『日本語 語感の辞典』中村明(書評)
【12月16日特記】 収録語数は約1万語──国語の辞書としては如何にも貧弱である。にも拘わらず僕がこれを買い入れたのは、この辞書を引こうと思ったからではなく、これを読もうと思ったからである。直感的に、これは読んで面白い本だろうという気がしたからである。
言葉というものは、ひたすら実用を追い求めていると実はあまり身につかないものである。必要なときに必要な意味を確かめるのではなく、ただ何の必要もなくそぞろ読むのが多分この本の正しい使い方なのではないかと思ったのである。
果たして現物が届いて座右に置いてみると、思ったよりも引き甲斐のある辞書ではないか。考えて見ればそりゃそうである。一口に1万語と言ってしまうと少ないように思えても、類義語がない単語は最初から除外される訳で、ニュアンスに迷う例は意外に網羅されているのである。
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