。

この曲、1978年に堀内孝雄が発表したときから思っているのだが、リズムとの兼ね合いを考えると区切れがおかしいのだ。

つまり「きみの・ひとみは・いちまん・ボルト」ではなく「きみのひ・とみはい・ちまんぼ・ると」になっているのである。

特に「き」から「い」までは同じ高さの音なので、メロディラインでアクセントをつけることができない。そうするとどうしても強拍・弱拍でことばが区切れてしまうのだ。

こんな風に切れ目のおかしい歌は時々あるのであって、僕が昔大いに気になったのはイルカの『なごり雪』である。

こちらは「なごり雪も 降る時を知り」とは聞こえずに、「なごり雪も 降る時 お尻」と聞こえてしまう。みんなあんまり気にしていないかもしれないが…(笑)

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Sunday, May 20, 2018

映画『モリのいる場所』

【5月20日 記】  映画『モリのいる場所』を観てきた。

沖田修一監督の作品というだけで観に行ったので何にも知らなかったのだが、まず驚いたのは観客層の年齢の高さ。40代でさえパラパラと見かける程度、20代・30代は2人か3人、ほとんどが50代、60代、70代、80代だ。

で、年寄りはネットで買わずに劇場でチケットを求めるのでカウンターの混んでいること!(僕はネットで買うので別に構わないのだけれど)。でも、普段映画公開情報に疎いはずのこの世代がこんなにも大挙するのは何ゆえなのか?

1974年。主人公は熊谷守一(山﨑努)。通称モリ。94歳。食べ物は一回ハサミで細切れにするかペンチで潰してからでないと口に運べない。腰は曲がり、歩くのに両手で2本の杖をつく。

で、暫く見ていると、どうやらこれが画家であり、書家であることが判る。

食事が済んだら日課の散歩らしく「池に行く」と行って出かける。妻の秀子(樹木希林)が洗濯物を干しながら見送る。モリは鬱蒼とした森の中を虫や魚や植物や石などを次々に観察しながら、と言うか、それらのものに魅入られるようにしながら森の奥に入って行く。

どんな山奥に住んでいるのだろう、と思って観ていたら、どうやらここはモリの家の庭であるらしいと知って驚く。広い庭とはいっても所詮は庭である。そして、表札の住所が東京都豊島区になっていたので再度驚いた。

最後まで見て、この熊谷守一が実在の画家であると漸く知った。そうか、この年配の客たちは恐らくはそもそもこの画家のファンなのだろう。

そして、山崎努にとってモリは長年の“アイドル”であったのだそうだ。『キツツキと雨』に出演した際に山﨑が沖田監督に教え、興味を持った沖田がいろいろ調べてオリジナル脚本を書いたのだとか。

また、樹木希林は20代のころから熊谷守一の絵が好きで、「山崎努さんが熊谷守一を演じられるのなら」と脚本にも目を通さず即答で出演を快諾したのだとか。

どうやら僕がものを知らなすぎたようだ。

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Sunday, May 13, 2018

映画『孤狼の血』

【5月13日 記】  映画『孤狼の血』を観てきた。白石和彌監督。

オープニングから流れる男声ナレーションが妙に古めかしい演出のような気がする。これも東映伝統のヤクザ映画を意識してのものなのかな、と思う。

そもそも原作の小説からして『仁義なき戦い』にインスパイアされた女流ミステリ作家が手がけたものである。

僕は東映の古い映画で言うと藤純子の緋牡丹お竜シリーズだけはテレビで全作観ているが、それ以外の任侠ものは一切見ていないし、それに続く『仁義なき戦い』を代表作とするヤクザものも全く知らない。

でも、ああ、白石和彌がヤクザものを撮るとこういう感じになるんだな、という気はした。

僕は白石作品ではこれまでに『凶悪』『牝猫たち』『彼女がその名を知らない鳥たち』を観てきた。人間の中にある醜悪な感情、暴力的な衝動などを描くのが大変巧い人だと思う。

とは言えヤクザ映画となると、これはもう、そう銘打たれた瞬間に何か特殊な社会を描いたものとして枠に嵌められてしまうような気がする。今まで普通の人間の中にあるどす黒いものが肥大するとどうなるかを描いてきたのが面白かったのが、なんか関係ない世界に行ってしまうようで少し残念ではある。

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Saturday, May 12, 2018

映画『四月の永い夢』

【5月12日 記】  映画『四月の永い夢』を観てきた。中川龍太郎監督。

前評判だけ聞いて中味を何も知らずに観に行ったので、海外の映画祭で賞を獲ったと言っても、多分自主映画的な作品だろうと思っていた。が、これはかなり本格的な作品だった。

自主映画も含めて、低予算映画によくあるように、カメラは1台を据え置きにして役者にやや長めの芝居をさせたシーンが多い。でも、良い構図、良い画だと思う。そして、そのカメラが動き出すとこれがめちゃくちゃ巧い。

  • 藤太郎(三浦貴大)の手ぬぐい工場で天井から吊るした無数の手ぬぐいを抜けて行くカメラ。
  • 床に寝そべって2人で手ぬぐいを見上げる初海(朝倉あき)と藤太郎を斜め上から切り取った構図。
  • 初海が藤太郎の工場を出て夜道をトボトボ歩き始めた姿を真後ろから、しかし高さを変えて少し上から切り取った画作りの工夫。告白されたのに素直に喜べない初海の沈んだ感じを体現している。
  • その沈んだ初海が音楽プレイヤを取り出して、曲を聞きながら歩く姿を真横からレールに乗ったカメラが追うのはよくある手法だが、気分が高揚してきた初海がスキップ風になったりくるっと回ったりして移動の速度が不規則に変わる──それがまさに高揚感を表している。

自主映画どころか、非常に熟練した、才能のある監督ではないか。

三浦貴大や高橋惠子、志賀廣太郎ら、結構名の通った良い役者たちが出ているということは、そもそも既にこの監督がある程度の評価を得ているか、あるいは、少なくとも出演した俳優たちがこの監督に“何か”を感じ取っている証拠だろう。

で、主演の朝倉あきがこれまたとても良い。

良い演技をしているという意味と、カメラに魅力的に映っているという意味の両方で。自主映画っぽいものをイメージしていたのに、朝倉あきの最初の10分間の演技でその印象は吹っ飛んでしまった。

例によってもうあまり記憶はないのだが、僕は2013年の『横道世之介』や2014年の『神様のカルテ2』においても朝倉あきの演技を評価していたようで、自分の書いた映画評を読み返すと、そこにちゃんと彼女の名前を書き記している。

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Saturday, May 05, 2018

映画『となりの怪物くん』

【5月5日 記】  映画『となりの怪物くん』を観てきた。

土屋太鳳は好きではないので少し迷ったのだが、月川翔監督は前作の“キミスイ”がとても良かったし、まあ観ておくか、という感じで行った。

またしてもベストセラー漫画を原作とする学園恋愛ものである。しかし、客層は女の子2人組を中心としながら、カップル、男子高校生4人組、おっさん2人組など非常に多様である。これは何なんだろう?

で、冒頭で主人公の吉田春(菅田将暉)が虐められていた生徒を助けようとして乱闘になるシーンの特撮からも明らかなように、これはかなり誇張してデフォルメして描こうとしている映画である。

その誇張された主人公が春で、頭は良いけれど単純で一本気で、何をしでかすかわからないので周囲から“怪物”と呼ばれている。

この役を菅田将暉が本当に好演している。上手いとか下手とかいう次元を超えて、彼がここまでオーバーに演じながら、恐らく誰もこの登場人物を嫌うことはできないくらいの人間的魅力を振りまいているところがすごいと思う。

監督のインタビューを読むと、感性で演じるのではなく、意外に頭の中でしっかりプランを立てて、それを消化しながら演じるタイプだとか。ともかく彼の独壇場の映画だった。

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Friday, May 04, 2018

映画『ラプラスの魔女』

【5月4日 記】  映画『ラプラスの魔女』を観てきた。三池崇史監督。

最初に言っておくと、あからさまなネタバレを書く気はないのだけれど、これからご覧になる方は先にこれをお読みにならないほうが良いと思う。

僕はこの作品の設定に最後まで乗れなかった。

  • 条件さえ整えば、気象を含む全ての物理的現象は予測がつく
  • それを予測することのできる脳を人の手によって作ることができる

という2つのことを前提として物語を組み立てているのだが、僕にはそれが荒唐無稽と思われて、ちょっとついて行けなかった。

人間の知覚器官は見落としや聞き逃しをするし、脳は勘違いをする。そして、それよりも何よりも、人間の脳の最大の欠陥は処理能力が遅いということだ。つまり、何を言いたいかと言うと、この物語はスーパー・コンピュータを噛ませないと成立しないと思う、ということだ。

自動車に AI を載せて自動運転を導入しようとするのは、単にコンピュータにも順路と状況を見極められるようになったからではなく、ひとえにコンピュータは処理能力が速いということが一番大きな決め手である。

突然眼の前に障害物が現れたときに人の運転では避け切れない状況でも、コンピュータの判断と処理の速度があるからこそ事故にならずに済むのである。

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Thursday, May 03, 2018

映画『ママレード・ボーイ』

【5月3日 記】  映画『ママレード・ボーイ』を観てきた。廣木隆一監督。

僕は 2015年に「いい部屋ネット」の CM で桜井日奈子を見た瞬間に「この娘は来る!」と確信したのだが、今は「やっぱり来たか!」という思いよりも、「随分時間がかかったな。“岡山の奇跡”とまで言われたのに」という印象のほうが強い。

飯豊まりえや浜辺美波が一気にブレイクしたのを尻目に、ちょっと伸び悩んでるかなと心配していたのだが、今回満を持しての初主演映画である。

原作は1992年から『りぼん』に連載され、コミックスは累計1000万部を突破した吉住渉の漫画。一度アニメ化もされ、「実写化してほしい少女漫画」の市場調査では断然トップに上がってくる作品とか。

2組の夫婦(筒井道隆+檀れい、谷原章介+中山美穂)がハワイ旅行中に偶然出会い、お互いがそれぞれ相手のパートナーを好きになってしまい、離婚して組合せを変えてそれぞれ再婚することになった。

ただ、両夫婦には光希(みき、桜井日奈子)と遊(吉沢亮)という同い年の高校生の子供がおり、子供のことを考えるとそのまま離婚して別れ別れになるのも良くないだろうということで、シェアハウスを借りて2家族6人で同居することになる。

──という、少女漫画にありがちな、一見荒唐無稽な設定に思えてしまうのだが…。

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Sunday, April 29, 2018

映画『いぬやしき』

【4月29日 記】 映画『いぬやしき』を観てきた。原作は奥浩哉の漫画、監督は佐藤信介。

この映画、予告編が結構壮絶すぎて、却って「実際観てみたら予告編が全てだった、みたいな映画じゃないの?」などと言われたりしていたが、観てみたらいやはやめちゃくちゃ面白かった。

2人の男が夜中の公園で謎の光に襲われて、気がついたら機械仕掛けの身体になっていた、という話。

ひとりは高校生・獅子神(佐藤健)。クラスではあまり目立たない存在だが、(佐藤健が演じているからそうなったのかもしれないが)カッコよくて、密かに思いを寄せるクラスメイト(二階堂ふみ)がいたりもする。

もうひとりは会社では仕事ができず、家でも家族に疎まれ、それでもなんとか日当たりの良くない土地とは言え一戸建てを買ったと思ったら、ガンで余命幾許もないとの宣告を受けたサラリーマン・犬屋敷(木梨憲武)。

獅子神は自分の身体の異変に気づいた瞬間からその能力を使いこなして鳥を撃ち、無人の車を動かして衝突させ、友人の安堂(本郷奏多)を虐めていたクラスメイトを懲らしめるなど派手に動き出す。

一方、犬屋敷のほうはまず何があったか信じられず、勝手に変形する自分の肉体を制御できず、やっぱり普段と同じようにおどおどするだけの毎日である。

その2人が、一方は気に入らない人間を片っ端から殺すという悪行に走り、他方は自分に瀕死の人間を治癒する力があることに気づいて人助けを始めるという対照が面白い。

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Friday, April 27, 2018

『蚤とり侍』マスコミ試写会

【4月27日 記】  映画『蚤とり侍』のマスコミ試写会に行ってきた。鶴橋康夫監督。この監督にはこういう題材の時代劇というのが却々的を射ていたような気がする。僕が苦手とする監督だが、台詞回しも良く、今回は珍しく面白かった。

十代将軍家治の治世。悪名高い老中・田沼意次(この役を桂文枝が演じているのが、なんか時宜を得た感がありおかしい。しかも、ギャグなしの大真面目な演技である)が牛耳っていた時代である。

越後長岡藩の勘定方・小林寛之進(阿部寛)はひょんなことから藩主・牧野備前守忠精(松重豊)の逆鱗に触れ、「明日から猫の蚤取りになって暮らせ!」と藩邸から放逐される。

猫の蚤取りという職業は江戸時代に本当にあったようだが、ここで描かれているのは原作小説の著者による創作で、表の仕事は猫の蚤取り/裏の仕事は女性に身体を売る、ということになっている。

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