『日本のセックス』樋口毅宏(書評)
【12月27日特記】 昔から「ポルノは善か悪か、あるいは必要悪か」とか、そもそも「ここまでは芸術、ここから先はポルノ、みたいにきっちり分けられるものなのか」とかいう議論は幾度となく繰り返されてきただろうが、そんなものは分けられるわけがないし、どっちかが善でどっちかが悪なんてこともない。
同じものでもある角度から見れば芸術で別の角度から見たらポルノ、なんてこともなければ、同じものでもあるときは芸術になり、またあるときはポルノになる、なんてこともない。そもそも分明な境界の存在を想起するのが間違いで、ポルノを切り分けることも、それだけを規定することも無意味であると私は思っている。
ところが、この小説を読み始めて端的に持った感想は、「これはポルノである。ポルノ以外の何ものでもない!」ということであった。しかも、そこら辺のポルノではない。結構突き詰めた究極のセックスの姿なのである。
Recent Comments