Friday, May 26, 2017

『忍びの国』追記

【5月26日追記】 関係者試写会でもらったチラシに記載がなかったので分からなかったのだが、7/1 公開の映画『忍びの国』の撮影監督は相馬大輔だった。

相馬大輔が撮った映画ならたくさん観ている。あらためて彼の撮った映画のリストを眺めてみると、僕が大好きな監督と組んで作った僕が大好きな作品が目白押しだ。

で、暫く眺めていて気づいた。

Continue reading "『忍びの国』追記"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Saturday, May 20, 2017

映画『帝一の國』

【5月20日特記】 映画『帝一の國』を観てきた。

この映画については激賞と酷評の両方を読んだ。そういう映画を観に行く時はそわそわドキドキしてしまう。

「良い映画か悪い映画か、俺が見極めてやるぞ」というようなことではない。むしろ逆だ。僕がこの映画を褒める人間なのか貶す人間なのかを見極められてしまう──そういう感覚である。

どちらかが正しくてどちらかが誤った見方なのではない。ただ、道はいつも二股に分かれているのだ。

時代は昭和。名門・海帝高校1年の赤場帝一(菅田将暉)が生徒会長を目指す話だが、そう聞いて想像するようなほんわかした青春ドラマではない。

この名門校の生徒会長になることで将来への第一歩が刻まれ、そのレールに乗っかって行く行くは総理大臣になり、遂には「自分の国」を作るのだという固い意志で帝一は動いている。

逆に言うと、この高校で生徒会長になれなければ自分の未来はなく死んだも同じ、と、異常なくらい真剣に思いつめているのだ。帝一のライバルたちも似たり寄ったりの異常な執着ぶりである。

ただ、シリアスなドラマではない。コメディ、それもデフォルメ具合が半端ではないコメディになっている。

Continue reading "映画『帝一の國』"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, May 14, 2017

映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』

【5月14日特記】 映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を観てきた。石井裕也監督の映画を久しぶりに観たいなと思って。

石井監督自身『バンクーバーの朝日』以来3年ぶりの作品だが、僕はそれを観ていないので『ぼくたちの家族』以来4年ぶりということになる。

オープニングにはちょっと感心した。タイトルからして青っぽい色から入るかと思ったら、いきなり赤色で攻めてきた。

冒頭は確かに夜の映像だが、ビル街の赤い灯りのほうが目に飛び込んでくる。その後、日の丸の赤、そして赤い服のジョガー。

監督名だけで選んでいるので全然知らなかったのだが、タイトルになっているこの素敵なフレーズはなんと21歳で中原中也賞を獲った詩人・最果タヒの、最新となる第4詩集の題である。

僕は詩集なんて滅多に読まないが、でも、決して読まないわけではなくたまに読むので、一般人と比べれば詩が好きと言えるのかもしれない。

詩が原作だからこの映画も勢い「映像詩」になる。そこはとても大事なところだ。詩なんて解らないと投げ出したら終わりだ。解らないという感覚に襲われたら、解らないまま味わうのが詩だ。意味ではなく味が、目や耳から脳に入ってくるはずだ。

Continue reading "映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Tuesday, May 09, 2017

映画『無限の住人』追記

【5月9日追記】 映画『無限の住人』で書き忘れたことがある(これからご覧になる方は、感動が減ってしまうので、読まないほうが良いかもしれない)。

あの映画はモノクロで始まった。映画の一部にモノクロ映像が使われること自体は珍しくない。多くは回想部分だけがモノクロだったり、暗く悲しいシーンがモノクロだったりという手法だ。

三池監督がどのような意味を込めてモノクロにしたのかは、何しろ冒頭からいきなりのモノクロだから、観ている客からしたら見当もつかない。ただ、そうなってくると観客の興味はどこでカラーに戻すか、ということである。

まさか映画の中盤までモノクロで引っ張るということはあるまい。最初の何分間かで、何かをきっかけにして色を付けてくるはずだ。それはどのタイミングなのだろう?

Continue reading "映画『無限の住人』追記"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Monday, May 08, 2017

『忍びの国』関係者試写会

【5月8日特記】 映画『忍びの国』の関係者試写会に行ってきた。

仕事で観に行ったと言うよりも、敬愛してやまない中村義洋監督の新作を早く観たくてたまらなかったから。

僕自身はこの映画の製作には直接的には一切関係していないけれど、「関係者試写会」に行ける程度には「関係者」なわけで、そういう映画の評は書きにくいものだ。

心ある者は思った通りに書き、心ない者はむやみに褒めるのだろう、と思っている人もいるかもしれないが、それほど単純なものではない。特に映画の出来が微妙な場合は、却々貶しにくいし同時に褒めにくいものだ。

それがこんな風に素で面白かった時は非常に幸せな気分である。「関係者の文章なんてどうせ宣伝としか受け取ってもらえないだろう」なんて不安はどっかへすっ飛んで、感じたことがそのまま書ける幸せ。

それくらい面白かった。斬られたり刺されたりするのは大の苦手と言う人を除けば、みんな楽しめるんじゃないかな。

織田信長の息子・信雄(知念侑李)の伊賀攻めの話。主人公は伊賀の国一番の腕利き忍者・無門(大野智)。

Continue reading "『忍びの国』関係者試写会"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, May 07, 2017

映画『追憶』

【5月7日特記】 映画『追憶』を観てきた。

「降旗康男監督、木村大作撮影」というのが売りのようなのだが、僕にとっては全く見る気が起こらない名前である。

とは言え、単に見る気にならなくて今まで一作たりとも見たことがないと言うだけのことであって、何かを見てげっそりしたというのではない。だから、良さそうだと思ったら観に行く。

今回は岡田准一、小栗旬、柄本佑、長澤まさみ、木村文乃という組合せに惹かれた。青島武、瀧本智行という、もう少し下の世代が脚本を手がけている(厳密には原案脚本)というのも観に行った理由だ。

日蝕のあった日という設定の暗い暗い画面で始まる。で、大仰な音楽が、と思ったら千住明の名前。うーむ、古風なコンビが古風なトリオになったな、という感じ。この後、いいシーンではずっと BGM 鳴りっぱなし。

子供の頃の罪の意識を抱いたまま、真実を胸の奥に閉じ込めて大人になった3人の男の話。そのうちのひとりが殺される。残った2人のうちのひとりは刑事、ひとりは容疑者。──舞台装置としてはうまくアレンジしてある。

でも、何なんだろう? 昔の人が作っているという先入観があるからかもしれないが、なんだか古ぼけた感じで乗れない映画だ。日本の四季の様々な表情が見事に織り込まれていたりはするのだが、教科書みたいな味気なさを感じてしまう。酢の効いていない酢飯のような感じ。

Continue reading "映画『追憶』"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Thursday, May 04, 2017

映画『無限の住人』

【5月4日特記】 映画『無限の住人』を観てきた。

三池崇史監督の映画を見るのは久しぶりだ。見る前からこれは如何にも三池崇史だという映画である。ただ、今回は三池監督目当てではない。無論不死身の侍を演じたキムタクが見たかったわけでもない。目当ては杉咲花だった。

子役出身だが、僕は2013年の TBS 金ドラ『夜行観覧車』で初めて名前を憶えた。目がいい。これは只者ではないなと思った。山口智充と親子の役でやっている味の素 Cook Do の CM も非常に好印象。去年の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』も素晴らしかった。

この映画でも彼女の魅力は十全に発揮されている。役名の通り凛としている。そのようにカメラが撮っているとも言える。やはり、目の動きがいい。二役なのだが、上手に変化をつけて本当に別人に見える。

この映画はある意味木村拓哉ではなく杉咲花の映画になったと言って過言ではない。

身長が 153cm しかないところが、この映画では大きなポイント。キムタクとの身長差が、そのまま観客にまで「守ってやらなければ」という気持ちを起こさせる。

鮮やかな着物の色が良く映えている。この映画には彼女の他にも戸田恵梨香、栗山千明、山本陽子ら何人かの女優が出ているが、その中で唯一暖色系のコスチュームを宛てがわれている。映画を作る上でこういうところは非常に巧いと思う。

Continue reading "映画『無限の住人』"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Monday, May 01, 2017

映画『暗黒女子』

【5月1日特記】 映画『暗黒女子』を観てきた。耶雲哉治監督。

(具体的には書いていないけれど、最後の方まで読むと多少ネタバレになっています。先入観なくこれから観たい方はお読みにならないでください)

冒頭から名門お嬢様高校の読書サークルの朗読会という、ものすごく芝居掛かった設定、そして芝居掛かった台詞回し。原作はいま流行りの“イヤミス”のヒット小説だとか。確かに嫌な気持ちになる。

主人公は2人、読書サークルの会長・小百合(清水富美加)と前会長のいつみ(飯豊まりえ)だが、いつみは既に死んでしまっている。鈴蘭の花を握りしめて屋上から飛び降り自殺したことになっているが、実は殺されたのだという噂がある。

その死をめぐってそれぞれの部員(平祐奈、小島梨里杏、玉城ティナ、清野菜名)が創作した物語を朗読するのが、今日の朗読会の主旨である。ただの朗読会ではなく闇鍋を食べながらというのが笑ける設定だが、これはその後の展開に必要だからだ。

その辺りの物語の転がし方が見事に取って付けたような牽強付会である。人物の描き方も極めて類型的で、如何にも頭で考えましたという人工的な匂いのする作品だ(舞台の作品だったら、多分これほどの違和感はなかっただろうが)。

Continue reading "映画『暗黒女子』"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, April 30, 2017

映画『笑う招き猫』

【4月30日特記】 映画『笑う招き猫』を観てきた。

飯塚健監督の映画は2作目の『放郷物語』(2006年)以来ほぼ全部観ている。テレビのシリーズも『荒川アンダーザブリッジ』(全10話)、『REPLAY&DESTROY』(全8話)、『ランドリー茅ヶ崎』(全4話)、そしてこの『笑う招き猫』(全4話)も全て観ている。そのくらいのファンだ。

で、テレビと映画の両方をやったのは『荒川アンダーザブリッジ』と『笑う招き猫』なのだが、『笑う招き猫』のテレビ・シリーズのほうはあまり面白くなかった。いや、面白いと言えば面白いのだが、言わばミニマル的な面白さである。

映画版のスピンアウト企画を先行してテレビでやった形なので、これが映画化の前宣伝になったかと言うと疑問で、テレビドラマを観てしまったために映画館に行くのをやめた人もいるのではないかと心配するぐらいである。

結論から言うと、この映画版にはちゃんとストーリーがある(笑) 原作はすばる新人賞を獲得した同名の小説である。

Continue reading "映画『笑う招き猫』"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Monday, April 24, 2017

映画『3月のライオン 後編』

【4月23日特記】 映画『3月のライオン 後編』を観てきた。

今回結論を先に書いてしまうと、とても良いのだ。良い読後感が持続するので「良かった」ではなく「良い」と現在形で書いてしまうくらい良いのだ。

単なる趣味とは言え、映画評みたいなものを書いていると、どうしても分析しながら観るような癖がついてしまっているのだが、この映画は分析を許さない。それくらいの没入感があるのである。

それは脚本が良いということ、役者と演出が素晴らしいということに尽きるのではないかな。分析しながら見させてくれないのであまり細部の記憶は残っていないのだが、カメラワークももすごく美しい。

零(神木隆之介)が川本の家を訪ねる時に必ず赤い欄干の橋を渡るのだが、ああいうのが様式美と言うか、なんかひとつのアイコンになっていて、あそこを渡ってるのを見ると条件反射的に心が暖かくなってしまう。

で、今回見ていて思ったこと: 将棋って勝敗が尽きるまでやるゲームじゃないんですよね。一方が「負けた」と思って、それを宣言した所でゲームは終わる。

本当はまだ負けていないのかもしれない。そのまま最善手を続ければ逆転する目が残されているのかもしれない。──現に前編にも後編にもそのことに触れたシーンがあるのだが、それがなんか、決して教訓めいたり教科書臭くなったりせずに人生を語っているのである。

そう言えば、前編ではあれだけ印象の強かった、いろんな棋士たちの「負けました」という台詞が、この後編ではひとつもなかったのではないかな?(1箇所ぐらいはありましたっけ?)

この後編ではそういう諦めない姿が、醜い悪あがきかもしれないけれど、そこを通るしか生きる道がないということが、なんかものすごく素直に胸に染みてきた。

Continue reading "映画『3月のライオン 後編』"

| | Comments (0) | TrackBack (0)