Monday, February 08, 2010

「キネマ旬報」2月下旬号(2)

【2月8日追記】 このブログではこのところ毎年、キネ旬の1-10位の得点を分解してみるという試みをやっている。何人の審査員が平均何点ずつを投じてこの得点が出来 上がったのかという分析である。

ご存じでない方のために書いておくと、キネ旬の審査は各審査員(2009年度日本映画の場合は55人──対前年比7名減)が1位と思う作品には10 点、2位には9点という具合に総持ち点55点を投じて行く形式である。

で、統計学的にちゃんと分析するとなると分散をはじいたりするんだろうけど、とりあえず簡便で見た目も解りやすい方法として「人数×平均点」という形で表わしてみるのである。1点以上をつけた審査員の数×その平均点である。

これをこのように分解することによって、多くの人に受けたのか一部の人に高く評価されたのか、その映画によって微妙なばらつきが見えて来るのである。

さて、早速その計算結果を並べると以下のような形になった。

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Sunday, February 07, 2010

「キネマ旬報」2月下旬号(1)

【2月7日特記】 「キネマ旬報」2月下旬決算特別号が発売になりました。さて、今年も去年と同じ形式で第11位以下の作品を総点検してみましょう。僕自身の2つの記事(12月24日付け1月12日付け)の続編という形になります。

第11位が『のんちゃんのり弁』。これは正直言って驚きましたね。いや、確かに良い映画でした。ただ、少し軽いかな、やや小粒かな、という感じで、とてもこんな上位にランクされるとは思いませんでした。僕が選ばなかったのは、ひょっとしたら前作『いつか読書する日』のあの強烈な重さが頭の中に残りすぎていて、その反動だったのかもしれません。

第12位が『あんにょん由美香』。これは観ようかなと思いはしたのですが、結局パスしてしまった映画です。

第13位『嗚呼 満蒙開拓団』、第14位『ポチの告白』──この2本は全くノーマーク。今以てどんな映画だったのか全然知りません。

第15位は『大阪ハムレット』。これも、おおっ!という感じですね。松坂慶子、岸部一徳をはじめ、子どもたち3人も含めて役者はみんな良かったですが、展開がちょっと単調かなと思って僕は選びませんでした。しかし、それにしても、関西人にしか受けないのではないかと思ったのですが、15位に入ってくるとは立派です。

第16位が『重力ピエロ』。ああ、これが来ましたか。僕も「とても良い監督だ」と思いました。でも、その割にはそれほど「良い映画だ」とは思わなかったんですね。いや、作品にケチをつけようと言うのではありません。映画全体よりも監督の演出の方が印象に残った不思議な映画だったということです。

そして、第17位が『精神』。これもめちゃくちゃ評判になった映画ですが、僕はテーマ的にしんどそうなのでパスしてしまいました。

続いて第18位が『南極料理人』。あ、これってそんな良い映画だったんですか。ワンテーマじゃしんどいのかなと思ったりもして、なんとなくパスしてしまいました。

第19位が『私は猫ストーカー』。これも見てないですけど、まあ、いかにもキネ旬らしい映画が上位に入ってきてますね。ちょっとびっくり。

そして第20位に漸く僕が推した『フィッシュストーリー』が入ってきました。

その結果、前の記事との関係で総括すると、僕が「キネマ旬報ベストテン20位以内に入ってほしい」として選んだ10本のうち10位以内には5本入ったんですが、11-20位が1本だけだったために、最終的にキネ旬の20位以内には合計6本でした。なんとこれは昨年と全く同じ形ではないですか!

そして6本的中というのも3年連続。僕が推した作品は10位以内には割合入るのですが毎年11-20位を大きく外してしまっています。

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Tuesday, January 12, 2010

発表:2009キネマ旬報日本映画ベストテン

【1月12日特記】 発表されましたね、2009キネマ旬報ベストテン。去年は1月8日だったのに、今年はなかなか発表されないので、まだかまだかと何度もググってました。

まずは発表されたキネ旬ベストテンを再掲し、引き続いて例年通り、僕の書いた記事「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」とのつき合わせをして行きたいと思います。

今日発表された日本映画のベストテンは下記の通りです。

  1. ディア・ドクター
  2. ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ
  3. 剣岳 点の記
  4. 愛のむきだし
  5. 沈まぬ太陽
  6. 空気人形
  7. ウルトラミラクルラブストーリー
  8. サマーウォーズ
  9. 誰も守ってくれない
  10. 風が強く吹いている

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Thursday, December 31, 2009

映画『アバター』

【12月31日特記】 東京で映画『アバター』を観てきた。

映画通の知人が書いていたのだが、言われてみるとこれは確かに『ソルジャー・ブルー』であり、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』である(もっとも、いずれも随分前に見た映画なのであまり覚えてはいないのだが)。

要するにこの映画におけるパンドラ星のナヴィ族は、昔のアメリカ映画における(あるいはアメリカの歴史における)アメリカン・インディアン(今で言うネイティブ・アメリカン)なのである。

地球人はナヴィを野蛮人と看做して、彼らから土地と資源を収奪しようとし、彼らが抵抗すると皆殺しにしようとするのである。

その手段の一つとして開発されたのがアバターである。アバターとは地球人とナヴィの DNA を遺伝子操作によって合成したハイブリッドな肉体で、それを人間の"ドライバー"が意識を転送して遠隔操作する、という、よくもまあそんなこと考えたななあという設定である。

このアバター開発に関わっている科学者グレース(シガニー・ウィーバー)は、やみくもにナヴィを野蛮人扱いして排斥しようとするクオリッチ大佐(スティーブン・ラング)らとは少し距離を置いている。

このアバターに入るのが下半身不随の兵士ジェイク(サム・ワーシントン)である。本来は双子の兄のために開発されたアバターだったが、兄の死によって同じ DNA を持つ彼が選ばれたのである。

アバターによって下半身の随意を回復したジェイクが暴走するシーンがとてもエキサイティングで印象に残った。

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Saturday, December 26, 2009

2009年度日本インターネット映画大賞(日本映画部門)投票

【12月26日特記】 今年もこのブログへのコメントの形で「日本インターネット映画大賞」への投票依頼が来たので投票記事を書いてみることにする。

この賞にはもう何年連続して投票しているだろうか。ブロガーがブログに対するトラックバックで投票するという、却々よく考えられた形態である。

僕がこれに投票するのは、この賞の設立趣旨に共感を覚えるからとか、この賞の投票結果に信頼が置けるからとかいうことではない。なんか参加することに一体感があるからである。ちっとも「権威」でないところが良いと思う。

集計された結果は毎年あまり納得の行くものではない。さりとて激しく反発を覚えるものでもない。ははあ、他のみんなはそんなふうな感じか、みたいな緩~い信頼感とどーでもよさが混在しているところが逆に良いような気さえするから不思議だ。

さて、投票/採点の仕方はこう定められている。

[作品賞投票ルール(抄)] 

  • 選出作品は5本以上10本まで
  • 持ち点合計は30点
  • 1作品に投票できる最大は10点まで

で、今年はこのようにしてみた。

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Thursday, December 24, 2009

回顧:2009年鑑賞邦画

【12月24日特記】 今年もこの時期になったので、恒例の「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」という記事を書いてみる。

ちなみに今年映画館や試写会で見た邦画は47本。最多を記録した昨年より1本少ないが、ここ4年間は大体このぐらいの水準である。

で、毎年説明している通り、これは「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入るであろう」ではなく「入ってほしい」映画10本である。

『キネ旬ベストテン』を選んでいるのは、数ある映画賞/ランキングの中でこれが僕と一番相性の良い評価であり、信頼している賞だからである。そして、「入ってほしい」という名の通り、僕の思い入れ度を加味した選択でもある。

さて、今年は6本くらいまではすんなり選べたのだが、残り4本については却々決定的な差がつけられずに悩んでしまった。

選に漏れた作品を先に紹介すると、まず『沈まぬ太陽』は鑑賞時の記事にも書いたように「20位以内に入るであろう」作品ではあっても「入ってほしい」作品ではないので除外した。それから、『少年メリケンサック』は迷った挙句外した。年末に選ぶとなると結局公開時期の早かった作品が割を食うということなのかもしれないが・・・。

で、最終的に選んだ10本は下記の通り。

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Sunday, December 20, 2009

映画『蘇りの血』

【12月20日特記】 映画『蘇りの血』を観てきた。

僕は『空中庭園』まで豊田利晃監督を知らなかったのである(まあ、脚本家デビューの『王手』は観てたけど)。で、『空中庭園』でまさに度肝を抜かれたわけだ。

あの映画公開の時にはすでに麻薬だったか覚醒剤だったかで逮捕されていて、それで4年のインターバルが空いてしまった(なんてことは、しかし、どこにも書いてないなあ)。パンフレットも明らかに豊田監督のページを削除した跡があり、なんか寂しかった記憶がある。

で、ともかく罪を償った形での復帰である。新作に対する期待は大きい。

開映前から流れている音楽に非常に惹かれる。こんなにドラムスが前面に出たバンドは聴いたことがない。これが TWIN TAIL というバンドであり、そしてこのバンドのドラマーである中村達也が主演である。

知らないバンドの知らないドラマーだと思っていたのだが、プロフィールを読んでみたら、なんと BLANKY JET CITY のドラマーではないか! ああ、なるほどと合点が行く。

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Tuesday, December 15, 2009

『秘密結社鷹の爪 THE MOVIE 3』試写会

【12月15日特記】 『秘密結社鷹の爪 THE MOVIE 3 http://鷹の爪.jp は永遠に』の試写会に行ってきた。

もう、鷹の爪のコアなファンなら言われるまでもないことなのだろうが、別に腹がよじれるほど面白いということはないのである。声を上げて笑うシーンが全くないとは言わないが、そう何度もあるわけではない。ポイントはこの遊び心をどう評価するかということだ。

だから、好きな人は好き、よく分からん人にはよく分からん。それで良い、と言うか、仕方がないのである。

でも、まあ、毎回毎回(と言っても僕は2作目の『黒烏龍茶』は観ていないのだが)よくもまあ、これだけ突飛なこと重ねて遊んでくれるなあ、と思う。今やっているTVシリーズではいきなりサントリーの「非提供」テロップを出すなどして話題を呼んだが、大体がそういう発想の延長上にある。

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Monday, December 14, 2009

『フォース・カインド』試写会

【12月14日特記】 『フォース・カインド』の試写会に行ってきた。

これはかなり評価の割れる映画である。僕は大体、ははあ、この辺が評価の分かれ目かな、などと結構冷静に観察できたりするのだが、今回ばかりはこの映画が面白くないと言う人の気が知れない。

きょ、驚愕の映画であった。衝撃的。見終わって暫くものも言えいくらい。実際「なんだ、こりゃ」みたいな感想を述べていた人も知っているのだが、なんでこれが面白くないのだろう? 引き込まれた。のめりこんだ。

複雑な構成の映画である。

主人公は心理学者のアビゲイル(アビー)・タイラー。実在の女性であり、この映画の中でもインタビュイーとして登場する。そして、彼女が研究用に録り溜めた実録映像と音声が披露される。このあたりは全て本物なのである。

そして、実録映像音声だけでは構成しきれない部分を役者たちが再現映像で演ずる。アビーに扮しているのはミラ・ジョヴォヴィッチである。

この虚実の2系統の映像が綾なして織り込まれているのがこの映画である。時には画面を左右ワイプして、左には実録映像、右には再現映像をシンクロさせたりしている。

僕はそもそも実話だとか実録だとかいうことにはさして魅力は感じない人間で、フィクションの方がよほど面白いと常々思っている。

しかし、ここまでの事実を突きつけられるとどうしようもない。実際にこれだけの恐ろしい光景が映像に残っているのである。いや、肝心なところになると必ず記録映像はめちゃくちゃに乱れてほとんど見えない状態になる。でも、きっちりと映っているのである。

この怖さは実際に見ていただくしか仕方がない。

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Sunday, December 13, 2009

映画『パンドラの匣』

【12月13日特記】 映画『パンドラの匣』を観てきた。冨永昌敬監督。これは結構拾いものの映画だった。

『パビリオン山椒魚』の時はちょっと荒唐無稽に過ぎるような気がしてパスした。その後2本も撮っていたのは知らなかった。

だから、この監督に興味があった訳ではない。また、『ヴィヨンの妻』の評でも書いたように、僕は太宰文学には造詣も嗜好もない。今回見たのは仲里依紗が見たかったから――こちらのほうは期待通り魅力溢れるキャラになっていて大満足であった。

主人公は利助という青年(染谷将太)。結核を患い、終戦の日に喀血して、とある山中の健康道場で療養することになる。ここでつけられたあだ名が“ひばり”。

寮生も看護婦も、全員が本名ではなくあだ名で呼ばれていたり、自分で自分の体を摩擦する体操とか、看護婦がブラシで患者をこする療法とか、「がんばれよ」「ようし来た」というお決まりの応答とか、まことにユニークな施設である。

で、このユニークな施設でのユニークな体験をまことにユニークな映像に収めた作品なのである。映像のリズムもトーンも一切乱れることがない。見ていてちょっと惚れ惚れするような面白い画なのである。

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