Friday, February 14, 2014

「キネマ旬報」2月下旬号(2)

【2月14日特記】 さて、今年もキネマ旬報日本映画ベストテンに関して毎年やっている分析を書きます。

恒例になっているので楽しみにしてくれている方、なんていないだろうけれど(笑)、単に何年か続けてやってきたことなので今年もやってみます。

やり方は例年と同じ。キネ旬の投票は各審査員(2013年度の日本映画なら62人)がそれぞれ55点を持って、1位には10点、2位には9点、3位には8点、…、9位には2点、10位には1点を投じるシステムである。

で、それぞれの映画の得点を、1)何人の審査員が投票したか、2)投票した審査員1人あたりの点数は何点か、を調べて、「得点=○人×平均△点」という形に分解してみるのです。

そうすることによって、a)それぞれの点数はそれほど高くなくても多くの審査員が投票している=広く人気のあった作品と、b)投票人数は少ないがそれぞれが高い点数をつけている=思い入れ度の高い作品を見極めようという試みです。

統計学的には決して正しい方法ではないですが、1位から10位までに限定して、大まかな傾向を見ようとするのであれば、そこそこ適当な方法ではないかと思っています。

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Wednesday, February 12, 2014

「キネマ旬報」2月下旬号(1)

【2月12日特記】 今年も『キネマ旬報』2月下旬決算特別号が発売になったので、例年通り僕が 12/28 に書いた「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」とキネ旬のランキングの突き合わせをしてみます。

キネ旬10位以内については 1/9 の記事に書きましたので、その続き、第11位以降の検証です。

僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい」と書いた邦画10本のうち『凶悪』『共喰い』『そして父になる』『風立ちぬ』『さよなら渓谷』合計5本がすでに10位以内に入っていました。では、20位内には合計何本入ったでしょう?

残念ながらその5本以外では『横道世之介』が14位に入っていただけでした。今年は合計6本。まあ、健闘と言って良いでしょう(誰が健闘したのかよく分かりませんがw)。

最初に僕が入ってほしいと思って入らなかった残りの4本が何位なのか見てみましょう。

まず『きいろいゾウ』ですが、意外と言うか不満と言うか、これが完全に選外なのです。キネ旬編集部を含めた62人の審査員が誰一人1点たりとも入れていません。1点以上入った映画が第126位まで、合計142本あるんですが、それ以下ということです。

うーむ、全く理解できません。廣木隆一監督の代表作になったと思ったんですけどね。

続いて『リアル ~完全なる首長竜の日~』。僕の周囲ではかなり評判が悪かった映画ですが、さすがキネ旬、なんとか第30位に入っています。もうちょっと上でも不思議はないですが。

そして『陽だまりの彼女』が第58位。うむ、合計10点入っているとは言え、評価低いですね。三木孝浩監督、陽の目を浴びません。この手の監督のこの手の作品をもっと評価してやるべきだと思うんですけどね。

最後に『四十九日のレシピ』が第31位。これはほどほどのポジションです。

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Thursday, January 09, 2014

キネマ旬報ベストテン

【1月9日特記】 2013年度キネマ旬報ベストテンが発表されました。今年も例によって僕が12/28に書いた「キネマ旬報ベストテン20位以内に入ってほしい10本」の邦画と見比べて行きます。

もう1回念を押しておくと「10位以内」ではなく「20位以内」に「入るだろう」ではなく「入ってほしい」10本です。従って、現段階では半分しかチェックできません。

何はともあれ、まず発表されたキネ旬ベストテンを書いておきます。

  1. ペコロスの母に会いに行く
  2. 舟を編む
  3. 凶悪
  4. かぐや姫の物語
  5. 共喰い
  6. そして父になる
  7. 風立ちぬ
  8. さよなら渓谷
  9. もらとりあむタマ子
  10. フラッシュバックメモリーズ 3D

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Sunday, December 29, 2013

2013年度日本インターネット映画大賞(日本映画部門)投票

【12月29日特記】 今年もご招待いただいたので、日本インターネット映画大賞に投票してみることにした。僕は2006年度以降ずっと参加させてもらっている。

ルールはいつも通り:

[作品賞投票ルール(抄)]
選出作品は3作品以上10作品まで
持ち点合計は30点以下。ただし投票本数が3本の場合は30点(10点×3作品)とする
1作品に投票できる最大は10点まで

この賞は、ひどい言い方をすると、ネット上の有象無象が等しく扱われる人気投票で、こういうやり方もある意味ひとつの見識であると言える(笑)

こういう時には僕は、自分の持ち点30点を使ってどうやって偏向してやろうかと一生懸命考えるタイプで、そういうのがとても面白い。

で、今年についてはこんな風にしてみた:

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Saturday, December 28, 2013

回顧:2013年鑑賞邦画

【12月28日特記】 今年も恒例の「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい邦画10本」を書いてみる。

毎年註釈をつけているように、これは僕が一番信頼を寄せているランキングである「キネマ旬報ベストテン」の、「10位内」ではなく「20位以内」に、「入るであろう」ではなく「入ってほしい」、「外画」ではなく「邦画」10本である。

今年見た邦画は、7月にグランフロント大阪で開催された SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2013 in OSAKA で観た短編2作を含めて、全部でちょうど50本である。

見たかったのに見逃した映画は毎年あるものだが、今年の痛恨は大根仁監督の『恋の渦』。マークしてたのに上映期間が短くて、見に行くタイミングなかった。

褒めている人が多いので、これはベストテンに入ってくるのではないかと思うのだが、それだけになおさら残念である。

さて、いずれにしても見ていないものについて語ることはできないので、僕が観たものの中から、愛情を込めて推したい作品を10本選んでみた。

  1. きいろいゾウ
  2. 横道世之介
  3. リアル ~完全なる首長竜の日~
  4. さよなら渓谷
  5. 風立ちぬ
  6. 共喰い
  7. そして父になる
  8. 凶悪
  9. 陽だまりの彼女
  10. 四十九日のレシピ

これも毎年書いていることだが、上記は僕の鑑賞順であって、番号と評価は関係がない。

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Tuesday, December 24, 2013

NHK-BSプレミアムドラマ『歌謡曲の王様伝説阿久悠を殺す』(その2)

【12月23日特記】 昨日(と言ってもほんの数時間前だが)書いたNHK BSプレミアムの『歌謡曲の王様伝説阿久悠を殺す』に関して、少し書き漏らしたことがある。

昨日書いたように、全般に僕はあまりこのドラマに満足できなかったのだが、ひとつだけ良い台詞だと思ったところがある。

それは、スナックのシーンで、酔客がカラオケで『勝手にシンドバッド』を歌い始めた時に、三浦貴大が扮する青年が吹越満の阿久悠に詰め寄るところである(この青年が、このドラマの中では唯一阿久悠に食って掛かる存在である)。

青年はこの曲を、阿久悠の2大傑作である『勝手にしやがれ』と『渚のシンドバッド』の両方を喰ってしまっていると言う。そして、こういう新しい感覚の書き手が阿久悠を滅ぼすのだというような意味のことを言う。

それを受けて阿久悠はこう言う:「桑田くんは才人ですよ」

この台詞を、聞いた時はとても良い台詞であり、正しい認識であると思ったのだが、後から考えるとこれはちょっと違う。

桑田佳祐を才人だと言えるのは今だからであって、サザンがデビューしたあの当時に果たして何人がそういう認識を持ったかと言うと、それは疑問であり、果たして阿久悠が作詞家としての桑田を“才人”と称しただろうかと考えると、少し怪しい気がする。

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Monday, December 23, 2013

NHK-BSプレミアムドラマ『歌謡曲の王様伝説 阿久悠を殺す』(その1)

【12月23日特記】 録画しておいたNHK BSプレミアムの『歌謡曲の王様伝説 阿久悠を殺す』を観た。一色伸幸が脚本ということで大いに期待して観たのだが、ちょっと企画倒れな感じで残念だった。

着眼点は秀逸である。

僕は当時気がついていなかったのだが、阿久悠は1980年に半年間歌詞を書かなかったのだそうだ。そのブランクの期間に彼は小説『瀬戸内少年野球団』を書き(もちろんこの小説は知っている)直木賞候補になったが選に漏れた。

阿久悠が文藝春秋社から「今回の直木賞は該当作なし」との連絡を受けた日、彼は食事をしていた料亭から、マネージャーが呼んだタクシーには乗らず、「少し歩くよ」と言って夜陰に消えた。

その夜彼がどこにいたのか、当時のマネージャーもいまだに知らないという。──ドラマはその一日に目をつけた。

その夜阿久悠は、ふと紛れ込んだ場末のスナックで、次から次へと客に絡まれる(と言っても必ずしも敵対的に話しかけられたわけではない)。そして、その会話を発端にして、阿久悠の人物像や、当時の彼の心情を描こうという企画である。

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Sunday, December 15, 2013

映画『もらとりあむタマ子』

【12月15日特記】 映画『もらとりあむタマ子』を観てきた。

僕は前田敦子を初めて見た時に「何でこんな娘が?」と思った。それが見ているうちに、彼女が成長したのか、僕の見る目が養われたのかは分からないのだが、だんだん良くなってきた。

そもそも AKB48 にはそういうタイプが多い。

彼女は山下敦弘監督の前作『苦役列車』にも出ていた。これがなかなかだった。

多分制作会社としては「AKB のアイドルを起用して集客に繋げたい」という思いもあったと思うのだが、山下監督はそういうことではなく、前田に役者として期待しているということがひしひしと伝わってきた。そして、彼女もそれに応える、所謂「殻を破った」演技をしたと思う。

そしたら、案の定、山下監督は次の作品であるこの映画にも起用した。しかも、今度は主役である。ところが、これがひどい役なのである(笑)

タマ子(前田敦子)は大学を出て故郷の甲府に帰ってきたものの、食って寝てゲームするだけで何もしない。

就職もしないし、父親の経営するスポーツ用品店「甲府スポーツ」を手伝うでもない。それどころか洗濯も炊事も全部父親にやらせて、ひたすらぐうたらしている。父親にちょっと咎められるとブチ切れて訳の分からん理屈を言ったりもする。

そういう娘が主人公の話だから、ほとんど毎日なにも起こらない。

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Saturday, December 07, 2013

映画『SPEC ~結~ 爻ノ篇』

【12月7日特記】 映画『SPEC ~結~ 爻ノ篇』を観てきた。変な言い方だが、これはもう僕がこんなところに映画評なんか書いている場合の作品ではないのだ。

まさかテレビ・シリーズの初回(甲)から映画『SPEC ~結~ 漸ノ篇』まで観て、そこでやめる人はいないだろう。愛してきたシリーズが完結するのである。お祭りである。

マニアというのはファンの究極的な形であると思うのだが、このシリーズほどマニアの客を大事にした作品はないのではないか。前にも書いたかもしれないけれど、定年になったら『ケイゾク』から全部を見直してみたいと思う。

さて、今回フィナーレとなる作品の特徴は、何と言っても「くどい!」こと(笑)。

この作品にあまり思い入れのない、あるいはここまでの作品に充分馴染んでいない観客からは、「内容に乏しいシーンを引き延ばしている」とか「前後篇にするために薄めている」などという批判が必ずや寄せられるだろうが、それは違う。

このくどさはそんな消極的な結果ではない。演出者の意図として、積極的にくどいのである(笑) SPECファンならこの感じ、解ってくれると思う。

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Sunday, December 01, 2013

映画『ジ、エクストリーム、スキヤキ』

【12月1日特記】 映画『ジ、エクストリーム、スキヤキ』を観てきた。

舞台のほうはまだ観たことがないのだが、映画『生きてるものはいないのか』と『横道世之介』で脚本家・前田司郎の力量に驚いて、彼が監督を務めるというこの作品は絶対観ようと決めていた。

今回もこの自然で、だらけて、でも妙に深くて、でも聞いていてイライラする、けど愛おしくも思えるダイアローグの数々は絶品である。

読み返してみると、僕は『生きてるものはいないのか』の映画評で、「コミュニケーションの皮を被ったディスコミュニケーション」と書いている。我ながら上手いことを言ったと思う。

ただ、この映画はそこまで暗くない。むしろ、ディスコミュニケーションなのに不思議にどこかでコミュニケーションになっていて、仄かな希望が感じられる作品である。

お話としてはあまり何も起こらない。冒頭で洞口(井浦新)が崖から落ちたところが映る。生きているのか死んでいるのか、このシーンがこれから展開される映画の始まりなのか、それとも最後のシーンを先に見せたのかが分からない。

分からないままシーンは変わって、洞口が大学の同級生・大川(窪塚洋介)を15年ぶりに訪ねて行く。滑れもしないスケート・ボードを持って。

大川は楓(倉科カナ)と同棲している。楓に向かって「洞口が来たら殴るかもしれない」と言っている。やって来た洞口に面と向かって「決して許していない」と言う。でも、洞口が悪びれず人懐っこく擦り寄ってくると拒否できない。

結局、いろんな馬鹿馬鹿しい経緯があって、なんだか分からないダラダラした会話があって、洞口の車でどこかに行ってスキヤキをしようということになる。流れで楓も一緒に行く。

友だちのいない洞口はこれまた大学時代に大川たちとつるんでいた京子(市川実日子)を15年ぶりに訪ねていきなり誘い、当然最初は嫌がった京子も結局行くことになる。

そこからはロード・ムービーである。

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