Wednesday, February 08, 2012

「キネマ旬報」2月下旬号(2)

【2月8日特記】 さて、今年もまた『キネマ旬報ベストテン』の投票結果の僕なりの分析、と言うか、分解をやってみようと思う。

何年か前にふと思いついてやってみたら、結構面白い結果が出るので病みつきになってしまったのだ。

キネ旬ベストテンの投票方法は、審査員が合計55点を持ち点として、第1位には10点、第2位には9点、第3位には8点という風に割り振って行って、最後の第10位には1点を投ずるというものである。で、それぞれの審査員の投票した点数が合計されて、その映画の得点となるのである。

今回の第85回、2011年の投票では、編集部を含む57人の審査員が投票している。

さて、僕が毎回やっている分析は、それぞれの映画の合計得点を、「投票者の平均点×投票人数」という形に分解してみることである。

当たり前のことだが、10人の審査員が1点ずつを投じた映画と、たったひとりの審査員が10点を付けただけの映画は同点になるのである。でも、この2つの得点は性格が違うのではないかというのが僕の考えである。

もしも多くの審査員が投票したのであれば、それはひとことで言ってしまうと万人受けしたということである。それに対して、投票人数は少ないけれど、平均点が高かったので他の映画と同じくらいの得点になったというのであれば、それは観た人、評価した人の思い入れ度が高かったということである。

それを確かめるために、同じ80点でも平均8点×10人なのか、平均4点×20人なのかを調べようというものである。

これは正しい統計学的手法に則ったものではなく、まことに荒っぽく、かつ素人っぽい分析ではあるのだが、やってみるとそれなりに「らしい」結果が出て面白いのである。結果的には当たらずと雖も遠からず、なのではないかと思っている。

もっとも、この荒っぽい分析がそれなりの説得力を持つのは、あくまで上位10作に限ってやっているからであって、これをもっと下位まで拡張してしまうと、少し乱れたものになってしまうだろう。

さて、前置きが長くなったが(と言うか、毎年この前置きの部分は長くなるのだがw)、分析結果を披露することにする:

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Tuesday, February 07, 2012

「キネマ旬報」2月下旬号(1)

【2月7日特記】 「キネマ旬報」2月下旬決算特別号が発売になりました。さて、今年もまた去年と同じ形式で第11位以下の作品を総点検してみることにします。僕自身の2つの記事(12月29日付け1月16日付け)の続編という形になります。

10位までのところで言うと、今年は結講好成績で、僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」として選んだ映画のうちの6本が入選しておりました。

ところが、最初に書いてしまいますと、11位から20位までの間には1本しか入っていませんでした。

合計で結局7本。去年が7本、一昨年と一昨昨年が6本でしたから、まあ、最多タイとも言えますが、毎年のペースです。

キネ旬の11-20位を紹介してしまいますと、第11位は『監督失格』。ああ、これは僕が見逃してしまった映画です。

第12位は『エンディングノート』。これはあまり観る気がしなくてパスした映画でした。

第13位は『毎日かあさん』。これはとても良い映画でした。不思議はありません。僕も選ぼうかどうか迷った映画でした。

そして、第14位が『恋の罪』。ああ、ここに入って来ましたか。既に書いた通り、同じ園子温監督の『冷たい熱帯魚』が第3位に選ばれています。僕も『冷たい熱帯魚』を推しました。で、『冷たい熱帯魚』を選んでしまった時点で、「もう、園子温はいいか」と思ってしまったので選びませんでした。

それから、第15位は『あぜ道のダンディ』です。ああ、これがこんな良い順位に選ばれてきましたか、という感じ。はい、異存はありません。僕が選ばなかったのは、同じ石井裕也監督で言うと、前年の『川の底からこんにちは』があまりに強烈だったので、ついついそれと比べてしまったからというだけのことです。

やっぱり、監督が自己ベストを更新したような作品が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい」作品だと思ってるからなんですね。

さて、第16位は『歓待』──何ですかね、これ? 不勉強で申し訳ない。全然知りません。

で、一番意外だったのが第17位の『アントキノイノチ』で、これは僕の周辺ではもうボロカスに貶された映画でした。僕自身は、映画評にも書いているように、そんなに悪い作品とは思わなかったのですが、しかし、とは言ってもまさか20位以内に入ってくるとは夢にも思いませんでした。ふーん、って感じです。

去年公開の映画では、僕の周囲でもう1本、とても評判の悪かった映画があります。それは『ランウェイ☆ビート』です。僕はこの映画も割合高く評価していて、正直言って『アントキノイノチ』と比べると、こっちのほうが出来が良かったと思います。

なのに『ランウェイ☆ビート』の名前は第116位までのどこにも見当たらず、1点たりとも入っていないのに対して、『アントキノイノチ』が20位以内というのはちょっと驚きでした。

続きを見ましょう。第18位が、『婚前特急』。これも「納得が行かない」というほどのことはないのですが、意外に評価が高いですね。ちょっとびっくり。

第19位は『一命』。これも、「三池崇史監督はもういいかな」と思って選ばなかった作品。三池監督の最高傑作ではないように思ったので。

そして、第20位に『劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まない』『デンデラ』。前者は僕が選んだ映画でした。これはちゃんとこんな高位に選ばれて喜ばしいことだと思います。後者は、すみません、これもノーマークでした。全く知らない映画です。

さて、ここから先は、例年通り、ランキングの中から自分が観た映画だけを拾って行こうと思います。

あ、その前に、僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」に選びながら選に漏れた作品が3本あります。それは『死にゆく妻との旅路』『軽蔑』『神様のカルテ』です。これらは一体何位に選ばれているのでしょう?

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Monday, January 16, 2012

発表:2011キネマ旬報日本映画ベストテン

【1月16日特記】 発表されましたね、2011キネマ旬報ベストテン。

さて、これで何回目でしょうか。今年も、僕がこのブログに書いた記事「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」とつき合せてみましょう。

今日発表された日本映画のベストテンは下記の通りです。

  1. 一枚のハガキ
  2. 大鹿村騒動記
  3. 冷たい熱帯魚
  4. まほろ駅前多田便利軒
  5. 八日目の蝉
  6. サウダーヂ
  7. 東京公園
  8. モテキ
  9. マイ・バック・ページ
  10. 探偵はBARにいる

今回は僕のリストとキネ旬ベストテンに共通のものが6本あります。10位以内までの途中経過としては、ここのところ3年続けて5本でした。6本重なったのは2007年のベストテン以来です。ちなみに、この試みをやった最初の年である2006年は4本でした。

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Saturday, December 31, 2011

『インセプション』

【12月31日特記】 ずっと前に WOWOW から録画してあった『インセプション』を観た。観たい映画だったのだが、公開間もないころにやや批判的な映画評を立て続けに読んで、どうしようかと迷っているうちに公開が終わってしまった作品だ。

ところが、なんのなんの、観てみると面白いのなんの! これを手放しで褒めない人がいるのか!とびっくりするくらいである。こういうのを正に「嵌った」と言うのだろう。まったくもって僕向きの映画だった。

夢の第2階層、第3階層へと「降りて」行くに従って時間が拡大して行くという設定がめちゃくちゃ面白い! 誰がこんな複雑なこと考えたのか。こういう頭がクラクラしてくる話は大好きだ。

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Friday, December 30, 2011

2011年度日本インターネット映画大賞(日本映画部門)投票

【12月30日特記】 今年もまたご招待いただいたので、インターネット映画大賞に投票させてもらった。

この賞は「権威」とか「標準」とかいう位置づけとは少し遠いところにあるのかもしれないが、逆に如何にも CGM/UGC らしい良い賞であると思う。だから、こうやって毎年参加させていただいているわけだ。

さて、例年通り、投票/採点の仕方はこう定められている。

[作品賞投票ルール(抄)] 

選出作品は5本以上10本まで
持ち点合計は30点
1作品に投票できる最大は10点まで

去年もそうだったが、今年もちょうど「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」という記事を書いたばかりなので、それを少しアレンジする形でまとめてみた。

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Thursday, December 29, 2011

回顧:2011年鑑賞邦画

【12月29日特記】 今年も押しつまってきたので、恒例の「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」という記事を書いてみる。

毎年書いているように、これは「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画」であって、「入るであろう映画」ではない。

どちらで定義しても選ぶ映画だってもちろんあるのだが、「入るであろう」ならば、「僕自身はあまり感心しなかったけれど世間の評判は高いみたいだから」みたいな作品も選ぶことになる。

「入ってほしい」にすることによってその手の作品を外し、逆に「あまり褒めている人はいないけど、僕はすごく気に入ってて、なんとかランクインせんものかと思っている。『キネマ旬報』であれば、これが選ばれる可能性はあるはずだ」みたいなものを加えることになるのである。

キネ旬ベストテンを対象にしているのは、それが僕が最も信頼している、僕と最も相性の良い賞だからである。

さて、今年1年間で僕が映画館や試写会で観た邦画は46本。ここ数年では少ないほうである。そのうち『アブラクサスの祭』は、僕が観たのは年が明けて1月の9日だったが、既に昨年のキネ旬ベストテンの第60位にランクインしているので、今回は除外した。

今年、「あーあ、見逃しちゃった」という映画では『見えないほど遠くの空を』、『ポールダンシングボーイ☆ず』などがある。

で、以下が残り45本の中から、僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい」という祈りを込めて選んだ10本である。なお、これも毎年書いていることだが、番号は僕が観た順番であって評価の高さとは無関係である。

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Sunday, December 25, 2011

映画『ワイルド7』

【12月25日特記】 映画『ワイルド7』を観てきた。

僕は決してフジテレビの出資映画が嫌いなわけではない。ただ、こういうのは観ないのである。こういうのってどういうの?と言われると困るのであるが、ま、例えば『海猿』みたいなやつだ。だから、羽住英一郎監督作品も見たことがない。

この映画を観たのは原作漫画の記憶があったからである。購読はしていなかったが、連載していたという記憶である。読んでいないだけに気になって観てみたくなったわけである。

──などと思っていたのだが、よくよく調べてみると、この文章の最初の段落は誤りだらけである。

『海猿』の監督だし、てっきり CX だと思っていたのだが、この映画のどこにもフジテレビの文字はない。でも、「小岩井宏悦」の名前が、と思ったら、この人は2007年に CX を退職していて、今はワーナー・ブラザーズの本部長になっていた。全然知らなかった。

この小岩井宏悦と並びでエグゼクティブ・プロデューサーにクレジットされているのが、ROBOT の設立者であり、今は自分で事務所を開設している阿部秀司、という面白い組み合わせで映画は成り立っている。

「企画・制作プロダクション」は阿部秀司事務所で、製作委員会には ROBOT も参加しているのである。

さらに、羽住英一郎監督は初めてだとばかり思っていたら、1作観ていた。なんと、あの『おっぱいバレー』の監督だったのである。その前には『逆境ナイン』などという飛んでもない作品(だと聞く。観てないけど)も撮っており、まあまあ何と多才な監督か!

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Sunday, December 18, 2011

映画『CUT』

【12月18日特記】 映画『CUT』を観てきた。日本中で上映しているのは2館のみということもあって、よく入っていた。

役者は全員日本人で台詞も日本語だが、監督はイラン人のアミール・ナデリである。アッバス・キアロスタミ作品の脚本を書いて注目を浴びた人で、今ではキアロスタミと並び称されるほどの監督なのだそうだが、僕は知らなかった。

僕がこの映画を観たのは、主演に西島秀俊、共同脚本に青山真治の名前があったからだ。

しかし、それにしても、あまりと言えばあんまりな映画である。この映画の8割がたは西島秀俊が殴られているシーンなのだから。

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Sunday, December 11, 2011

映画『ステキな金縛り』

【12月11日特記】 映画『ステキな金縛り』を観てきた。

脚本家・三谷幸喜については僕は結構昔からのファンである。ところが、映画監督をやりだしてからは、何本か監督作品を見たあと、とうとう嫌になってやめてしまった。それは台詞を言っている俳優だけをどこまでも追っかけ回すカメラワークのせいである。

良く言えばそれは劇場の観客の視点なのだが、悪く言えばスクリーンを狭めるような悪しき試みであり、映像というものの持つ可能性を非常に限定してしまっている。僕はそれがどうにもこうにも気に入らなくて、とうとう彼が監督をした作品を観るのをやめてしまった(彼が脚本だけ書いているドラマなどは別)。

今回は予告編が面白そうだったので観に行ってもいいかなと思っていたのだが、観るにあたって一番気になっていたのはそのことである。そして、見終わってほっと胸をなでおろした。あのカメラワークはやめていたのである。少なくとも昔のような偏執的な感じはなくなっていた。一体いつごろからやめたのだろう?

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Saturday, December 10, 2011

映画『源氏物語 千年の謎』

【12月10日特記】 映画『源氏物語 千年の謎』を観てきた。

まあ、何と言うか、大仰な映画であった。時代劇ということもあって元々が芝居がかってるし、女優も男優も結構こってり化粧してるし、劇伴がしょっちゅう鳴ってるし…。

セットにもCGにもお金がかかってることがよく解る。で、春の桜、秋の紅葉と、定番の花鳥風月が、これまた大仰にインサートされる。あまりに型通りで笑けてくるぐらいだ。

まあ、そんなこたぁどうでも良いのだが、そもそも僕は紫式部の『源氏物語』という作品があまり好きではないのである。

僕らの時代だと、高校の古文の教科書で清少納言の『枕草子』と並んで出て来たのだが、僕にとって清少納言の才気煥発とか機知とか観察眼とか、そういうものはものすごく心に響いてきたが、『源氏物語』については、「なんじゃこりゃ、ただの色情狂の話じゃないか」と思った。

まあ、高校生の感性で捉えてしまったということかもしれないが。

ところが、まあ、この監督の解釈も(高校時代の)僕と似たり寄ったりということなのか、この映画で描かれるのは、情愛ではなく性愛である。ともかく出会い頭に抱きすくめて、帯を解きにかかるかと思えば、手ぇ突っ込んでくるなど、性欲直結の愛である。

観てないけど、多分『愛の流刑地』という映画も、こんなアングルでこんな描写してたんだろうな、などと思ってしまった。

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